既製品のウールのスカートをリフォームして、トートバッグを作りました*

『ぼちぼち終活』と名付けて、身の回りの片づけを少しずつしている母が、先日、ばつの悪そうな苦笑いをたたえて、わが家の勝手口からそろりと入ってきました。
その手には、見るからに柔らかそうなウールシャギーの、タイトスカートが。
「え、それなに? そんな服、持ってたん?」
思わずそう声をかけると、えへへへ…とちからなく笑いながら
「ずーっと前にすごく気に入って買ったんだけど…一度も着てないのに、(サイズアウトして)着られなくなっちゃったの…」と、苦笑い。
言葉がみつからず、「Oh…」としか言えぬ私を尻目に、勝手にとっとと立ち直った母は、
「それでね! これを解体して、あなたのベレー帽にしたらいいと思うの!
すごくいいウールだから、温かいよ?きっと!」と、目をキラキラ。
Oh…自分の大失敗の尻拭いを、私に押し付けてきやがっておられますわ、このかた…
さもいいことを思いついたかのように言いながら、失敗の証拠そのものを私に隠滅させようとしやがっておられますね…
そう半ば呆れながらも、差し出されたスカートを受け取ってみると、あらやだ、なんて素敵な肌触り!
しっとりしてるのに、表面は短めシャギーでふわふわ。
おまけに、色がいい。
チェックに織られた淡い水色とベージュ色とが、やわらかくグラデーションになっていて、さり気なくおしゃれ。
触れれば触れるほど、眺めれば眺めるほど、これをこのまま処分するのはあまにりも惜しく思われて(母の朗らかな策略にまんまと陥る私よ…)、結局、貰い受けてしまいました。

で、当初は、母の提案通りに、ベレー帽にするつもりでいたのですけれど。
丁寧にほどいてみると、前スカート部分がきれいな一枚の布になりました。
そこそこの用尺もある。
これを細かく裁って帽子にしてしまうよりも、このまま使えたらいいな…
そう思い、少し考えて、ずっと「あったらいいな」と思っていた冬用のトートバッグを作ることにしました。
そうしてできたのが、これです。

前スカート部分を余すところなく使って、バッグの本体を。
後ろスカートの一部を使って、持ち手と見返しを。
底マチはあえて外側に折り返して、アクセントになるように仕立ててみました。
(つけたボタンは飾りです)

内側は、手持ちのリネンで。
簡単なポケットもつけました。
硬めの接着芯を使ったので、自立します。(2枚目画像参照)
ただね…足のあるウールに、それを潰さないように気をつけながら、厚手の接着芯をしっかりと貼ることに神経を使い、相応に手間もかかりました。
それでも、馬力のあるミシンがいい仕事をしてくれたので、全体的にはストレスなく縫うことができました。
思わぬことから始まったソーイングでしたが(笑)、久しぶりの縫製の過程も楽しかったし、なかなか好みに仕上がって、満足です*