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【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第23回 地方産品の「魅力」を日常の食卓に

2009年11月04日 18時30分59秒 | 今日の気づき
【2009年11月4日(水)】11月4日の日本経済新聞の朝刊では社会面に目が留まる。30面に《物産館人気ランキング》、《北海道が圧倒的首位》、《2位は沖縄 JTB調査》の見出しの記事が掲載されている。大手旅行会社のJTBが9月1日~10日にインターネットを通じて行ったアンケート調査の結果を紹介したものである。JTBの、物産館が観光客を獲得するきっかけになっている、とのコメントも伝えている。

 同調査による上位10都道府県は次の通りである。

 ①北海道
 ②沖縄
 ③宮崎
 ④鹿児島
 ⑤京都
 ⑥宮城
 ⑦青森
 ⑧熊本、長野
 ⑨岩手、山形
 ⑩広島、新潟

 1位の北海道の人気度は群を抜いている。2位の沖縄は3位宮崎の3.1倍の得票だが、北海道は沖縄のさらに3.2倍の票を獲得している。宮崎は東国原英夫知事のPR効果もあって人気が上昇しているが、北海道はなんと、宮崎の9.9倍の票を得ている。農産物、海産物、畜産物はもとより、菓子、加工食品でも人気の商品が揃う北海道の人気は揺るぎないものがある。

 売上不振にあえぐ百貨店は、売上の落ち込みを人気の物産展の催事で補おうとしているが、百貨店でも北海道物産展の人気が高く、今年9月には東京・新宿で、伊勢丹、京王百貨店、小田急百貨店が会期を重なり合って北海道物産展を開催し業界の話題を集めた。首都圏に拡大すると、9月は16か所の百貨店で北海道物産展が実施されている。

 一方、JTBは毎年、1泊以上の日本人の旅行(ビジネス・帰省を含む)と訪日外国人について、旅行市場の見通し調査を行っているが、2009年の見通しは2009年1月に発表した。それによると、国内旅行人数(延べ人数)は、2007年実績推計が2億9,981万人、2008年推計が2億9,651万人、2009年見通しは2億9,325万人としている。経済環境悪化の影響を受けて、年々減少傾向にある。とはいえ、毎年、国内旅行に出かける延べ人数は3億人規模にのぼる。また、「食」は旅行の楽しみの大きな要素となっている。衣食住の視点では、「食」は衣、住に比べて地方色が強く、食習慣、料理法を含めて、その地方性を体験し味わえることが旅行における「食」の魅力となっている。旅行で得た経験や帰省先の懐かしい味を求める心が物産展人気の背景ともなっている。

 小売業にとっては、物産展は大きなビジネスチャンスとなる。スーパーでも地方の物産展や全国駅弁フェアなどを開催しており、チラシ特売の目玉の催しとなっている。しかし、通常の営業日の売場を見ていると、顧客の目を引くような人気の地方産品に出会うことは少ないように思う。主婦のように高頻度で店舗を訪れないので気が付かないだけかもしれない。いずれにしても、優良な地方産品は売場活性化と魅力ある品揃えでは大変有力な商材と言える。フェアなどの大きな企画でなく、アイテム数は少なくても、いつも地方の優良産品を訴求するワゴンを置くとか、店舗独自の「定番商品」と位置付けることも可能ではないだろうか。百貨店の物産展が好評だからミニ物産展を開催するということでは、一時の売上効果だけしか期待できない。

 物産館ランキングの記事を見て、物産館やアンテナショップのイメージ、旅行先での経験、百貨店の地方物産展フェアなどのイメージは自然に出てきたし、ランキングの結果を見ても、その通りと、別段、インパクトを感じることはなかったのだが、ふと、最寄り利用の食品スーパーの売場を思い描いた時、生活者の地方産品人気が大きく企画された物産展フェアまでは1つの「糸」でつながってくるのだが、そこから先の日常の食卓との間になると、一種の「断線」を感じる。その「断線」感が、記事に目が留まった理由かもしれない。(東)

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