はぎおの「ツボ」note

興味がかなり偏ったはぎおが「ツボ」にはまったことを、のんびりと、時に激しく?!思いつくまま綴ってます…

『太秦ライムライト』

2014-06-16 19:44:30 | 記録:映画

「ワールドカップ、日本戦初戦」という、世の中では大盛り上がりの日に、はぎおは一日中「時代劇」を見てました。(なんという天邪鬼

自分では、充実した一日でしたが中でも見てよかったのがこちら↓

 

 

最近、あの名「斬られ役」福本清三さんが脚光を浴びてますねぇ~
(ニュース記事)

(読売新聞2014.6.14 拡大できます!)

脇役専門の彼が芸歴55年にして初めて主演を務めた

「太秦ライムライト」

という映画が公開されるそうで、何かと話題を集めているらしい。

 

実は、今年初め、NHKのBSで、この映画と、その制作現場のドキュメンタリーが放送され、録画していたのを忘れ、今頃になってようやく拝見。
もっと早く見ればよかったと、後悔しきりで

 

あらすじはこちら↓(ネタバレです)

京都・太秦にある、日映撮影所。そこに所属する香美山清一(福本清三)は、斬られ役として長年大部屋俳優を務め、無数のチャンバラ時代劇に出演してきた。ある日、およそ半世紀にわたって放送されていたテレビ時代劇「江戸桜風雲録」が打ち切りになり、後番組として若年層向け時代劇がスタートするが、そこにはベテランたちが活躍する場はなかった。そんな中、香美山は伊賀さつき(山本千尋)という新進女優と出会い、殺陣の師匠となって彼女に指導をしていくが……。 (yahoo!映画より)

 

斬られ役の中でも、正直セリフがないけれど(あまり得意でなさそうで)、醸し出す不気味な雰囲気と、「海老ゾリ」しながら倒れる迫力ある斬られ方で、時代劇を見ている人なら知らない人はいない、福本先生(と勝手に呼んでるもので

その彼をメインに、彼同様脇に徹する仲間たち(これがもう、時代劇大好きのはぎおにはたまらないキャスティングで)、そして時代劇に憧れる新人女優、時代劇の大スター、撮影所の関係者、元大女優の料理屋の女将などなど・・・まるで今の「太秦」そのもののドキュメンタリーを見ているような映画です。

正直、楽しいばかりの映画ではない。
民放から時代劇のレギュラー放送がなくなり、ベテランたちも仕事は激減。毎日「掲示板」で仕事の有無を確認し、現代劇や「映画村」のショーなどで食いつないでいるが、高齢のため体はボロボロ。そして、辞めていく仲間が増える一方。
また、「新風」を入れるという意味で若手のプロデューサーが若手の監督を起用するが、CGを多用したり、衣装もぶっ飛んでて、ぽっと出のアイドルが主演する(しょーもない)作品になり、「職人」である斬られ役も単なる「エキストラ」の扱いで邪険にされている。
毎日、フィルム撮影の頃の「時代劇」と「刑事ドラマ」ばかり見ているはぎおにとって、うれしい配役に喜びつつ、とても寂しい気持ちで涙が出そうになった

 

この映画の監督は、ハリウッドで勉強してきた若手。そして撮影監督は外国人
太秦の伝統的な方法と全く異なり、両者が困惑しながら、議論を重ねながら作り上げられた様子をドキュメンタリーで見たけれど、正直、こちらの方が胸に迫るものがあった。(「宝塚日本物」の殺陣でもおなじみ、殺陣師の清家三彦さんもかなりイライラされてて緊張感があった)

「大量のカット割り」でいろんな角度から見せようとするハリウッド方式と、特に殺陣の場面では「ワンカット長回し」が常識の太秦。
どちらが良いのかは見る側によって違うかもしれないが、「時代劇」は約束事・舞踊の要素が多いから、やはり一方向から撮るのが美しいと思う。
カットが多いと逆に迫力が無くなり、「嘘っぽく」見えるのは、はぎおだけだろうか。不思議な気がした。

 

ヒロインを演じたのは、新人の山本千尋さん。
どこかで見たなぁ・・・と思っていたら、中国拳法の美人チャンピオンか何かで、テレビで見たことがあった。
なので、殺陣からアクションから、そんじょそこらの女優さんとは全くキレが違う。
お芝居も初めてとはいえ、キラキラ、生き生きしていて素晴らしかった。

 

でもやはり、際立っていたのは福本先生
お芝居であるとわかっていても、朴訥だけど、一つのことに一徹に、続け通してきた一人の「職人」の、人生そのものが映し出されたような作品だった。(やっぱりセリフは苦手そうで、そこがまた可愛い
そう、彼は「役者」である以上に「職人」なんだなぁと、改めて実感脇が上手くないと、主役は引き立たない。それをわかって徹しているのが素敵

「誰かがどこかで見ていてくれる」

【縁の下の力持ち】ならではの一言。役者だけでなく、どの仕事にも共通する、深~い重みのある言葉。
はぎおも頑張ろうっと



この映画、題名にもあるようにチャップリンの「ライムライト」がベースになっているんですが、実は、福本さんもこの映画が大好きなんだそうで。

 

「縁の下」は福本センセだけではない。「殺陣師」を演じた峰蘭太郎さん、仲間の木下通博さん柴田義行さん、他にも、どこかで見たことがある人たちが、いつもは脇で目立たない存在の彼らが、メインとなってお芝居していることにもう感動

そこに注目したプロデューサーの大野さん、落合監督も素晴らしい

あとは、斬られ役が若手の頃憧れた大御所俳優に、「大部屋」出身の小林稔侍さん、そしてその付き人に、同じく「大部屋俳優」から個性派に上り詰めた拓ボンこと川谷拓三さんの息子、仁科貴さん(久しぶりだねぇ)というちょっと憎らしい配役

あとは、ホントに大御所、松方弘樹さんが「脇役」として出演。
特に、福本さんと松方さんの二人きりの殺陣は本当に迫力があって素晴らしい~やっぱり血が騒ぐねぇ

残念だったのは、もっと「時代劇」に縁のある人たちが出演しても良かったんじゃないかなぁ~と

 

出演していた「水戸黄門」格さん役、合田雅吏さんもドキュメントで話していたけれど、
「100年続いてきた伝統文化である「時代劇」の火を消してはいけない」
まさに、そう思う。先日、里見浩太朗さんも同じことを話していた。

松方さんも、里見さんも、高橋英樹さんも、松平健さんもそうだけど、みんな未だにキレのある殺陣ができるのに。

宝塚でもそうだけど、若い子も日本物をもっとやりたいと言ってる。
若い役者さんだって、時代劇をやりたい人、いっぱいいると思うんだけどなぁ~
今のうちに後継者を育てないと、ホントに廃れちゃうよぉ

 

確かに予算はかかる。
でも、下手なドラマを大量に作るより、その本数を減らしても、時代劇のレギュラー放送を作ることはできないのかしら。
TBSも日テレもテレ朝もフジもテレ東も、それぞれ代表作があったじゃないですか
(「大河ドラマ」はいわゆる「時代劇」の枠を超えすぎて、個人的には数には入れられないけど、唯一NHKだけが時代劇放送を続けているのが救いだと思う)
だって、時代小説は毎月山のように出版されているのに。
殺陣が見たいんですよ、殺陣が

 

素敵な映画だったけど、ちょっぴり寂しい気持ちにもなった。
これを機に、また「時代劇」が脚光を浴びて、復活するといいな~


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2 コメント

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UZMASAの火花 (リューザキ弾正)
2014-06-19 08:21:48
↑このドキュメントの折り、松方弘樹さんが、
「スタジオパークからこんにちは」に出演されておりました。
殺陣師の清家さんと若い監督さんの対立の裏話をされておりました(^^;)

私もこの作品を拙ブログに記事にしましたが、
松方さんは「時代劇は伝統芸能」とおっしゃられていました。
まさに、伝えなくては絶えてしまいます。

ヒロインを演じた、山本千尋さんは、往年のアクション女優・志保美悦子さんを彷彿させました。
彼女がこのまま時代劇の世界で頑張ってくれれば・・・

今、BS時代劇「妻は、くノ一 最終章」を放送しておりますが、
この作品を撮影している時、松竹では、時代劇撮影を3本抱え、
「妻くの」の撮影の合間に、他の作品の「本番!」の声が聞こえて嬉しかった、と市川染五郎さんがおっしゃっておりました。

そのひとつの作品の主演の高橋光臣さんは、東映剣会の研修所で研鑽を積んだことがあるそうです。
その「教え子」のために、東映剣会の方々が、ゲスト出演に来て下さったそうです。

機運は、高まっているし、
時代劇を待ち望んでいる人は、沢山いると思うのですが・・・
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Unknown (はぎお)
2014-06-19 22:20:39
>リューザキ弾正さん
こんにちは。

>殺陣師の清家さんと若い監督さんの対立の裏話をされておりました(^^;)

ハラハラしましたねぇ。いくらハリウッドが映画の都といえども、日本の時代劇だって100年の歴史がありますから、プライドもありますよ!

>山本千尋さんは、往年のアクション女優・志保美悦子さんを彷彿させました

そうですね!本当にカッコよかったですし、お芝居もどんどん伸びそうですね。女優さんとして今後がんばってくれるのかな?

>機運は、高まっているし、時代劇を待ち望んでいる人は、沢山いると思うのですが・・・

絶対そう思います!あとは、テレビ局・スポンサーの努力次第ですね。ここで、腹をくくる企業が一つでも現れれば、拍手喝采♪

そういえば、たま~の放送だった「大岡越前」がレギュラー化されるんだとか。BSではなく、地上波でぜひお願いしたいです!
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