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小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第2回 「598円」特売後の「698円」売価の魅力とは?

2009年10月19日 22時23分58秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月19日(月)】消費の節約指向、低価格商品指向が続き、スーパーの特売攻勢が連日続く。1社の特売チラシが1週間に2回、3回と、新聞と一緒に入ってくる。特売商品、特売価格も周期的に同じものがチラシに掲載されてくるのでマンネリ感すら覚える。マンネリ感を覚えつつ、生活者はいつも買っている商品なら特売の時にしか買わなくなっている。特売で買われる割合が多い商品は、極端に言うと、定番売場をもっと小さくして、特売はもっと大きなボリューム陳列をし、もっと大量に販売して、スペースの空いたゴンドラの陳列を活性化させる智恵を絞るというのは無理なことだろうかと思うことがある。逆に、周期的に特売の対象になる商品の定番売場での販売状況はどうなっているのかと興味がわく。POSデータに販売の状況がきちんと記録されているわけだから、それを長年の経験を生かして分析していくと、定番販売、特売、それに応じた陳列、商品アピール等々、どうすれば良いのか、スーパーでは十分検討されていることと思われるが、生活者の立場から見て、こういう特売の設定の仕方、売価設定の仕方は、どういう根拠なのかと思うこともある。生活者の側で見た1つの例を挙げてみる。
 インスタントコーヒーとはいえ、内容量が多いので当然だが、普段は高い印象を持ってしまう商品が、「これは安い」と思う特売がある。月に1回程度の周期で同じ売価で特売チラシに載ってくる 。他のスーパーも同じだから、1か月を待たなくても、買う店舗を変えれば、いつでも買えるという気持ちになり、「これは安い」と思いつつ、「今日、買わなければ…」というワクワク感はなく、もともと内容量が多い商品なので、なくなりかけた頃に買えば良い、という落ち着いた気持ちでチラシを眺めてしまう。そして、スーパーに行ってみると、本当に、連日、こんなにも売れているのだろうかと思う商品がある。
 何年か前にチラシで、インスタントコーヒーの「ネスカフェ エクセラ 250g 598円」の掲載を見て、「これは安い」と思った。それ以降、注目していると、どのスーパーでも、ほぼ1か月周期で「598円」を打ち出してくる。たまに、もう少し高い売価で入ってくることもあるが、「598円」まで下げられると、通常価格より安いといっても、「698円」や「798円」は商品写真と一緒に掲載されるチラシ価格としては精彩を欠いた印象は否めない。チラシ特売の企画内容全体を見れば、魅力ある特売かもしれないが、企画自体が担当者の努力ほどには生活者への訴求力が大きくなっていないので、単品で見ると、どうしても魅力に欠けてしまう。それでも、担当者の努力が小さくなると、もっと訴求力が弱くなる。大変な厳しい時代を迎えたことになる。
 そこで、ある食品スーパーのチラシ特売を追ってみた。2009年9月5日(土)に5日(土)~8日(火)のチラシが入った。6日(日)限り、1人1点限りで「ネスカフェ エクセラ 250g 598円」が掲載されている。特売初日の5日(土)に店舗に行ってみた。定番売場と隣りの通路脇に段ボール箱のまま陳列し、青地に白抜き文字で「お買得品」と書かれたショーカードの下の電子棚札には「698円」と表示されていた。目当ての6日(日) 。同じ売場を訪れると前日と違っているのは、ショーカードが赤地に白抜き文字の「日替り商品」に変わり、電子棚札の売価表示が「598円」になっていることだけである。特売期間は通おうと、7日(月)も訪れてみた。ショーカードと電子棚札が「お買得品」と「698円」に戻っているだけである。8日(火)には新しく気が付いたことがある。こんなにも連日通うつもりはなかったので、「ネスカフェ エクセラ 250g」以外は目に留めなかった。反省の弁でもある。連日、買物カゴを手にして何も買わないで出口に向かうので、怪しまれないかという弱気が気持ちより足の方を先に出口に向かわせていたということもあるが、特売最終日の8日(火)は、まず定番売場のショーカードが「日替り商品」に変わっていた。電子棚札は「698円」である。実は9日(水)も訪れたが、9日(水)のショーカードは「お買得品」に戻っていたので、8日(火)のショーカード は間違いであったことがわかった。もっと驚いたのは、定番売場の「ネスカフェ エクセラ 250g」の横に「ネスカフェ エクセラ」詰替用220g(ビン重量を含まないのでビン詰250g用)が「おすすめ品」698円で販売されている。さらに、段ボール箱陳列の右横のゴンドラエンド棚に9フェースで「ネスカフェ エクセラ 250g」698円、段ボール箱陳列の通路の奥(壁面冷蔵ショーケースの前)のワゴン陳列では「ネスカフェ エクセラ 150g」と「ネスカフェ エクセラ」の詰替用120gをセットで「お買得品」として「698円」で販売していた。定番売場の「ネスカフェ エクセラ」詰替用220g、ゴンドラエンド棚9フェースの「ネスカフェ エクセラ 250g」、ワゴン陳列の「ネスカフェ エクセラ 150g」と「ネスカフェ エクセラ」詰替用120gのセット販売は5日(土)~7日(月)まではどういう状態であったのかは確かめようがない。結局12日(土)まで通ったが、「ネスカフェ エクセラ」の品揃え、陳列、ショーカード、売価は12日(土)までは8日(火)と同じであった。13日(日)以降のことはわからない。
 そして、10月に入ると、11日(日)限り、1人1点限りで「ネスカフェ エクセラ 250g 598円」が10月10日(土)~11日(日)特売のチラシに掲載されていた。今度は店舗を訪れていないが、このコラムを書くに当たって、19日(月)に店舗に行くことにした。定番売場と段ボール箱陳列で「お買得品」のショーカードと電子棚札「798円」の表示。特売の後の「お買得品」として普通に陳列されていた。9月の「お買得品」よりは100円高い売価設定である。
 250g入りだと1か月は持つ。持たなければ、家が近くであれば2人で来店するとか、時間を変えて来店すれば2個買うのは容易である。「598円」前に「698円」で売り、さらに「598円」後も「698円」で売り続けて、売れ続けるのであろうかと考えてしまう。しかも、1か月後には同じような特売が始まるのである。「698円」で売り続けた間の1日限りの「598円」が「ネスカフェ エクセラ 250g」を「698円」で売り続けるアクセルになったのかブレーキになったのか。生活者の目で見ても、知りたいところである。(田中)

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