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【木曜コラム】万華鏡/電車の中から   第5回 定着し進化するビニール傘

2009年10月29日 10時47分46秒 | 電車の中から(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月29日(木)】電車の中で世の中の「今」を感じることができるが、逆に、「今」を知らなさ過ぎる自分を気づかせてくれる「鏡」となることもある。日本は世界一の傘大国で、一人当たりの所有本数でも、年間に購入される市場規模でも世界一というのである。
 朝から雨が降っていて、もちろん、皆、傘を差して歩いている。電車に乗ると、向かいに座る7人のうち6人が膝の前に傘を立てている。最近はビニール傘を見慣れているせいか、傘を立てている5人までがデザインの良い傘やカラフルな傘で、ビニール傘が1人というのが、なぜか新鮮に感じる。傘を立てていなくて折りたたみ傘の20代の女性が左端、ビニール傘の20代男性が右端で、デザインの良い傘やカラフルな傘が真ん中に集中したのが傘に目がいくのを後押ししたのかもしれない。
 5人の傘を見ると、40代と思われる女性は赤、30代の女性はピンク。雨の車内で目立っている。あと3人は男性である。1人は30代と見られるが、落ち着いた柄地の傘。あとの2人は上司と部下のような雰囲気で会話をしているが、上司と思われる60代くらいの男性は上品そうな長めの傘、横に座る30代の男性はやや短めだが、上司と差し並べてもバランスが取れるような印象の傘である。特に、男性の立場では、日常生活に使うもので濡れて汚れるものだから、数千円もするデザイン性のあるものやもっと高価なデザイナーズブランドの傘など要らないという意識でいた。特別な外出で使う時は別だが…。普段に使うのは、しっかりさえしていて、体やカバンが濡れなければ良いという考えでいた。前に座る男性たちは、ハレの外出という雰囲気でもない。
 次の駅で7人のうち3人が降りて、新しく乗ってきた男性3人が空いた席に座った。1人はビニール傘だが、30代の男性は持ち手が木製、50代の男性は銀色っぽい渋い色の持ち手の傘である。そして、さらに3つ目の駅で2人が降り、ビニール傘の20代の男性が2人座った。7人中4人がビニール傘になった。やや見慣れた風景に戻ったように感じた。
 日本の傘の市場をちょっと調べてみた。1年間に出荷される傘の本数は約1億3,000万本で人口に匹敵する。また、ビニール傘は世界で年間約7,000万本が生産されているが、そのうちの約5,000万本が日本で消費されているという。そのビニール傘も100円ショップで売られているものから選挙の時に候補者が差す「カテール傘」(4,200円、東京のホワイトローズ社が開発・販売)、さらには撥水性に優れた3万円の傘までピンキリである。傘のプリント柄の部分がUV99%カットと、日傘兼用のビニール傘も登場している。一方、安価なビニール傘は生活者には便利な使い捨て商品のような扱われ方をして容易に捨てられるが、ほとんどのビニール傘は先端部分が接着剤で固定され金属部分とビニール・プラスチック部分が分解・分別できず、ごみ処理場では埋め立て処理をされているという。エコ対策では厄介な存在でもある。工具なしで完全に分解・分別できる環境配慮型の商品も開発されている。
 傘の業界団体である日本洋傘振興協議会(Japan Umbrella Promotion Association=JUPA)は1963年に設立され、独自にJUPA(ジュパ)基準を設定し会員の洋傘の品質・信頼・安心の証としてJUPAマークを添付しているが、2006年にアンブレラ・マスター認定制度を導入した。百貨店、量販店、洋傘専門店の店員や流通担当者を主な対象とし、洋傘売場のスペシャリストをアンブレラ・マスターとして認定する資格制度である。認定試験の合格者は、これまでの2回で、流通関係251人、会員企業245人の合計496人になる。アンブレラ・マスターは既に全国の百貨店などで活躍している。第3回目の認定試験は2009年10月に東京と大阪で行われ、11月に合格者が発表される。
 外見の構造から、安価な商品という印象を持っていたが、認識が改まった思いがする。自らの、傘に対する知らなさ加減を恥じる思いだが、電車の中の1つの光景が、消費市場の「今」を見つめるきっかけとなったことに感謝したい。(荒井)

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