今日の東京は灰色の空から冷たい雨が降る日。
まーるい緑の山手線に乗って出勤する朝は、
それだけで1日の20%分の体力を奪われるほどの混雑ぶり。
買ったばかりの小説を読む余裕もない。
かと言って片手でスマホをいじったところで、
「いじってる」時間が無駄に流れるだけで暇つぶしにもならない。
やれやれ、と思って周りを見ると、
密着と圧迫に耐える苦い表情をしたサラリーマン達。
そんな中、
ミニーちゃんの赤いリボンヘアバンドを頭につけた女性と
ぬいぐるみ地でできたミッキーの顔のデカイ被り物をかぶった男性の
20代カップルが波に押されて私の目の前に登場。
そうだ。
彼らは御徒町辺りからすでに
夢の世界に行く準備を整えて
まーるい緑の山手線に乗ってきたのだ。
時折、彼女が
「押されるよ~」
とでも言いたげに眉間に皺を寄せて
困ったちゃんの表情で彼にメッセージを送る。
圧迫から彼女を守りながら
彼はミッキーの鼻をツンツンと
彼女のおでこにつけてそれをなだめる。
二人だけのストロベリータイムが流れる。
愛は周りにも伝播するものですね。
私の表情はポーカーフェイスでしたが
心の中はオドオドしていましたからね。
ピンク色に毒された平常心をビジネスモードにするべく、
私は急いでエレカシの「悲しみの果て」を聞いて
会社に向かったのでした。
小林朋広
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