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もっと!なんかすいてた

岩手発グダグダ日記

俺の渋さについて

2018年07月03日 05時54分44秒 | 日記
昨日の夕方、仕事帰りに寄ったスーパーでのことである

ガリガリに痩せた爺さんがカートを押して歩いている

カートに乗せたカゴの中にはいっぱい物が入っている

それをゆっくり押してる顔に見覚えがあった。



小学校、1~2年生の頃にいつも一緒に学校に行って

帰りも一緒だった床屋のエリコちゃんのお父さんだった

いやいやいやいや…それにしても痩せたな

そう思っていると

『おう!!』と手を上げた

俺に気づいてくれたのだった

『久しぶりだね~よく俺の事分かったね~』

まんざらでもねぇだろって顔をしている

そう言えば第二の職場で去年の春にちょっと会話をしたっけ。








買い物かごの中、いっぱい物が入っていて

『いっぱい買ったね~この暑さに負けないように食べてね?水も飲んでね?』

と言うと

お腹の上を手のひらでクルクルとさするようなポーズ

『ほとんど、取っちゃって全然食えないんだ。』

…胃を手術で取っちゃったっていう。

『ちょっと食べると満腹なるから、1日に5回も食わなくちゃなんねぇんだ』

『へぇ~そっかぁ。大変だねぇ。そう言う人は何を食ってんの?』

『食パンだの、レバーだの、何でも食うんだけどよ。』

『そっかぁ。頑張って食べないとね!!』

食べれない人が買う買い物にしてはいっぱい買っていた

さては、エリコの母さんの方がメチャメチャ食うんだな…










家に帰って来て

幼馴染みのお父さんに声を掛けられた話をした

『へぇ~そうだったの。元気に過ごしていけるといいね』的な返事が来るだろうと

そんな風に予想をしていたのに

『そんな久しぶりに会った人からパッと気づかれるって…普通は気づかないもんだよ』

と言うのだ

『何年会ってない人なの?』

『去年の春ごろ、第二の職場でバッタリ会って、「おう!!」って言われて。それが30年ぶりぐらいかな』



普通、男の人は年齢を重ねるたびに

仕事や家庭に対する責任感から渋みが出て来るものだ

だから顔つきが変わってきて30年ぶりに会えば誰だか分からない

言われてみて面影が残っていて

『あぁ…言われてみればにゃびくんじゃあないか。久しぶりだなぁ。仕事は何をしてるんだね』

ってなるんだよ?

にゃびちゃんの違うじゃん。そのまま幼いまんまって事じゃん。



このセリフを言われたのが夜だったから

カーテンも閉めているし

テレビもつまらない番組だったし

どうやって視線を逃がして誤魔化そうかと。

晴れて窓でも開いている日中なら

空の青さを遠い目で見られたのに。

自然と違う会話にすり替える自信もあったのに。

締めきられた夜のリビングの空間だ

俺に逃げ場はなかった。

ご飯を食べて一人でお風呂に入りながら、スンスン泣くぐらいしか残っていない。








世の中には変わってしまうものがある

美味しいラーメンを出していたはずの店が

だんだん味が変わって来て

昔の方が美味かったのにとか。

合理性を優先させたことで以前と違うモノになってしまった事に

店の人も気づかない飯屋とか

それに比べたら

小さい頃の面影ばっかり残っていて

渋みも円熟味も無いまま大人になってしまったヤツって

それはそれで可愛いなとかならないものかしら。



ならないものかしら。








買ったものを袋詰めしていると

エリコの父さんがまたやって来て

ピンク色のレンタルかごを持って

『オメェもコレにしろ。楽でいいぞ。袋、邪魔になるべ?』

店の人でもオススメして来ないレンタルかごを強く推してきた

なるほど。

『いいなぁ~んじゃ俺も今度からそうしよ♪』

エリコの父さんは振り向きもしないで

片手を上げて帰って行った

俺は背中に向かってペコリとして

また袋詰めをした。



いや、袋は袋で便利だな

邪魔ってほどでもない

…あまり邪魔だと思うようになったら

次回は女の子で生まれてくればいいだけだもん(その袋じゃねぇわ馬鹿







エリコのお父ちゃん。いつまでも元気でね!