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N響 2021年12月B定期(山田和樹 指揮)

2021年12月20日 |  pocknのコンサート感想録2021
12月16日(木)山田和樹 指揮 NHK交響楽団
《2021年12月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1.マーラー/花の章
2.R.シュトラウス/4つの最後の歌
 S:佐々木典子
3.ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調 Op.55「英雄」

2021年最後のN響定期の指揮者は俊英、山田和樹。マーラーの「花の章」では磨かれた音色で柔らかく美しい佇まいを聴かせた。細かいところまで神経が行き届き、丁寧で緻密な音楽づくりが感じられ、N響の面々の上手さも光る演奏だった。

次のシュトラウスの「4つの最後の歌」は今夜の白眉。ソプラノの佐々木典子の深く滑らかな呼吸から醸し出される、熟成された味わいのある寂寥の歌が心を温かく満たした。一つ一つの言葉が、彫りの深い表現で確信に満ちて発せられる。その美しさと格調の高さにうっとり。オーケストラも言葉が表す情景と心情を歌と一体となって深い呼吸で描き、艶のある多彩な音色で絵画的な世界を作り上げていた。

第3曲で登場するまろさんのヴァイオリンソロがまた絶品。この間奏を受けてソプラノが歌う「魂が自由な翼を得てたゆたう“schweben”」情景を見事にお膳立てした。とろけるような甘美な世界。まろさんのヴァイオリンでこれが聴けた幸せを噛みしめた。第4曲ではヒバリの声を模した2本のフルートのトリルが哀しいほど清らかに響いたのも印象的。山田とN響による丁寧で緻密な音楽作りが高い完成度で珠玉の演奏として実を結んだ。

後半は「エロイカ」。山田和樹のベートーヴェンと云えば、昔、オーケストラアンサンブル金沢との共演で聴いた「運命」が印象深いが、今夜のN響との「エロイカ」も、要所を引き締め、アクセントを強調してパンチが効き、緊張と弛緩のバランスが取れた演奏を聴かせてくれた。ただ、色々と積極的にアプローチしたいのはわかるのだが、空回りに感じるところがあり、全体を一貫して貫く筋が弱いように感じた。

それでも、第2楽章での緊迫感と重みのある演奏は心に迫ってきたし、吉村さんのオーボエが、10月のブロムシュテットの「運命」に続いて、終始豊かな表情で歌いかけてきたのは印象に残った。

個人的な好みだが、第1楽章のコーダのイケイケの場面で主旋律を颯爽と奏でるトランペットが突然オケの中に埋没してしまう版が近年はよく採用される。今夜もこれ。これがベートーヴェンのオリジナルであっても、やっぱりここだけはトランペットにメロディーを吹いてほしい。

オペラ『ルサルカ』(指揮:山田和樹)2017.11.12 日生劇場
山田和樹 指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢 2012.1.12 紀尾井ホール
N響公演の感想タイトルリスト(2017~)

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