「高山本線 富山駅」
行った日 2018/07/09
駅弁手帳に登場した駅弁 「ぶりかまめし」「ますのすし」
仕事でも何度か訪れたことのある富山駅ですが、新幹線開業で、すっかり様子が変わってしまいました。駅名看板をみても、高山本線の西富山駅は表示されていますが、JRや高山本線の表示はありません。移動時間が短縮できるので、ついつい新幹線を利用してしまいますが、在来線あってのJRです。
この日は猪谷まで行きたかったのですが、前日までの豪雨禍で「ひだ」が運休。仕方なく予定を変更し、糸魚川に向かいました。
「駅そば」
この日は、山かけ月見そばをいただきました。新幹線開業前の富山駅では、圧倒的な存在感を示していた立山そばですが、新駅舎では、一般的なチェーン展開をしている立ち食いそば屋さんと同じようなビジュアルの店舗になってしまいました。その雰囲気からか、出汁にも特徴を感じ取ることができず、袋麺の取り出し方、つゆの張り方や卵の割り方など、雑さだけが気になって仕方がありませんでした。
「駅弁 ぶりかまめし」
このお弁当、「ブリの釜飯」と勘違いされているふしがあるようなのでご注意を!大きな魚をさばいたときにできるエラから胸ビレにかけての身が、稲を刈る「鎌」の形に似ていることからこの部分を「カマ」と呼び(諸説あり)、マグロのカマトロに代表されるように脂ののった美味しい身であることが知られています。このお弁当では、ブリのカマを骨が柔らかくなるまで煮込み、仕上げにタレ焼きにしたものがメインに据えられています。列車内で魚の骨が…と心配しましたが、全く問題ありません。骨も鱗も、固さや食感の違いを感じるものは一切ありません。安心してかぶりついてください。そのブリカマの下にはワカメの含め煮が敷きつめられ、刻み甘酢生姜、わさび菜が混ぜ込まれた酢飯とベストマッチ。味に変化をつけたければと、山椒の粉が添えられています。富山湾の宝石「シロエビ」もアクセントに。特別優れたお弁当です。
「駅弁ますのすし」
駅弁フェアなどでは定番中のド定番、源さんの「ますのすし」です。我が家で初めて口にしたのは、昭和40年代中頃、兄が企画し家族全員を招待してくれた、飛騨高山への家族旅行のときだと記憶しています。往路は北陸本線を利用し、富山駅から高山本線を南下するコースでした。富山駅で乗り換えの際に兄が「名物の駅弁がある」と購入してくれたのが、この「ますのすし」でした。脂がのったマスの身、押しの利いた酢飯。いつ食べても、あの家族旅行の様子と共に、大阪万博前後の活気あふれた日本の姿、蒸気機関車と新幹線が併走するような激しく時代が移り変わって行く様子が、走馬燈のように浮かび上がってきます。源さんのますのすしの歴史を遡れば、明治45年駅弁として誕生したとのこと。100年を超える歴史を持つ駅弁が、次の100年を超える歴史を綴ることができるようがんばっていただきたいものです。