昨日の夕方、仕事帰りに寄ったスーパーでのことである
ガリガリに痩せた爺さんがカートを押して歩いている
カートに乗せたカゴの中にはいっぱい物が入っている
それをゆっくり押してる顔に見覚えがあった。
…
小学校、1~2年生の頃にいつも一緒に学校に行って
帰りも一緒だった床屋のエリコちゃんのお父さんだった
いやいやいやいや…それにしても痩せたな
そう思っていると
『おう!!』と手を上げた
俺に気づいてくれたのだった
『久しぶりだね~よく俺の事分かったね~』
まんざらでもねぇだろって顔をしている
そう言えば第二の職場で去年の春にちょっと会話をしたっけ。
買い物かごの中、いっぱい物が入っていて
『いっぱい買ったね~この暑さに負けないように食べてね?水も飲んでね?』
と言うと
お腹の上を手のひらでクルクルとさするようなポーズ
『ほとんど、取っちゃって全然食えないんだ。』
…胃を手術で取っちゃったっていう。
『ちょっと食べると満腹なるから、1日に5回も食わなくちゃなんねぇんだ』
『へぇ~そっかぁ。大変だねぇ。そう言う人は何を食ってんの?』
『食パンだの、レバーだの、何でも食うんだけどよ。』
『そっかぁ。頑張って食べないとね!!』
食べれない人が買う買い物にしてはいっぱい買っていた
さては、エリコの母さんの方がメチャメチャ食うんだな…
家に帰って来て
幼馴染みのお父さんに声を掛けられた話をした
『へぇ~そうだったの。元気に過ごしていけるといいね』的な返事が来るだろうと
そんな風に予想をしていたのに
『そんな久しぶりに会った人からパッと気づかれるって…普通は気づかないもんだよ』
と言うのだ
『何年会ってない人なの?』
『去年の春ごろ、第二の職場でバッタリ会って、「おう!!」って言われて。それが30年ぶりぐらいかな』
…
普通、男の人は年齢を重ねるたびに
仕事や家庭に対する責任感から渋みが出て来るものだ
だから顔つきが変わってきて30年ぶりに会えば誰だか分からない
言われてみて面影が残っていて
『あぁ…言われてみればにゃびくんじゃあないか。久しぶりだなぁ。仕事は何をしてるんだね』
ってなるんだよ?
にゃびちゃんの違うじゃん。そのまま幼いまんまって事じゃん。
…
このセリフを言われたのが夜だったから
カーテンも閉めているし
テレビもつまらない番組だったし
どうやって視線を逃がして誤魔化そうかと。
晴れて窓でも開いている日中なら
空の青さを遠い目で見られたのに。
自然と違う会話にすり替える自信もあったのに。
締めきられた夜のリビングの空間だ
俺に逃げ場はなかった。
ご飯を食べて一人でお風呂に入りながら、スンスン泣くぐらいしか残っていない。
世の中には変わってしまうものがある
美味しいラーメンを出していたはずの店が
だんだん味が変わって来て
昔の方が美味かったのにとか。
合理性を優先させたことで以前と違うモノになってしまった事に
店の人も気づかない飯屋とか
それに比べたら
小さい頃の面影ばっかり残っていて
渋みも円熟味も無いまま大人になってしまったヤツって
それはそれで可愛いなとかならないものかしら。
…
ならないものかしら。
買ったものを袋詰めしていると
エリコの父さんがまたやって来て
ピンク色のレンタルかごを持って
『オメェもコレにしろ。楽でいいぞ。袋、邪魔になるべ?』
店の人でもオススメして来ないレンタルかごを強く推してきた
なるほど。
『いいなぁ~んじゃ俺も今度からそうしよ♪』
エリコの父さんは振り向きもしないで
片手を上げて帰って行った
俺は背中に向かってペコリとして
また袋詰めをした。
…
いや、袋は袋で便利だな
邪魔ってほどでもない
…あまり邪魔だと思うようになったら
次回は女の子で生まれてくればいいだけだもん(その袋じゃねぇわ馬鹿
エリコのお父ちゃん。いつまでも元気でね!
ガリガリに痩せた爺さんがカートを押して歩いている
カートに乗せたカゴの中にはいっぱい物が入っている
それをゆっくり押してる顔に見覚えがあった。
…
小学校、1~2年生の頃にいつも一緒に学校に行って
帰りも一緒だった床屋のエリコちゃんのお父さんだった
いやいやいやいや…それにしても痩せたな
そう思っていると
『おう!!』と手を上げた
俺に気づいてくれたのだった
『久しぶりだね~よく俺の事分かったね~』
まんざらでもねぇだろって顔をしている
そう言えば第二の職場で去年の春にちょっと会話をしたっけ。
買い物かごの中、いっぱい物が入っていて
『いっぱい買ったね~この暑さに負けないように食べてね?水も飲んでね?』
と言うと
お腹の上を手のひらでクルクルとさするようなポーズ
『ほとんど、取っちゃって全然食えないんだ。』
…胃を手術で取っちゃったっていう。
『ちょっと食べると満腹なるから、1日に5回も食わなくちゃなんねぇんだ』
『へぇ~そっかぁ。大変だねぇ。そう言う人は何を食ってんの?』
『食パンだの、レバーだの、何でも食うんだけどよ。』
『そっかぁ。頑張って食べないとね!!』
食べれない人が買う買い物にしてはいっぱい買っていた
さては、エリコの母さんの方がメチャメチャ食うんだな…
家に帰って来て
幼馴染みのお父さんに声を掛けられた話をした
『へぇ~そうだったの。元気に過ごしていけるといいね』的な返事が来るだろうと
そんな風に予想をしていたのに
『そんな久しぶりに会った人からパッと気づかれるって…普通は気づかないもんだよ』
と言うのだ
『何年会ってない人なの?』
『去年の春ごろ、第二の職場でバッタリ会って、「おう!!」って言われて。それが30年ぶりぐらいかな』
…
普通、男の人は年齢を重ねるたびに
仕事や家庭に対する責任感から渋みが出て来るものだ
だから顔つきが変わってきて30年ぶりに会えば誰だか分からない
言われてみて面影が残っていて
『あぁ…言われてみればにゃびくんじゃあないか。久しぶりだなぁ。仕事は何をしてるんだね』
ってなるんだよ?
にゃびちゃんの違うじゃん。そのまま幼いまんまって事じゃん。
…
このセリフを言われたのが夜だったから
カーテンも閉めているし
テレビもつまらない番組だったし
どうやって視線を逃がして誤魔化そうかと。
晴れて窓でも開いている日中なら
空の青さを遠い目で見られたのに。
自然と違う会話にすり替える自信もあったのに。
締めきられた夜のリビングの空間だ
俺に逃げ場はなかった。
ご飯を食べて一人でお風呂に入りながら、スンスン泣くぐらいしか残っていない。
世の中には変わってしまうものがある
美味しいラーメンを出していたはずの店が
だんだん味が変わって来て
昔の方が美味かったのにとか。
合理性を優先させたことで以前と違うモノになってしまった事に
店の人も気づかない飯屋とか
それに比べたら
小さい頃の面影ばっかり残っていて
渋みも円熟味も無いまま大人になってしまったヤツって
それはそれで可愛いなとかならないものかしら。
…
ならないものかしら。
買ったものを袋詰めしていると
エリコの父さんがまたやって来て
ピンク色のレンタルかごを持って
『オメェもコレにしろ。楽でいいぞ。袋、邪魔になるべ?』
店の人でもオススメして来ないレンタルかごを強く推してきた
なるほど。
『いいなぁ~んじゃ俺も今度からそうしよ♪』
エリコの父さんは振り向きもしないで
片手を上げて帰って行った
俺は背中に向かってペコリとして
また袋詰めをした。
…
いや、袋は袋で便利だな
邪魔ってほどでもない
…あまり邪魔だと思うようになったら
次回は女の子で生まれてくればいいだけだもん(その袋じゃねぇわ馬鹿
エリコのお父ちゃん。いつまでも元気でね!