11月25日(木)マルクス・シュテンツ指揮 NHK交響楽団
《2010年11月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1. ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
【アンコール】
プロコフィエフ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ~第2楽章
Vn:ヴェロニカ・エーベルレ
2.シューマン/交響曲 第2番 ハ長調Op.61
その日の出演者や曲目を会場でプログラムを見て初めて知る、というのは定期演奏会ではよくあるが、今夜の1曲目、ブラームスのヴァイオリン・コンチェルトのソリストは事前にプログラムを見そびれて、演奏が終わるまでプロフィールはもちろん名前もわからずに聴いた。つまり全く先入観をもたずに聴けたことになるが、チャーミングな容姿にはやっぱり影響されたかも…
実際、エーベルレのヴァイオリンは清楚で瑞々しいうえに、スマートな体つきに似合わないダイナミックさも備えていた。骨太というのではなく、とてもしっかりした構築美があり、それがこの曲には似合う。
オケも好調。出だしのたっぷりとした歌は惚れ惚れするほどいい味を出し、その後の盛り上がりも充実。瑞々しいヴァイオリンパートがとりわけ素晴らしく、歌心たっぷりのチェロパートもしびれる。そんな「理想的」な音像を描いて行ったエーベルレとシュテンツ指揮のN響だが、このヴァイオリニストは、音色もすっきりした様式感も構築美も持ち合わせていると感じたが、「ここが素晴らしい!」と言える決め手を見つけることができないままの「とてもいいブラームス」で終わった。アンコールのプロコフィエフでは妖艶な魅力も表し、音にも更に磨きがかかった。しかしここで携帯の着信音!もうケータイは演奏会場の入口で預けるようにすべきだ! エーベルレはこれからの活躍が楽しみではあるが、N響で若いソリストを聴くなら、日本人の演奏を聴きたい。これはN響の定期でよく思うことだ。
後半のシューマンのシンフォニーは、出だしの序奏が不安定でちょっと心配したが、主部に入ると、一転ヴァイオリンの水もしたたる初々しい音に目覚めたかのようにオケは息を吹き返した。野を駆け抜ける駿馬のごとく、颯爽と、活き活きと演奏を繰り広げ気分が高揚する。
第2楽章は期待したほどのスリリングさはなかったが、後半、シューマンの歌曲で聴く抒情的な「歌」が絶品だった。そんな抒情を益々期待した第3楽章は、息の長い歌がもうひとつ伸びず、「来るぞ…」と待っていた法悦感は不発。しかも静かな最後の場面で客席で「チャリン!」と高らかにコインの音が!嗚呼… 第4楽章ではまた活力を取り戻し、充実した響きを聴かせたが、第1楽章の乗りには及ばなかった。
こんな具合で、すごくいいところもあったが、全体を振り返るとよくわからない。初めて接するシュテンツという指揮者は、ドイツで注目されているらしいが、どんな指揮者かということも結局よくわからなかった。
《2010年11月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1. ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77

【アンコール】
プロコフィエフ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ~第2楽章

Vn:ヴェロニカ・エーベルレ
2.シューマン/交響曲 第2番 ハ長調Op.61
その日の出演者や曲目を会場でプログラムを見て初めて知る、というのは定期演奏会ではよくあるが、今夜の1曲目、ブラームスのヴァイオリン・コンチェルトのソリストは事前にプログラムを見そびれて、演奏が終わるまでプロフィールはもちろん名前もわからずに聴いた。つまり全く先入観をもたずに聴けたことになるが、チャーミングな容姿にはやっぱり影響されたかも…
実際、エーベルレのヴァイオリンは清楚で瑞々しいうえに、スマートな体つきに似合わないダイナミックさも備えていた。骨太というのではなく、とてもしっかりした構築美があり、それがこの曲には似合う。
オケも好調。出だしのたっぷりとした歌は惚れ惚れするほどいい味を出し、その後の盛り上がりも充実。瑞々しいヴァイオリンパートがとりわけ素晴らしく、歌心たっぷりのチェロパートもしびれる。そんな「理想的」な音像を描いて行ったエーベルレとシュテンツ指揮のN響だが、このヴァイオリニストは、音色もすっきりした様式感も構築美も持ち合わせていると感じたが、「ここが素晴らしい!」と言える決め手を見つけることができないままの「とてもいいブラームス」で終わった。アンコールのプロコフィエフでは妖艶な魅力も表し、音にも更に磨きがかかった。しかしここで携帯の着信音!もうケータイは演奏会場の入口で預けるようにすべきだ! エーベルレはこれからの活躍が楽しみではあるが、N響で若いソリストを聴くなら、日本人の演奏を聴きたい。これはN響の定期でよく思うことだ。
後半のシューマンのシンフォニーは、出だしの序奏が不安定でちょっと心配したが、主部に入ると、一転ヴァイオリンの水もしたたる初々しい音に目覚めたかのようにオケは息を吹き返した。野を駆け抜ける駿馬のごとく、颯爽と、活き活きと演奏を繰り広げ気分が高揚する。
第2楽章は期待したほどのスリリングさはなかったが、後半、シューマンの歌曲で聴く抒情的な「歌」が絶品だった。そんな抒情を益々期待した第3楽章は、息の長い歌がもうひとつ伸びず、「来るぞ…」と待っていた法悦感は不発。しかも静かな最後の場面で客席で「チャリン!」と高らかにコインの音が!嗚呼… 第4楽章ではまた活力を取り戻し、充実した響きを聴かせたが、第1楽章の乗りには及ばなかった。
こんな具合で、すごくいいところもあったが、全体を振り返るとよくわからない。初めて接するシュテンツという指揮者は、ドイツで注目されているらしいが、どんな指揮者かということも結局よくわからなかった。
電波が届かなくなっているはずですのにね。
私は、清楚で瑞々しいブラームスの翌日、ヤンセンの情熱的で大人のブラームスをNHKホールで聴いて参りました。それにしても、2日間連続ブラームス・ヴァイオリン・コンチェルト、それも女性ソリストで聴いたとは我ながらおかしいです、、、