やっと、念願の鹿賀さん近年の代表作、「ジキルとハイド」のチケットを確保出来ました。しかも今回で彼はファイナル

最初にして最後の公演を、夢心地で観劇に行きました
19世紀のロンドン。
「人間の善悪を分離できる」という確固たる自信の自分の理論に周囲に理解されないジキル博士は、自分の体でその薬を試してみる。
穏やかで真面目な青年ジキル博士は、やがて暴力で自分を解放する悪魔のようなハイド氏に変貌し、自分自身をコントロールできなくなる・・・
タイトルは知っていたものの、初めて結末まで知ってしまった。
もう衝撃的

何がって、内容もそうだけど、鹿賀丈史という俳優のすごさを見せ付けられた気がした事

なんの特殊メイクも仕掛けもなく、舞台上で一瞬にしてジキルからハイドへ変貌した時の表情といったら・・・・
真面目がゆえに若さで突き進むジキル氏を見ていたときは、ちょっとこちらが気恥ずかしい感じもしましたが(ゴメンナサイ

)、ハイド氏に変貌してからは、もう釘付け

彼の持ち味である妖しさがまさに開放された感じで、圧倒されっぱなし。
変貌振りもさることながら、ハイドをコントロールする事ができないジキルの苦悩振りがビンビン伝わってきて、こちらまで苦しい心境に。
正直、ビブラートの聞いた歌声はあまり得意ではないですが

「レミゼ」のバルジャン役よりも、心地よく聞けました。
ジキル→ハイドの声や音域の差は、並みの役者ではできませんね
これがファイナルって本当に惜しい気がするけど、パンフで本人が語っていたように「歳を重ねるごとに円熟味を重ねる類の作品ではない気がする」というのは、判るような気がする。何より体力と精神力が必要だもん。
まだまだ現役で見ていたいですから
その昔、30代の鹿賀さんからファンになりました。何がって存在そのものに

でも今回改めて、幅の広い役者として鹿賀丈史に惚れてしまった気がします

舞台もいいけど、その個性と存在感でドラマもどんどん出てくれないかなぁ・・・
それにしても、二人の女性から愛されるって、モテモテですねぇ
鹿賀さん話が長くなりましたが、他の役者さんについて。
マルシアのはまり役となり、ジキルとハイドの間で揺れ動く娼婦ルーシーには香寿たつき。途中参加で相当プレッシャーがあったのか、今までの彼女からは感じられなかった力みが伝わってきてこちらまで力が入ってしまったけれど、出てきただけで色気のある、でも可愛くて素直でどこか悲しげなルーシーが存在した

マルシア版も見たかったことは事実だけど、こちらはCDで楽しもう。
ハイド氏の友人、アターソンには戸井勝海。
初めて「レミゼ」を見たときに、マリウス役で出演していて、しかも広島出身。その時から気になる存在でした

真面目で気のいい、突き進む性格のハイドを抑えてくれる、頼りになる友人の弁護士。まさにはまり役だと思いました。が、やはりちょっと鹿賀さんとの年齢差を感じてしまった

これは誰が悪いわけでもないですけど。
この役は初演で段田安則

再演で池田成志

再々演で石川禅と、役者として個性を確立してきた方々が演じてきた役。それぞれを、特に段田版、池田版は興味津々。ぜひ見たかった
ジキル氏の婚約者エマには鈴木蘭々。
歌もそこそこ上手いし、可憐で、悲劇的。結構役にはぴったりだったけど、これこそ、年齢差を感じずにはいられなくて、申し訳なかった

それと、実力派揃いの中で、少々小さく見えた気がして、もったいないなぁという感じで。
エマの父親カルー卿は、浜畑賢吉。
鹿賀さん以外のメインで唯一初演からの出演者ということもあり、安心して見ていられた。ハイドへの不安と、娘を手放す寂しさが手に取るように伝わってきた。初めて歌声も聴いたけど、心地よかった
この「ジキルとハイド」という作品、善と悪という単純な事ではなく、人間の二面性がもたらす悲劇を目の当たりにした、そんな気がした。
二面性なんて、誰にでも存在しますからね。はぎおなんて幾つの顔があることやら

奇しくも前日の「コンフィデント」も、人の心の内面を描いた作品。
2日間で、いろんな事を考えさせられました。
歌も、もちろん芝居も素晴らしい、記憶に留まるに違いない作品だった。だけど、ミュージカルの演出?構成?はぎおにはしっくり来ないところがありまして。舞台に集中していても、すっと冷めてしまう間があって。
これは個人の主観で、作品自体の問題ではないのかも知れませんけど
あ~長くなってしまった

何だかんだいって、気に入ってるんじゃない
この作品、今回で一度終了してしまう。
次にハイドをやる役者が、一体今いるだろうか

といろいろ考えつつ、帰路に着いたのでした。
PS.観劇後、通勤途中の車内のBGMはもちろん「ジキルとハイド」

きっと観ることが出来ないだろうと随分前に購入済だったのを、こうして観劇後に聴く事になるとは・・・・舞台を思い浮かべながら感慨にふけってます