昨年、身体中の痛みを訴えて、5か月入院し、身心ともに衰弱した母が、兄夫婦のおかげで元気になった。入院前と違って、身体は小さくなり、仏様のように穏やかで、脳の働きも良くなり”しっかりやりなよ”と私を激励したりする。その母が毎日通っている施設で、昨日、お誕生会ということで、私のベリーダンスを披露させて頂いた。母も今日で87歳だ。30人くらいのお年寄りの中で母は前列真ん中に座っていたが、私を見ずに斜め下ばかり眺め暗い顔をしている様子。他の方は笑顔で手拍子をして、立って喜んでくれる人もいた。十数人のスタッフも腰を降ったり、手拍子をしたり。一人のスタッフの方が母の元にひざまずいて、母の手を握って、涙ぐんで私を見てくれた。その方は”よしこさんはみんなを穏やかにしてくれるんですよ。”と言った。こんなにも心を込めて、娘の私が出来ないことまでしてくれている。母の心をすっぽり包見込んでくれている。踊りが終わって、お茶の時、母が”臍なんか出して、みっともない”と真面目な顔をしていった。小さい時、ラジオからの音で私はよく踊った。”うちが金持ちなら日本舞踊でも習わせるんだけどなあ”父と母の50年前の声が聞こえてくる。こんな機会を与えてくれた暖かい施設の方々に母がお世話して頂いていることに感謝!
坂口せつ子
2005年11月25日金曜日
高崎市民新聞連載より転載
坂口せつ子
2005年11月25日金曜日
高崎市民新聞連載より転載