【2009年12月2日(水)】
◆読んだ新聞
日本経済新聞 12月2日(水) 朝刊 11面
◆記事の見出し
《ブランド変調 1 危機後の選択》《消える欧米品信仰》《消費者成熟、背伸びせず》
◆記事の内容
★モノやサービスの信頼の証しであり、付加価値を生む「ブランド」に変化の波が押し寄せている。海外高級品は顧客離れに直面し、小売業の自主企画品や新興国の製品が国内有力メーカー品に匹敵する支持を得ている。変わったのは経済危機を経験し多くの情報と肥えた目を持つようになった消費者である。
★高級ブランドの中古品販売最大手のコメ兵の業績が振るわない。減収減益だった2009年3月期に続き2009年4~9月期もバッグ・衣料の売上高が前年同期比5%減、時計は同28%減である。「信仰」とまで評された日本の消費者の高級ブランド志向が昨秋のリーマン・ショックを境に薄らいでいる。割安な中古品ですら手が伸びないのだから、新品を扱う海外ブランドの日本法人はどこも苦しい。
★仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは日本国内の2009年1~9月期売上高は前年同期比19%減。「カルティエ」などを持つスイス・リシュモンの同4~9月期売上高は同25%減である。大手海外ブランドの日本市場の売上高構成比は約1割だが、旅行先での日本人観光客の購入分も含めると2~3割に上ると言われている。
★仏服飾雑貨ランセルジャパンの今村真也社長は「1990年代のバブル崩壊時は需要が潜在化しただけで、時間がたてば客足が戻った。今は欲しいと考える顧客そのものが減った」と話す。J・フロントリテイリングの奥田 務社長は「欧米のように身の丈にあわせた消費になってきた」と。
★こうした変化にさらされるのはバッグや時計だけではない。ブランドの持つ付加価値をいま一度問い直す動きは、あらゆる商品やサービスに広がる。企業はブランドづくりの根本的な転換点に立たされている。
●今日の気づき
★もともと、ブランドは商品の品質を保証する信頼の証しだった。有形の商品自体と無形の信頼の証しは一体となって商品の価値を高めてきた。それが進むと、ブランドは商品自体に信頼の証しを与えつつ、信頼だけでなくデザインなど無形の付加価値をどんどん膨らませて「高級ブランド」という商品のカテゴリーを形成してきた。有形の商品価値さえ保証されていれば、無形の付加価値はそこまで大きくなくても良いというニーズが出てきてもおかしくない。経済危機がきっかけとなったことは否めないが、成熟社会では、たどり着くスピードはともかく、当然の帰結に向かっているのではないだろうか。
★商品の品質は下がることはない。向上に向かい続ける。極論すれば、ブランドマークで保証されなくても、生活者の信頼を得る品質レベルの商品が今後どんどん増えてくるということになる。そうなるとブランドは不要ということにもなる。今のブランドに求められているのは品質保証以外の部分で膨らませてきた付加価値の再構築である。東京・大阪間を3時間で結ぶ新幹線ができた時は「夢の超特急」と言われた。「夢」が日常的な「現実」になった時、2時間半に短縮されると、一部には3時間で良いという利用者が出てきた。将来1時間が実現した時には、新幹線のすべての利用者を「1時間」の顧客へと誘導することはできないだろう。2時間半や3時間のダイヤが組まれている限りは。
★市場が今までの延長線上で変化しているのではなく、市場を貫く価値観(価値基準)が変化しているので、市場が置かれている次元そのものが変化しているとも言える。当然、マーケティングも変わらなければならない。付加価値も「付加」の意味するものと「価値」の意味するものを分けて見直さなければならないかもしれない。
★「成熟」と「品質の向上」が市場の変化に大きな影響を与える。いったん過去の価値観を否定し、かつ過去の価値観の延長線上にまったく異なる新しい価値観を構築しなければならない時代に来ていると言える。その時、もう1つ大きな要素が加わることになる。エコ、環境問題、企業の社会的責任・社会貢献などである。付加価値をいかにマーケティングに結び付けていくのか。付加価値マーケティングの時代が来たと言えるのではないだろうか。
(東)
◆読んだ新聞
日本経済新聞 12月2日(水) 朝刊 11面
◆記事の見出し
《ブランド変調 1 危機後の選択》《消える欧米品信仰》《消費者成熟、背伸びせず》
◆記事の内容
★モノやサービスの信頼の証しであり、付加価値を生む「ブランド」に変化の波が押し寄せている。海外高級品は顧客離れに直面し、小売業の自主企画品や新興国の製品が国内有力メーカー品に匹敵する支持を得ている。変わったのは経済危機を経験し多くの情報と肥えた目を持つようになった消費者である。
★高級ブランドの中古品販売最大手のコメ兵の業績が振るわない。減収減益だった2009年3月期に続き2009年4~9月期もバッグ・衣料の売上高が前年同期比5%減、時計は同28%減である。「信仰」とまで評された日本の消費者の高級ブランド志向が昨秋のリーマン・ショックを境に薄らいでいる。割安な中古品ですら手が伸びないのだから、新品を扱う海外ブランドの日本法人はどこも苦しい。
★仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは日本国内の2009年1~9月期売上高は前年同期比19%減。「カルティエ」などを持つスイス・リシュモンの同4~9月期売上高は同25%減である。大手海外ブランドの日本市場の売上高構成比は約1割だが、旅行先での日本人観光客の購入分も含めると2~3割に上ると言われている。
★仏服飾雑貨ランセルジャパンの今村真也社長は「1990年代のバブル崩壊時は需要が潜在化しただけで、時間がたてば客足が戻った。今は欲しいと考える顧客そのものが減った」と話す。J・フロントリテイリングの奥田 務社長は「欧米のように身の丈にあわせた消費になってきた」と。
★こうした変化にさらされるのはバッグや時計だけではない。ブランドの持つ付加価値をいま一度問い直す動きは、あらゆる商品やサービスに広がる。企業はブランドづくりの根本的な転換点に立たされている。
●今日の気づき
★もともと、ブランドは商品の品質を保証する信頼の証しだった。有形の商品自体と無形の信頼の証しは一体となって商品の価値を高めてきた。それが進むと、ブランドは商品自体に信頼の証しを与えつつ、信頼だけでなくデザインなど無形の付加価値をどんどん膨らませて「高級ブランド」という商品のカテゴリーを形成してきた。有形の商品価値さえ保証されていれば、無形の付加価値はそこまで大きくなくても良いというニーズが出てきてもおかしくない。経済危機がきっかけとなったことは否めないが、成熟社会では、たどり着くスピードはともかく、当然の帰結に向かっているのではないだろうか。
★商品の品質は下がることはない。向上に向かい続ける。極論すれば、ブランドマークで保証されなくても、生活者の信頼を得る品質レベルの商品が今後どんどん増えてくるということになる。そうなるとブランドは不要ということにもなる。今のブランドに求められているのは品質保証以外の部分で膨らませてきた付加価値の再構築である。東京・大阪間を3時間で結ぶ新幹線ができた時は「夢の超特急」と言われた。「夢」が日常的な「現実」になった時、2時間半に短縮されると、一部には3時間で良いという利用者が出てきた。将来1時間が実現した時には、新幹線のすべての利用者を「1時間」の顧客へと誘導することはできないだろう。2時間半や3時間のダイヤが組まれている限りは。
★市場が今までの延長線上で変化しているのではなく、市場を貫く価値観(価値基準)が変化しているので、市場が置かれている次元そのものが変化しているとも言える。当然、マーケティングも変わらなければならない。付加価値も「付加」の意味するものと「価値」の意味するものを分けて見直さなければならないかもしれない。
★「成熟」と「品質の向上」が市場の変化に大きな影響を与える。いったん過去の価値観を否定し、かつ過去の価値観の延長線上にまったく異なる新しい価値観を構築しなければならない時代に来ていると言える。その時、もう1つ大きな要素が加わることになる。エコ、環境問題、企業の社会的責任・社会貢献などである。付加価値をいかにマーケティングに結び付けていくのか。付加価値マーケティングの時代が来たと言えるのではないだろうか。
(東)
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