ペコリーノのBL読書日記

BLスキーのペコリーノのBL読書日記。素人の感想&個人的な覚書です。100%自分向けのためネタバレ全開です。

「夜に咲く花」剛しいら・著 イラスト・麻生ミツ晃 笠倉出版社CROSS NOVELS

2008-12-20 01:03:37 | 剛しいら
「夜に咲く花」剛しいら・著 イラスト・麻生ミツ晃 笠倉出版社CROSS NOVELS
 2008年12月23日初版 238ページ 890円+税

 イラストの麻生ミツ晃先生は、BLだけではなく「FEEL YOUNG」にも描いておられるようですね。

 ストーリーは・・・男は何もかも持っていた、金も地位も名誉も。祖父からの多額の贈与がきっかけで、小説家になってしまった神宮寺は、日々の生活に面白みを求めていた。そんな時、彼は水樹という青年と引き合わされる。清楚な雰囲気に心惹かれた神宮寺は後日、「叔父が行方不明になった」という水樹の元に向かう。古びた洋館と温室、幻想的な空間の中で推理を始めたその夜、ベッドで物思いに耽る神宮寺に妖艶な表情を浮かべた水樹がのしかかってきて―というもの。

 まず、主人公である攻めの名前が「神宮寺幸多朗」って時点で、駄作臭がプンプン。あらすじでは「神宮寺」と記載してありますが、文中では「幸多朗は~」のように書かれているので、幸多朗、幸多朗という字面を見るたびになんともなまぬる~い気持ちになりました。

 幸多朗は大金持ちの名門一家の生まれで、大学院を卒業した24歳の時に、祖父に呼び出され、「ワシが驚くような方法で、金を生かしてみろ」と言われ、大金を渡されます。幸多朗は1年、世界を放浪し、その経験を生かして小説を書き、賞に応募。見事受賞し、ベストセラー作家になります。

 そんな幸多朗のもとに、植物の肥料を生産している会社への投資話が持ち込まれます。その会社の社長が水樹の叔父で、水樹は研究者としてその会社に勤めていました。
 ある日、水樹の叔父が失踪し、水樹は幸多朗に助けを求めます。
 この後、水樹の叔父失踪の謎と、水樹の豹変の謎(二重人格)を幸多朗が探っていくことになるのですが、これがなんとも中途半端。

 水樹が別人格になる原因は、水樹の叔父が温室に持ち込んだ月下美人の新種の匂いで、それに誘発されて淫乱な人格が現れるというもの。
 幸太郎は当初、水樹が二重人格であることに気づかずに誘われるままに抱いてしまいます。その時、態度は慣れているっぽいのに、身体はヴァージンのようでした。
 叔父は水樹に道ならぬ思いを抱いており、水樹に催眠術をかけて淫乱なもうひとつの人格を呼び出したというのか作り出していた・・・というのですが、叔父はなぜか、水樹に手をだしては居ませんでした。
 催眠だとか、入念な下準備をしたのに何故??

 叔父の失踪の理由は、月下美人の研究者(男)と関係を持っており、この研究者が叔父が水樹に想いを寄せていることを知り、叔父を殺し、水樹に罪をかぶせようとしていた・・・というもので、叔父失踪の謎の解決が、思い出したように最後の三十ページくらいでだーっとやるのです。
 構成もストーリーも非常に雑でつっこみどころが満載の話です。
 しかし何よりびっくりしたのが、幸多朗の独り言がやたらと多く、独り言で話を進めていくというスタイルです。
 まるで言い訳のように「すまい。考えを纏めるとき、独り言を口にする癖があるんだ」(P186)なんて言ってますけど・・・。
 
 大金持ちで、祖父の妙な申し出がきっかけでひょんなことからベストセラー作家になったという幸多朗のキャラクターがうまく生かされていないような気がしました。

最新の画像もっと見る