今週のPOSデータから/売れ筋・トレンド、POSに出る

PosBankシニアアナリスト・井上正敏が、トピックスを展開していきます。

POSBANK、売れ筋ジュース。2週連続、1位。キリン「世界のキッチンから ソルテイライチ」。

2013年06月27日 | 2013年前期トピックス


いま、コンビニに関して、ある話題が賑わいを見せていますね。「常温の飲物」、冷えていない飲物を販売するコンビニが
増え、売れ行きも好調な話題です。飲物には冷やすという、付加価値が絶対に必要と思っていただけに、思考のエアポケッ
トに落ちてしまった思いです。購入する側の立場に立つと、思いがけない発見に出会うことになるわけです。たとえば、猛
暑の夏には冷たい飲みものは何でも同じように売れると考えがちですが、実は違いが見られます。季節に大きく左右される
ことなく、日常的に飲まれているPETボトルのお茶やミネラルウオーターは、5~6月から真夏の7月以降に向けて緩や
かに上昇カーブを描く傾向があります。スポーツドリンクや、最近人気のニアウオータは、梅雨の晴れ間が厳しい6月頃か
ら真夏に向けて販売数が急上昇を見せるのです。ここにニーズの違いが、見られているのでしょうか。首都圏250店以上
のコンビニPOSデータを集計、いち早く売れ筋とトレンドが捉えられるPOSBANKのデータには、こういった商品カ
テゴリーを反映させる最近の動向が現われています。では、キリン「世界のキッチンからソルテイライチ」が、2週連続売
れ筋ランキング1位を占めている理由は、どこに?

グラフ1.は、ジュース・野菜ジュースカテゴリー(小型PET・びん)、日別販売数量推移グラフ(第16週~第25週)
で、第25週の売れ筋上位5商品の推移を見たものです。このジュース・野菜ジュースカテゴリーでは、夏に向かって右肩
あがりのカーブが大きくなるタイプと、徐々に販売数量が増えていく2つのタイプが見られます。暑さの厳しい梅雨明けに
はニアウオーターに近い特徴の「カルピスウオーター」は前者の傾向、健康志向層の定番でもあるトマトジュースや野菜ジ
ュースはゆるやかに後者の傾向を見せるわけです。グラフを見ると、売れ筋上位各商品の安定した推移ぶりが分かります。
そして、6月11日(火)にキリン「世界のキッチンから ソルテイライチ」がリニューアル新発売になり、発売3年目の
今年は、いきなり2週連続して1位を占めています。ライチ果汁の増量による果実感の充実と、沖縄海塩の組み合わせに加
え、熱中症対策の魅力も大きいようです。グラフで「ソルテイライチ」が大きなピークを見せている、6月15日と18日
は、それぞれの最高気温が29.1℃と、29.8℃と、ほぼ真夏日の気温を示し、熱中症が気にかかる天候だったわけで
す。つまり馴染みのブランドのリニューアル効果と、熱中症の予防効果が、2週連続1位の要因になっていると思われます。
「ソルテイライチ」の発売以降、「カルピスウオーター」の販売推移グラフが多少低下した以外、他の商品はほとんど影響
されていないことからも、それが推察されますね。だとすると、ジュース・野菜ジュースカテゴリーの上位商品は、それぞ
れ購入目的がハッキリしているからでしょうか。

表1.は、ジュース・野菜ジュースカテゴリー(小型PET・びん)、売れ筋ランキングです(第25週)。「世界のキッ
チンから ソルテイライチ」が、1位にランキングされ(太字)、販売数量構成比を見ると、2位の「カルピスウオーター」
を大きくリードしているのが分かります。いよいよ、熱中症の季節の到来を物語っているのかも知れません。ちなみに売れ
筋6位に、18日新発売のサントリー「塩のはちみつレモン」がランクインしているのです。厚生労働省が「職場における
熱中症の予防について」で、熱中症対策として推奨しているナトリウムを含有(40~80㎎/100ml)。コンビニでは、
例年以上に熱中症への備えが進んでいるようです。首都圏250店以上のコンビニPOSデータを集計、いち早く売れ筋と
トレンドが捉えられるPOSBANKのデータベース。売れ筋ランキングを見ていると、熱中症の状況が把握できることに
なりますね。 


                         売れ筋・トレンド、POSに出る                  
                               POSBANK

              
グラフ1.ジュース・野菜ジュースカテゴリー(小型PET・びん)、日別販売数量推移グラフ(第16週~第25週)


表1.ジュース・野菜ジュースカテゴリー(小型PET・びん)、売れ筋ランキング(第25週)

      ※ 客層の年齢目安。子供:~15才。若者:16~29才。成年:30~49才。熟年:50才~

                 (POSBANK:首都圏コンビニエンスストア250店以上、調査) 


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