料理少年ケン

最近キッチンに立っていると、「ねーねー俺にもなんかやらしてー」とケンがやってくる。
ギリギリまで仕事で全く余裕がないときは無理だが、時間があるときは手伝ってもらう。
とりあえずカレーくらいは作れたらいいだろうと思って野菜を洗って切るところから始める。こっちはハラハラしながら見ているのだが、案外しっかりやるもんだ。


しんけんっ！

切った野菜を火にかけて、煮えてきたらカレールーをいれてかき混ぜながら煮込めば完成。カレーはなんとかできそうだ。
しかし、ハンバーグを頼むと、どうしても粘土遊びになってしまう。
ケンがハンバーグを丸めている所にリエが帰ってくる。
「うわっ！ちょっとケン～、ちゃんと手洗った～？もう、マジで頼むよー！！」
「ちゃんと洗ったよ」
そしてアヤが帰ってくる。
「うわっ！ちょっとケン～、ちゃんと手洗った～？ちゃんと石けんつけて洗った～？？」
「ちゃんと洗ったって～～！！！」
ちょっとむっとしている。
ショウちゃんが帰ってくる
「おっ！ケンやっとるな！ちゃんと手洗った？」
「・・・・・」

ハンバーグはここまでしかまだやらせていない。

私がいなくても、勝手にケンが作って食べる物、それは「フレンチトースト」
これは特別教えたわけでなく、私が作ってるのを見て勝手にマスターしたものだ。

ボウルに卵と牛乳、塩コショーを適当にいれ、ぐちゃぐちゃに混ぜ、食パンを浸して、バターをひいたフライパンで両面焼くだけ。

これは、我が家の作り方で、塩コショーのかわりに砂糖を入れる人や、生クリームを入れる人、ハチミツをかける人もいる。
フライパンでひっくり返すとこさえうまくやれば、誰でも簡単にできるものだが、ケンのすごいところはここからだ。

できあがったフレンチトーストをお皿にのせ、テーブルに運ぶと、引き出しからナイフとフォークを出して並べる。そしてワイングラスに水を注ぎ、軽く揺らしテイスティングするように鼻を近づけ「う～ん」とつぶやきながら満足そうに微笑む。そして、ナイフとフォークでフレンチトーストをお上品に食べ始めるのだ。
たとえ、食卓に自分一人しかいなくても、これをやっている。



ケン・・なんでも、トコトン楽しむ男だ・・

今日の晩ご飯は鶏の唐揚げ。
仕事をちゃっちゃと片付けて、ケンといっしょに作ろうっと！