コミックで爆発的な人気を博しているのだめカンタービレがテレビドラマとして10月からフジテレビに登場。娘が大騒ぎして見始めたのを冷やかしで見ていたのが、みるみるハマってしまった。
昔みた、浅野温子がチェリストを演じる「101回目のプロポーズ」とかキムタクがピアニストを演じた「ロングバケーション」とか、クラシック音楽を題材にしたテレビドラマは、役者やストーリーは良くても、「クラシック音楽ドラマ」という視点で見ると、音楽についての演技やせりふ、音楽にまつわる臭い筋立ては許しがたいものさえ感じたが、「のだめ」はこれらとはそこらへんが全く違う本格的なクラシックドラマだ。
原作の二ノ宮知子は相当クラシック音楽やその事情に精通している。それにストーリーもめちゃおもしろいし、コメディータッチの場面は腹の底から笑える。それでいてシリアスなところ、ジーンとくるものもあってあなどれない。クラシック好きなpocknがとりわけ感心したり感動している部分をあげると…
劇中で使われている音楽がいい!
初回の「Lesson 1」で、いきなりかなりマイナーな、しかしpocknが大好きなモーツァルトの2台のためのソナタK.488♪が出てきたのにちょっとびっくり。この曲、いつか絶対に弾いてみたい曲なんですよ。その後ベートーヴェンのスプリングソナタ♪、タイトル曲にも採用されているベートーヴェンの第7シンフォニー♪、そしてこの前の回はラフマニノフのピアノコンチェルト第2番と、エンディング曲にもなっているラプソディー・イン・ブルー♪… ラフマニノフを除けばふつーのクラシックを扱ったドラマでは出てこないような曲がたっぷりと登場するのが嬉しい。それに千秋が、その回でメインに登場する曲のちょっとわざとらしいミニ解説をするのも気配りが感じられる。
フツーのドラマだと、例えばラフマニノフのピアノコンチェルトだとすると、第1楽章が終わったと同時に会場は拍手喝采に包まれ、それに酔いしれたような主人公のピアニストと聞き惚れるヒロインが映し出されるというのが関の山だろう。それをこの曲にしろ、Sオケの7番にしろ、演奏会の場面では1楽章で始まり、終楽章の後に拍手喝采が起きる。
ドラマ「ロングヴァケーション」では「パガニーニラプソディー」の例のロマンチックな部分だけがあたかも完結した曲のように扱われてガックリきたのとは違う。
これからもどんな曲が出てくるか楽しみだ。
演奏がおもしろい!!
初回でのだめが、楽譜を見ないで耳だけで覚えて勝手にアレンジして弾いてしまうモーツァルトにしろ、2回目で峰くんがロック風に弾いたベートーヴェンにしろ、3回目でSオケの最初の練習時の演奏のヘタクソ加減にしろ、その演奏が結構サマになっているのがおもしろい。
のだめの「勝手なアドリブ」は、多分原曲を知らなければ気づかないような巧みな、しかしなかなかポイントを押さえたアドリブだし、峰くんのロック風スプリングソナタも乗り乗りの気分がよく出ている。峰くんの「やれ音を1つ間違えたの、テンポが定まらないだの、音程が悪いだの… そんなことにばかりケチつけて、これだからクラシックは嫌なんだ!!」とか何とかいうセリフはある意味核心を突いた批判かも… と思わず笑ってしまった。でもこれはやっぱ、クラシックでは外せないでしょ。
また、5回目の「ラプソディ・イン・ブルー」。この曲の主役であるピアノがいなくて、代わりにピアニカなんかが登場していったいどんな演奏になるのかと思ったら、ピアニカがあんなに表現力のある楽器だったなんて…!
「のだめ」では普段聴くことのできない、おもしろーい演奏がたくさん聴けるのだ!
筋が通っている!!
音楽に「心」は大切だ。だけど、恋人のためにただ心を込めて弾けばいいってもんじゃあない。楽譜通りに弾けもしないのに、感情やテンションだけでやったものがサマになるっていうのも、クラシックに関してはあり得ないと思う。ひとりよがりのアマチュアコーラスが「メンタルハーモニー」とか言って、音程もろくに合ってないのに勝手に自分達だけで舞い上がって感動して、涙なんか浮かべて歌ったって、聴く者はシラケるだけだ。
そういう意味で、「旧来のドラマ」で「君のピアノには心がない」なんて偉い先生に言われて悩み、好きな子の心に訴えることでその演奏に魂が入る、なんて単純な筋書きは許せない。
それが「のだめ」では千秋はスコアを熱心に勉強し、「楽譜に忠実に」と叫ぶ。Sオケがメンバーの心意気とセンスですごい演奏ができたのも、千秋に言われて楽譜をよーくさらい、千秋の指揮を見ることも忘れ楽譜に忠実に演奏するという過程があったからこそできたのだと思う。これ、すごく筋が通ってるよね! あのブラバン張りのパフォーマンスも最高でした!
もうひとつ… 2回目だったか、シュトレーゼマンが、指揮科への転科を願う千秋の望みをかなえる条件として、のだめにキスを迫る究極の選択の場面があったが、バックにモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」で石像の騎士長が体たらくな生き方を続けるドン・ジョヴァンニに改心を迫る場面の歌が流れ、そのリズムに合わせてシュトレーゼマンが「チュッ!チュッ! チュッ!」とイヤラシイ口でのだめに迫っていたのには、あまりのぴったりの選曲に膝を打つ思いだった。これも筋が通ってるよね!
…とまあ、5回を終えたところでこれだけいろいろ誉めたいところが満載のドラマ。これからが益々楽しみだ。
クラシックファンの裾野拡大に貢献する「のだめ」!!
クラシックに殆ど関心を示していなかった娘が、おれにベト7やモーツァルトの2台のピアノソナタやらのCDを聴かせてくれとせがみ、夢中で聴いているっていうのも思わぬ収穫。きっとこのドラマでやった曲はしばらく人気沸騰することだろう。
まだのぞいていないが、CD売り場にはきっと「のだめコーナー」なんてのができて、普段クラシックのCDなんて買わないようなのが大勢買って行くんだろうなぁ… 大いに結構!「のだめ」はクラシック音楽を広める大起爆剤となるかも知れない。
何日か前の毎日新聞に東大の美学かなんかのお偉い教授が、「のだめ」を題材にして「のだめのやりたい放題のピアノや、あのめちゃくちゃな部屋は、「芸術」のある意味画一化されたイメージを助長してはいまいか」なんて何やらコムズカシイこと書いていたが、そんなことどうでもいいじゃない?
とにかく「のだめ」はクラシック好きをも大いに魅了してしまうものを持っているし、クラシックの魅力をクローズアップしていることは確かだと思う。
昔みた、浅野温子がチェリストを演じる「101回目のプロポーズ」とかキムタクがピアニストを演じた「ロングバケーション」とか、クラシック音楽を題材にしたテレビドラマは、役者やストーリーは良くても、「クラシック音楽ドラマ」という視点で見ると、音楽についての演技やせりふ、音楽にまつわる臭い筋立ては許しがたいものさえ感じたが、「のだめ」はこれらとはそこらへんが全く違う本格的なクラシックドラマだ。
原作の二ノ宮知子は相当クラシック音楽やその事情に精通している。それにストーリーもめちゃおもしろいし、コメディータッチの場面は腹の底から笑える。それでいてシリアスなところ、ジーンとくるものもあってあなどれない。クラシック好きなpocknがとりわけ感心したり感動している部分をあげると…
劇中で使われている音楽がいい!
初回の「Lesson 1」で、いきなりかなりマイナーな、しかしpocknが大好きなモーツァルトの2台のためのソナタK.488♪が出てきたのにちょっとびっくり。この曲、いつか絶対に弾いてみたい曲なんですよ。その後ベートーヴェンのスプリングソナタ♪、タイトル曲にも採用されているベートーヴェンの第7シンフォニー♪、そしてこの前の回はラフマニノフのピアノコンチェルト第2番と、エンディング曲にもなっているラプソディー・イン・ブルー♪… ラフマニノフを除けばふつーのクラシックを扱ったドラマでは出てこないような曲がたっぷりと登場するのが嬉しい。それに千秋が、その回でメインに登場する曲のちょっとわざとらしいミニ解説をするのも気配りが感じられる。
フツーのドラマだと、例えばラフマニノフのピアノコンチェルトだとすると、第1楽章が終わったと同時に会場は拍手喝采に包まれ、それに酔いしれたような主人公のピアニストと聞き惚れるヒロインが映し出されるというのが関の山だろう。それをこの曲にしろ、Sオケの7番にしろ、演奏会の場面では1楽章で始まり、終楽章の後に拍手喝采が起きる。
ドラマ「ロングヴァケーション」では「パガニーニラプソディー」の例のロマンチックな部分だけがあたかも完結した曲のように扱われてガックリきたのとは違う。
これからもどんな曲が出てくるか楽しみだ。
演奏がおもしろい!!
初回でのだめが、楽譜を見ないで耳だけで覚えて勝手にアレンジして弾いてしまうモーツァルトにしろ、2回目で峰くんがロック風に弾いたベートーヴェンにしろ、3回目でSオケの最初の練習時の演奏のヘタクソ加減にしろ、その演奏が結構サマになっているのがおもしろい。
のだめの「勝手なアドリブ」は、多分原曲を知らなければ気づかないような巧みな、しかしなかなかポイントを押さえたアドリブだし、峰くんのロック風スプリングソナタも乗り乗りの気分がよく出ている。峰くんの「やれ音を1つ間違えたの、テンポが定まらないだの、音程が悪いだの… そんなことにばかりケチつけて、これだからクラシックは嫌なんだ!!」とか何とかいうセリフはある意味核心を突いた批判かも… と思わず笑ってしまった。でもこれはやっぱ、クラシックでは外せないでしょ。
また、5回目の「ラプソディ・イン・ブルー」。この曲の主役であるピアノがいなくて、代わりにピアニカなんかが登場していったいどんな演奏になるのかと思ったら、ピアニカがあんなに表現力のある楽器だったなんて…!
「のだめ」では普段聴くことのできない、おもしろーい演奏がたくさん聴けるのだ!
筋が通っている!!
音楽に「心」は大切だ。だけど、恋人のためにただ心を込めて弾けばいいってもんじゃあない。楽譜通りに弾けもしないのに、感情やテンションだけでやったものがサマになるっていうのも、クラシックに関してはあり得ないと思う。ひとりよがりのアマチュアコーラスが「メンタルハーモニー」とか言って、音程もろくに合ってないのに勝手に自分達だけで舞い上がって感動して、涙なんか浮かべて歌ったって、聴く者はシラケるだけだ。
そういう意味で、「旧来のドラマ」で「君のピアノには心がない」なんて偉い先生に言われて悩み、好きな子の心に訴えることでその演奏に魂が入る、なんて単純な筋書きは許せない。
それが「のだめ」では千秋はスコアを熱心に勉強し、「楽譜に忠実に」と叫ぶ。Sオケがメンバーの心意気とセンスですごい演奏ができたのも、千秋に言われて楽譜をよーくさらい、千秋の指揮を見ることも忘れ楽譜に忠実に演奏するという過程があったからこそできたのだと思う。これ、すごく筋が通ってるよね! あのブラバン張りのパフォーマンスも最高でした!
もうひとつ… 2回目だったか、シュトレーゼマンが、指揮科への転科を願う千秋の望みをかなえる条件として、のだめにキスを迫る究極の選択の場面があったが、バックにモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」で石像の騎士長が体たらくな生き方を続けるドン・ジョヴァンニに改心を迫る場面の歌が流れ、そのリズムに合わせてシュトレーゼマンが「チュッ!チュッ! チュッ!」とイヤラシイ口でのだめに迫っていたのには、あまりのぴったりの選曲に膝を打つ思いだった。これも筋が通ってるよね!
…とまあ、5回を終えたところでこれだけいろいろ誉めたいところが満載のドラマ。これからが益々楽しみだ。
クラシックファンの裾野拡大に貢献する「のだめ」!!
クラシックに殆ど関心を示していなかった娘が、おれにベト7やモーツァルトの2台のピアノソナタやらのCDを聴かせてくれとせがみ、夢中で聴いているっていうのも思わぬ収穫。きっとこのドラマでやった曲はしばらく人気沸騰することだろう。
まだのぞいていないが、CD売り場にはきっと「のだめコーナー」なんてのができて、普段クラシックのCDなんて買わないようなのが大勢買って行くんだろうなぁ… 大いに結構!「のだめ」はクラシック音楽を広める大起爆剤となるかも知れない。
何日か前の毎日新聞に東大の美学かなんかのお偉い教授が、「のだめ」を題材にして「のだめのやりたい放題のピアノや、あのめちゃくちゃな部屋は、「芸術」のある意味画一化されたイメージを助長してはいまいか」なんて何やらコムズカシイこと書いていたが、そんなことどうでもいいじゃない?
とにかく「のだめ」はクラシック好きをも大いに魅了してしまうものを持っているし、クラシックの魅力をクローズアップしていることは確かだと思う。
仰るとおりです。もうほとんど漫画チックではありますが、一本筋が通っていますし、クラシックをやる青少年も等身大。デフォルメされていてもごく当たり前の生活観があって、僕もハマって見てます。
「フツーのドラマだと、(勝手に中略してすみません)第1楽章が終わったと同時に会場は拍手喝采に包まれ、それに酔いしれたような主人公のピアニストと聞き惚れるヒロインが映し出されるというのが関の山だろう。それを(略)、演奏会の場面では1楽章で始まり、終楽章の後に拍手喝采が起きる。」
この指摘を拝見し、特に、強くなるほどと感銘しました。
私も毎週このドラマを観ているのですが、音楽を愛している力を確かに感じます。
益々ドラマを観るのが楽しみになりました。
「のだめ」に出てくる音楽や演奏にはコダワリを感じます。前回のLesson6の千秋とのだめのピアノデュオでも、恐らく普通だったら、オーケストラパートはいつのまにか本物のオケの音と入れ替わり、のだめはオケをバックにコンチェルトを弾いているようなシーンとなるところですよね。
そうならないのは、のだめに「ピアノの伴奏じゃなく、本物のオケをバックにコンチェルトを弾いてもらいたい」という千秋の願いを視聴者へ伝えたいからではないか、と思ったのです。あそこでオケの音を鳴らさないことで、のだめがオケとコンチェルトをやる期待感を煽っているというか…
コミックの筋を知らないので見当違いかも知れませんが、これについては楽しみが減るのでノーコメントでお願いします