facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

小山実稚恵ピアノリサイタル ~ピアノ・スピリット~

2007年11月30日 | pocknのコンサート感想録2007
11月30日(金)小山実稚恵(Pf)
~小山実稚恵プロデュース "ピアノ・スピリット" 第6回 11月のショパン~
杉並公会堂
【曲目】
~オール・ショパン・プログラム~
ノクターン~ 変ロ短調 Op.9-1, 変ホ長調 Op.9-2
エチュード~ 変イ長調Op.25-1「エオリアンハープ」、嬰ハ短調Op.25-7、ハ短調Op.10-12「革命」、ホ長調Op.10-3「別れの曲」、イ短調Op.25-11「木枯らし」
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
ノクターン 第20番 嬰ハ短調(遺作)、ワルツ イ短調(遺作)、変イ長調Op.64-3、変イ長調Op.69-1「別れのワルツ」、変ホ長調Op.18「華麗なる大円舞曲」、ヘ短調 Op.70-2、ホ短調(遺作)
バラード 第1番 ト短調 Op.23
ポロネーズ第6番 変イ長調Op.53「英雄」
【アンコール】
1.猫のワルツOp.34-3(小山さんの命名?)
2.子犬のワルツOp.64-1
3.ワルツ嬰ハ短調Op.64-2

夫婦で長年度々聴いている小山さんのリサイタル、今夜は「11月のショパン」と題したオールショパンプログラム。小山さんが杉並公会堂で6回に渡ってプロデュースしてきた様々な楽器とピアノによる演奏会シリーズの最終回とのこと。

冒頭の作品9の1のノクターンでのクリアな響きと孤独な歌、「革命」や「木枯らし」での骨太でダイナミックで熱い演奏、「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」でのブリリアントな輝き、「バラード」や「英雄ポロネーズ」では濃い密度で推進力溢れる演奏の渦の中に引き込んでいく。こうした曲では小山さんの持ち味である煌めく美音とスケールの大きさが聴く者をぐいぐいと引っ張って行く。

それに対して、おとなしめの曲では「奥ゆかしさ」とか「大人の香り」とか「深い歌」がもっと聴きたいな、と感じることがあるのも事実。つい半月前、小山さんとほぼ同世代の仲道さんのピアノリサイタルで聴いた今夜と同じ曲目の「別れの曲」や「レント・コン・エスプレッシオーネ」などを思い出すと、練り上げ方や掘り下げ方の差が、温度差として感じられてしまう。

小山さんは仲道さん同様に20年来ずっと応援してきているピアニストだ。2年前に聴いたラフマニノフのコンチェルトでの圧倒的な名演などを思い出してみても、小山さんも着実に成長を続けているピアニストであることは間違いない。

アンコールの3曲目にやった嬰ハ短調のワルツからは奥行きのある深みと味わいを感じ、そこから小山さんの「深化」を感じたりもしたが、ラフマニノフのソロとかスクリャービンなんかだと、また一味違った感激を与えてくれるのかも。かつて何度も最高の感動を与えてくれた「小山さんのショパン」のイメージはしばらく心の中にしまっておいて、今度は別の世界に接してみることにしよう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サロンコンサート Ⅰ 日本の歌 | トップ | 晩秋の箱根で紅葉と温泉を味わう »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2007」カテゴリの最新記事