Haru S.の部屋

都内のピアノ教室です。ピアノレッスンのことを綴った真面目なことしか書いていない、でも少し役立つかもしれないブログ。

ピアノ教本、スタンダードはどちら?

2024年07月15日 | レッスン

 

 

ピアノ教本には大きく2種類あります。

 

ⓐまんなかのドを1の指で弾き始める

ⓑ3の指でノンレガートから弾き始める

 

日本で最も多いのはⓐです。

アメリカもⓐです。

 

日本人は12345とあったら1から始めるでしょう。

ドレミファソラシとあったらドから始めるでしょう。

 

大多数の人はそこに疑問を感じないと思います。

秩序を大事にするのが日本人です。

 

いつしかそれは決まっているからにすり替わります。

 

 

アメリカの場合はピアノでここから始めるのは

単に楽だからだと思います。

考えなくともそこに指を置けば良いし、

レはドの隣だから指も隣の2にすれば良い。

 

効率重視。時短!

 

 

ところが、少なくとも1の指から弾き始めることは

身体的には無理があります。

 

ピアノは腕の重さを鍵盤に載せて弾く楽器です。

さらに、腕は少し持ち上げ自分で支えなければいけません。

 

それをいきなり親指1本ですることは

理にかなっているでしょうか。

 

ⓐの問題はそこにあります。

 

 

ⓑはヨーロッパで行われている方法です。

ピアノの発祥はヨーロッパのイタリアです。

 

ドを1の指で弾く曲を初期に習ったとしても

それが日本の教本のように

それしかない、連続して何度も弾かせる

ということはしません。

 

私が見たフランスの教本では、

出だしは両手とも3の指から始められるミの音、

5小節目は右手レで2の指、左手レで4の指、

最後でやっと1と5の指を使うように曲が作られていました。

 

1の指は特別にエクササイズがあり、

それはロシアやドイツでもよく使われているものです。

 

 

ピアノ大国ロシアでは必ず3の指から習い始めます。

東ヨーロッパもロシアの影響を受けていますので、

同様のものが多いです。

 

私の手元にあるドイツの教本は

234の指で黒鍵を弾くものから始まります。

 

長い指でノンレガートから始める理由は明白です。

 

腕の重さを鍵盤に載せやすく、

腕を支えやすく、

音を離す時に手首から持ち上げる動きがしやすいからです。

 

それにより何を得られるか。

力みにくくなるので、美しい音で弾け、

速いパッセージも弾けるようになること。

 

ゆっくりなテンポの曲では歌うような音、

速いテンポの曲ではしなやかで華麗な音、

柔らかな弱音、果てしなく広がる強音。

 

そのような音に近付く可能性が広がります。

理にかなった効率性がⓑです。

 

 

東ヨーロッパは先進国のイメージがないかもしれませんが、

クラシックピアノの世界では最先端です。

これらの国からどれだけ多くの素晴らしいピアニストが

誕生していることでしょう。

 

その歴史が全てを証明しています。

 

 

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