53年である、正確に言えば53年7ヶ月と11日である。
なんて、なんて長い時間。
先日、2週間かかって読んだ“G・ガルシア=マルケス/コレラの時代の愛”
にて、初恋の女の人に振られたその後、男は待ったんである。
その間に彼女は町の名士と結婚し、彼の頭は禿げ上がり
内戦だけは変わらず起こり続けたけれども、53年待ったんである。
本についてはもう読んでもらう以外に説明の仕様がないのですが、
↑↑の文章だけでも、相当ぶっ飛んだ男の話だということは
分かっていただけるかと思います。
私だって、“53年も片思いした”なんて日常生活で聞いたら
かける言葉も思い浮かばないくらい・・ヒキます。
でも、この色んな意味で長い本を読んでいるうちに
その不合理な恋がいつ自分に降りかかってくるかわからないレベルまで
落下してくるのは、ノーベル賞作家の手腕なのかしらん。
待った男、はもちろん自分の人生をフイにしないように
新しい恋を探したし、幾らかの女の人と寝もした。
日々の雑務もちゃんとこなしたし、船会社の役員にまで登り詰めもした。
でも、初恋の人への思いだけが半世紀を経てなお、
老いた体とは対照的にいつまでも若い果物の匂いを放ちながら、
厄介な腰痛のように彼の心を叩き続けた。
結末をここで言うわけにもいかないので、個人的な書評としては
厄介で愛しい男友だちがひとり増えたような
気分になる本でした。捨ておけない友だち。
こわっぱでした☆
PINS FACTORY(ピンズファクトリー)は
オリジナル・デザインのPINS(ピンズ・ピンバッジ・ピンバッチ)を
受注製作する専門メーカーです。
http://www.pins.co.jp