半島に先住民がいたことはたしかである。その征服とそのあとにつづく満州からの移民が当然のことながらなんらかの痕跡を残しているとはいえ、朝鮮人は隣邦の清国人とも日本人とも著しく異なっており、顔だちにはたいへんバラエティがあって、しかも衣服が画一的なのでいっそうそれが目につく。日本や清で外国人を悩ませる、現地の人々を識別するむずかしさは朝鮮には存在しない。目尻の上がったモンゴロイドの目とややブロンズ色を帯びた肌はたしかにここでも見られるが、しかし肌の色は浅黒いオリーブ色からきわめて淡いブルネットまでとさまざまである。鼻はまっすぐなわし鼻もあれば、鼻孔のふくらんだ横広がりのしし鼻もある。髪は暗色であるが、その多くは見かけのよい漆黒とするには黒色顔料と油をしょっちゅう塗らなければならないほど赤茶の色合いがはっきりしており、毛質は剛いものから絹糸のようなものまである。口ひげとあごひげがたっぷりある男性がいるかと思えば、ひげのかわりにわずかな髪を丹念に手入れしている男性もいるものの、大半は濃いあごひげを生やしている。唇のふっくらした幅広の口をぽかんと開けている光景は下層民によく見られ、同じふっくらしていても小さな口、あるいは唇が薄くて上品な口は貴族に多く見られる。
目は暗色であるが、濃い茶色から薄茶色までさまざまである。頰骨は高く、ひたいは帽子その他で隠れていないのを目にしたかぎりでは、広くて知的なひたいがとても多い。耳は小ぶりで形がよい。一般に表情はにこやかで、当惑が若干混じる。顔だちから察せられるのは、最良の場合、力あるいは意思力よりも明敏さである。朝鮮人はたしかに顔だちの美しい人種である
体格はよい。男性の平均身長は五フィート四インチ半(1)[一フット(フィート)=三〇・四八センチ。一インチ=二・五四センチ]であるが、女性の平均身長は確認できず、また男性とは不釣り合いに低いうえ、めったに見ることのできないその姿は世にも醜い服装で欠点が誇張され、ずんぐりして横幅が広い。男女とも、またどの階層も、手足はとても小さく色白で美しい形をしており、アーモンド形をした先細のつめがちんまりとついている。
この人口は単一民族で、黄色い肌、細長くて黒い目、黒い直毛の髪がつねである。軽い地方訛りはある程度あるものの、国じゅうの人々が同一言語を話し、寺社、家屋、衣装にも全国で同様の同一性が見られる。
日本は「東洋的壮麗さ」の枠から外れている。彩色や金箔は寺社でしか見られないし、宮殿も一般住宅も灰色の木材を使っている点は同じである。建築学はほとんど存在せず、富はあるとしても外に表れない。くすんだ青、茶色、灰色が通常用いられる衣服の色である。宝飾品は身につけない。なにもかもが貧弱で迫力がなく、どの町も単調で地味を特徴としている。 開港場の日本人は外国人との交流のせいで品位が落ち、下卑ている。内陸の人々は「野蛮人」とはおよそほど遠く、親切でやさしくて礼儀正しい。わたしがそうしたように、女性が現地人の従者以外にお供をだれもつけずに外国人のほとんど訪れない地方を一二〇〇マイル旅しても、無礼な扱いや強奪行為にはただの一度も遭わずにすむのである。