大阪芸大ジャーナリズム研究会

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近鉄長野線、下り線も高架化 2つの踏切は廃止に【動画ニュース】

2023-06-10 23:59:59 | ニュース

 

 

 近鉄長野線喜志駅から富田林駅間で行われていた高架化工事で、6月10日、下り線も高架に乗り入れました。同時に2つの踏切も廃止されました。古市駅では立体交差化を記念して、数量限定の入場券やキーホルダーが販売されています。<宮原裕、長田恭一、小畠綾花、善家碧唯、木本まなみ>


(写真:始発電車が高架を下る様子 2023年6月10日5時20分、喜志7号踏切から撮影)

 

▼火花散らし深夜のレール切り替え作業

 喜志駅から富田林駅間では、6月10日午前0時26分に地上の線路を走行する最後の電車を見送り、本格的に作業を開始。切り替え箇所のバラストをスコップとショベルカーでかきだし、火花を散らしながらこれまでの線路を切断。声を掛け合いながら、てこを使って線路を高架側に移設しました。


(写真:線路を切断する様子 同10日1時13分、喜志1号踏切から撮影)


(写真:線路を移動させる様子 同10日1時24分、喜志1号踏切で撮影)

 近鉄長野線沿線に住む大学生は、「人海戦術というか、人の力で線路は動かすんだなと感動しました。中学、高校の時から長野線は使ってて、高校2年か3年の時から高架化工事が始まって5,6年。やっとここまで来ましたね」と感慨深そうに工事を見つめていました。


▼粟ヶ池バイパスなど2つの踏切も廃止に

 同じ時間帯に2か所の踏切でも作業が進められました。警報機と遮断棒が撤去され、踏切解除の看板が設置されました。まだ線路が敷かれたままのため、一部の車両は一時停止して通行していました。


(写真:廃止された粟ヶ池バイパスの踏切 同11日12時14分、粟ヶ池大橋から撮影)


▼始発電車に手を振る人も

 始発電車の前には試運転電車も運行され、線路の状況を確かめていました。
5時13分、いよいよ高架化が完成し初めての喜志駅発始発電車が出発すると、沿線の住宅からは手を振る人の姿も。
車内には、全面展望を撮影する鉄道ファンと思われる人が乗り込んでいました。

 列車に乗った人は、「やっとか、って感じです。上り線が高架化になった半年後くらいに下り線も高架になると思っていましたが、1年かかったので結構待ちました。近鉄のホームページを沢山チェックして、いつ高架化するのかずっと追っていた」と話していました。
 この日、下り線では、始発から数本は、現場付近を速度を落として通過していました。


(写真:切り替え部を走行する始発電車 同10日5時13分、喜志1号踏切から撮影)


▼記念の入場券やキーホルダーを販売

 今回の近鉄線と府道美原太子線粟ヶ池バイパスとの立体交差完成を記念して、この日から、近鉄古市駅の出札窓口では記念グッズの販売が始まりました。台紙付き記念入場券が1セット360円、記念キーホルダーが1個600円です。記念入場券が300セット、キーホルダーが200個の数量限定販売です。販売期間は7月31日(月)まで、7時から10時と19時から20時の間で、先着順に販売されます。


(写真:記念入場券)

(写真:記念キーホルダー両面)


金剛タクシー、6月末で事業廃止へ 71年間、地元に親しまれた“足”

2023-06-10 15:02:39 | ニュース

河南町や富田林市など、南河内地区で営業している「金剛タクシー」が、6月30日で廃業すると公式サイトで発表。昭和26年の開業から71年の歴史にピリオドを打つことになりました。同業者からは、乗務員不足などが原因ではないかと指摘されています。事業者の金剛自動車によると、金剛バスの営業は続けるとしています。<大坪千成>

(写真:喜志駅前の金剛タクシー。2023年6月撮影)

 

 金剛タクシーは、金剛自動車株式会社(本社・富田林市本町)が運営するタクシー・ハイヤー事業です。

同社ホームページ(http://kongoujidousha.com/index.php)には、2023年5月29日付で、「金剛タクシー事業廃止のお知らせ」が掲載され、「諸般の事情により、下記の通り令和5年6月30日をもってタクシー事業を廃止する」とお知らせが掲載されました。

路線バスの営業は引き続き継続するとしています。

 

営業エリアは、富田林市、河内長野市、大阪狭山市、堺市美原区、南河内郡太子町、河南町、千早赤阪村の各市区町村。近鉄長野線の富田林駅前と喜志駅前に乗り場があります。

同社ホームページによると、昭和26年9月に3台が認可され、同年12月に営業を開始。現在は、富田林市昭和町に事業部を置き、「車両20台で営業」としています。71年間、地域の移動手段として親しまれてきました。

 

(写真:金剛自動車のホームページに掲載された、2023年5月29日付の「事業廃止のお知らせ」)

 

●乗務員不足で稼動率下がる

 

近年、コロナ禍の影響による客離れや、燃料費の高騰で経費がかさんでいることから、タクシー業界は厳しい経営を迫られています。

大阪府内のタクシー運賃は、6月1日に運賃が改定されたばかり。これまでは1.7キロで680円だった初乗り運賃の上限が、1.3キロで600円になるなど、約12%から14%値上げされました。

同業他社の幹部は、「乗務員の高齢化と人手不足で、車両をフルに運行できないことも(金剛タクシーの経営環境悪化の)背景にあるのではないか」と指摘します。「金剛タクシーは一時は20台あった車両が、最近は3、4台しか運行できなくなっていた」という証言は、社の内外から聞かれました。

金剛タクシーに詳しい関係者も、「昔はひっきりなしに乗務員希望者が面接に来ていたが、最近はさっぱりやった」と証言します。

(写真:喜志駅前の金剛タクシー乗り場。2023年6月撮影)

 

●「急ぎの時は使っていた」 大阪芸大の学生や教員

 

   廃業を知った大阪芸大の教員は、「えっ。本当ですか。急ぎの時は使っていたんですけどね」と驚いた様子。「あまり普段使わないが、物を運ぶときや急いでいるときに重宝した。緊急時には必要な交通手段だと思う」という声が、学生からも聞かれました。

 河南町の町民は、「近所の人はみんな使っている。電話で呼んで、乗り降りしている様子を何度も見た。なくなると不便になる」と話していました。

 免許返納などで自家用車を持たない住民にとっては、影響は少なくないと見られます。

 

●第一交通と近鉄タクシーの2社だけに

 

 大阪タクシー協会によると、「河南B地区」と呼ばれる南河内のタクシー事業者は、旧南海電鉄系の大阪第一交通の長野、金剛の2営業所(106両)と、近鉄タクシーの富田林と河内長野の両営業所(14両)の2社となります。

 70年以上にわたって親しまれた金剛タクシーの廃業で、地域住民の交通手段の選択肢が減ることになります。

 

▼金剛タクシーサイト「金剛タクシー事業廃止のお知らせ」=http://kongoujidousha.com/pkobo_news/upload/75-0link_file.pdf

 

(写真:廃業が決まった金剛タクシーの車庫。しばらく運行していないと思われる車両が、ナンバープレートや行灯を外されて埃をかぶって並んでいた。 2023年6月9日 富田林市昭和町1で撮影)