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アトリウム弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル Ⅵ

2022年06月19日 | pocknのコンサート感想録2022
6月16日(木)アトリウム弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル Ⅵ
(Vn:ニキータ・ボリソグレブスキー、アントン・イリューニン/Vla:ドミトリー・ピツルコ/Vc:アンナ・ゴレロヴァ) 
~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2022~
サントリーホール(小)ブルーローズ

【曲目】
1.ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第5番イ長調 Op.18-5
2.ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 第11番ヘ短調 Op.95「セリオーソ」
3.ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 第15番イ短調 Op.132
【アンコール】
♪ ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 第16番ヘ長調 Op. 135~第3楽章

サントリーホールチェンバーミュージック・ガーデンのアトリウム弦楽四重奏団によるベートーヴェン・サイクルは、あの忌まわしい全てが中止となった2020年のリベンジ公演。行く予定だったのと同じ曲目を聴くことができた。今夜がベートーヴェン全曲演奏会の最終日。アトリウム弦楽四重奏団は2000年に結成され、プロフィールにメンバーの国籍は記されていなかったが、名前や経歴からロシアのカルテットのようだ。

最初の11番のカルテットを聴いて、メンバーそれぞれが歌心を持ち、それを自然に合わせている印象を受けた。気負うことなく、この曲の明るく楽し気な曲調を活かした演奏は開放感があり、好感度大だった。

続く「セリオーソ」ではメンバーの集中力が一段と増し、密度の濃い演奏を繰り広げた。意を決し、毅然とした開始と対比する柔らかに歌う場面のピュアな穏やかさは息をのむほど。アンサンブルを主導するボリソグレブスキーのデリケートで伸びやかなファーストヴァイオリンがとても映えた。アトリウムSQが奏でるハーモニーは、名水の泉のような澄んだ響きを湛えている。それでいて、血の通った温かな味わいがあるところが魅力だ。

アトリウムSQがシリーズの締めに選んだのは15番イ短調。この作品が「どの室内楽曲の中でも一番優れた作品」というメンバーの共通認識のもと、シリーズの締めくくりに置いたという。ここでもメンバー一人一人の語り口が冴え、音が立ち、それぞれが使命感を担って高みへと向かって行った。

セカンドヴァイオリンのイリューニンの雄弁な存在感が、緻密に書かれたこの作品の真価を示すうえで大切な役割を果たしているのを感じた。慌てず、気負わず、親密なアンサンブルが高次元で美しく結晶したような自然体の集大成。ただ、この音楽の崇高さを感じるまでにはいかなかったが。

会場は熱い喝采に包まれ、多くの人がスタンディングオベーションで讃えていた。ベートーヴェンのカルテットの全曲演奏という大きな仕事を成し終えたアーティスト達への敬意と感謝も込められていたに違いない。

ところでこのブルーローズは音響や雰囲気は申し分ないのだが、ステージが見え辛くて困る。フロアがフラットなうえに、客席の縦の列が揃っているせいで視界が益々悪く、今夜の席からはファーストヴァイオリンが全く見えず、おまけに前の人も見えづらそうに身体を左右に動かすので気が散ってしまった。後半は一列ほぼ空いていた最後列の席に移動して、こっちの方がよほど良いことがわかった。せめて縦の列を半分ずつぐらいずらして並べてもらえないものだろうか。

葵トリオ ピアノ三重奏の世界 2022.6.8 ブルーローズ
チェンバーミュージックガーデン オープニング 堤 剛プロデュース 2022.6.4 ブルーローズ

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