facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ブラボーが響くコンサートを取り戻そう ~終わりの見えない過剰な感染対策に思う~

2023年01月13日 | pocknと音楽を語ろう!
2023年 1月13日(金)

コンサート会場に足を踏み入れると、まずは検温と消毒の儀式だ。チケットの半券は自分でもぎり、パンフレットも自分で取らなければならない。コートを預けるにもクロークは閉鎖。バーカウンターも閉まっている。座席でプログラムを読んでいると、感染対策への協力依頼の耳障りなアナウンスが長々と繰り返される。

「お客様同士の間隔を十分にお開けください」
「マスクは常時正しく装着してください」
「こまめな手指の消毒をお願いします」
「休憩時はお客様同士の会話は控え、できるだけ自席でお過ごしください」
「ブラボーなどの声かけはお控えください」
「終演後は時間差での退場にご協力ください」
「出演者への贈り物はお預かりできません」
「出演者との面会はご遠慮ください」…ときりがない。

これらの「感染防止対策」の殆ど、いや全てが過剰な対策だ。コロナが蔓延し始め、緊急事態宣言で全て中止になっていたコンサートがようやく再開された頃は、とにかくライブの演奏が聴ければ幸せで、どんな対策でも受け入れたし、万全の対策を施して演奏会を開催してくれる関係者の尽力には感謝していたが、あれからもう3年。一部のサービスを再開したホールはあるが、どんなことが感染リスクを高めるか分かってきたのに何ら検証することなく、3年前と同じ「対策」を未だに唱え続けているホールが何と多いことか。

音楽を聴くだけがライブの楽しみではない。コートなどは預けて身軽になり、ワインでも飲んで非日常の素敵なイベントへの気分を高めたい。席ではプログラムを読みながら心静かに開演を待ちたいし、休憩時間にはホワイエで歓談もしたい。素晴らしい演奏に沢山のブラボーが飛べば気分も更に盛り上がる。サインをもらったり、出待ちしてアーティストを見送ったりするのもライブの楽しみだ。これらを悉く禁止するのは、コンサートの楽しみを無駄に損ねていると云わざるを得ない。

そして不愉快なのがマスクの強要。いったいこんな薄い布切れ一枚で何が守れるというのだろう。自分の吐いた炭酸ガスを吸う不快感に加え、マスクをしていると聴覚機能が鈍る気もするし眠くなる。僕はこうした影響が極力ないようなペラペラ、スカスカのちゃちなマスクしかしないが、そんなマスクでも着けてさえいればお咎めなしというのが、マスクは意味がないということではないか。

最近、王子ホールからもらった感染対策の注意書きでは、マスクはホールの入退場の際やホワイエでは「着用をお願いします」と書いてある一方で、演奏中については「着用をお勧めします」という緩い表現になっていた。これなら気兼ねなくマスクを外して演奏会を楽しめると思いきや、開演前に「演奏中もマスクは常にご着用ください」とアナウンスが入り、場内をスタッフが回って同じことを繰り返していた。僕は演奏中はマスクを外したが、これでは外す人はいないだろう。王子ホールには是非先陣を切ってマスクの自由化を実現してもらいたいものだ。

元旦に生中継されたウィーンフィル・ニューイヤーコンサートで、満員の聴衆がマスクをつけず、笑顔で演奏会を心から楽しんでいる様子を観た人も多いと思う。昨年訪れたイタリアのオペラ劇場もウィーンと同じ様子だった。素顔で音楽を楽しみ、たくさんのブラボーが飛ぶ風景を完全に取り戻していた。

ヨーロッパでは、以前は日本よりもずっと厳しい感染対策が敷かれ、2年前のニューイヤーコンサートは無観客で、日本の方がよっぽど現状に則した対応がされていると思っていたが、今では完全に逆転してしまった。コロナへの恐怖心を全くアップデートできずに変わろうとしない日本社会と、現状を冷静に見て前に進もうとする欧米社会の違いという構図が見えてくる。これは対コロナだけではなく、全てのことで当てはまるのではないだろうか。

マスクをしなくても聴ける演奏会、ブラボーを叫べる演奏会、うるさいアナウンスのない演奏会を取り戻すために、微々たる力にもならないかも知れないが、声を上げ続けていきたい。

★過去の関連ブログ記事
ボローニャ市立歌劇場・オペラ公演「アンドレア・シェニエ」
イタリアへ行こう!~コロナ後のイタリアの様子~
新型コロナに感染して抱いた医療機関への不信感
1年前のブログでの訴えが何も変わってない。。その感染対策、本気???
N響定期公演の突然の中止。いつまで続くコロナの特別扱い?
コロナの不安を煽るだけのメディア
#文化芸術は生きるために必要だ
コンサートを中止にしないで!
ポラン書房閉店 ~コロナで大切な場所を失わないためにできること~
コロナ禍で演奏会の中止が続く欧米、やっている日本
新型コロナウイルスによるコンサート中止に思う
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「おさかな」(詩:金子みすゞ)

~限定公開中動画~
「マーチくん、ラストラン ~33年乗った日産マーチとのお別れシーン~」

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« MAROワールドVol.46 ~Viva! ... | トップ | N響 2023年1月A定期(トゥガ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknと音楽を語ろう!」カテゴリの最新記事