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【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第41回 HCのPBに賢い生活者への対応が望まれる

2009年12月01日 23時00分28秒 | 今日の気づき
【2009年12月1日(火)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 12月1日(火) 朝刊 13面


◆記事の見出し

 《ホームセンター PB重視》《コメリ、インテリア製品開発》《ペット用品 カインズ拡充 円高生かし海外調達》


◆記事の内容

 ★ホームセンターがPB商品の拡大を急いでいる。各社は円高を生かして国外から調達した住居関連用品に自社ブランドを付け、低価格で消費者への浸透を狙う。PBはスーパーの食品などを中心に広がってきたが、ホームセンターがインテリア分野などで本格化することで市場拡大に弾みがつく。

 ★業界4位のコメリは11月から日曜大工や園芸用品など分野ごとに分かれていたPBを「コメリセレクト」に1本化し新たなロゴマークや包材を用意してブランド力を高める。新たにカーテンや寝具などの分野でもPBを開発する。PBの売上高構成比率を28%から5年後をメドに40%に引き上げる。今後は円高を利用して東南アジアなどからの仕入を拡大し店頭売価の値下げも検討する。

 ★2位のカインズはペット用品などの海外調達を増やすのに加えて薄型テレビや加湿器などの家電製品の開発も積極化する。PB比率を現在の3割超から数年内に5割まで高める。

 ★3位のコーナン商事は輸入品を含むPB比率20%を半年前倒しでほぼ達成し来期中に25%まで上げる。

 ★中堅では今春に資本・業務提携したダイユーエイト(福島市)とリックコーポレーション(岡山市)が12月から共同PBを本格展開し2011年2月期に2,000~3,000品目を販売する。

 ★ホームセンターは、近年、ドラッグストアなど他の小売業との競合が激化し主力の住関連用品の価格競争力も低下している。日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会によると、2008年度の市場規模は約3兆9,000億円で3年連続で前年割れしている。

 ★各社の取り扱う住関連用品は一部を除き中堅・中小メーカー製が多かった。今後は円高を追い風に自社PBを浸透させて顧客の囲い込みにつなげる。

 ★スーパーも住関連分野でPB強化の動きが目立つ。イオンや西友が寝具などの格安PBの投入を積極化しており、こうした分野でのPB開発競争が激化しそうである。


●今日の気づき

 ★PB化、低価格化の流れは止まらないであろうし、もっと様々な分野で出てくるものと予想される。その背景にあるのは、品質の向上(安心・安全の確保)と生活者の賢明な買物意識の向上(品質と価格のバランスを見極める判断力の向上)である。量ではなく、いわば質の需要と供給の関係である。

 ★品質の向上は、素材開発技術や生産技術の向上により実現されてきた。商品作りの技術の向上は止まることはない。今後も進んでいく。その結果もたらされる商品は、価格軸で見れば、低価格商品、中価格商品、高価格商品に分かれるだろうが、低価格商品とはいえ、かつての中価格商品以上の品質が得られており、安心・安全の確保は格段に向上していると言える。

 ★生活者の賢明な買物意識の向上は、経済情勢の悪化がその傾向を促進させているということもあるが、商品の品質向上が進んでいくと、賢明な買物意識は必ず高まっていく。賢明な買物というのは品質と価格のバランスを見極めた買物ということである。

 ★今の生活者のPB支持率の向上は、価格だけの問題ではなく、品質の向上、すなわち商品の安心・安全の確保が前提にある。中国製冷凍餃子事件以降の中国産食品の購買意欲の減退は低価格指向だけで生活者は買物行動を起こしているのではないことを示している。

 ★食品PBは「安かろう、悪かろう」から「安かろう、良かろう」へと、様々な経験を積んで進化してきた。その土台が今のPB開発を支えている。食品と住関連用品・インテリア商品では、購買頻度も川上・川中事情も異なるので、同じ平面状で「PB市場」を考えることはできないが、生活者は「安かろう、良かろう」を求めていることは共通している。食品では体の中の安心・安全を求め、住関連用品では体の外の安心・安全を求めている。生活関連用品のPB開発においても、食品PBの経験を生かし切り、生活者の生活環境が向上することを期待したい。生活者は賢明である。

(東)

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