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広上淳一指揮 日本フィルの「運命」

2020年08月02日 | pocknのコンサート感想録2020
8月1日(土)広上淳一指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
特別演奏会
サントリーホール


【曲目】
1.ベートーヴェン/「エグモント」序曲Op.84
2.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
【アンコール】
♪ グリーグ/組曲「ホルベアの時代より」Op.40~サラバンド

コロナ禍で再開された演奏会で聴く3度目の広上淳一と2度目の日フィル。この組み合わせで前回聴いたブラ1の感動を胸に抱き、サントリーホールへ出かけた。

最初のエグモント序曲から気合い十分で聴き手をグイグイと引き付けた。広上さんと日フィルからは意気投合した連帯感が伝わってくる。重心の低い堂々とした貫禄があり、パンチと推進力で攻めてくる。「ドンと来い!」と胸を貸してくれるような頼もしい演奏。オケ全体の能動的な姿勢もいいし、中間部で木管のソロが次々と呼び交わすシーンなんかも、思いっ切りのいい姿勢が全体の士気を鼓舞する。厚みのある充実した響きで築いた最終盤のクライマックスはトリハダものだった。

こうなると次の「運命」への期待が益々高まる。その「運命」も広上らしい実直で熱い演奏になった。気合い十分でエネルギッシュ、安定感もある。ただ、先月同じ日フィルと聴いたブラ1の時のような切れ味がもう一歩という印象で、高みへと進んで行くベートーヴェン的な崇高なビジョンがもうひとつ見えてこなかった。けれどフィナーレに突入するとテンションが高まり、提示部のリピートで一段とヒートアップ。期待が高まったのだが、4楽章から投入されたコントラファゴットのビリビリと空気を震わす振動音が妙に気になってしまった。これは恐らく楽器とこの席(2階RBブロック)の位置関係が振動を捉えてしまったのだろう。これで聴く集中力が削がれてしまったのは残念だった。

アンコールのグリーグでは豊かな表情で温かく包み込まれた。懐の深い美しいハーモニーが郷愁を誘い、胸にじわーっと染みてきた。拍手は今日も最後の楽員が退場するまで続いた。コロナ禍で再開後に行ったコンサートで、今日は初めて演奏者によるMCがなかった。そろそろ再開演奏会も軌道に乗り、コロナは広がる一方だが、そんななかでも演奏会が特別なことではない日常のイベントとして歩みを始めた気がした。

思えば広上さんと日フィルにはコンサートロスの辛さを癒して余りある素晴らしい演奏会をたくさん届けてもらった。本当に有難い。これからも聴き続け、応援していきたい。
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