goo blog サービス終了のお知らせ 

おつかれ山っ!/(^o^)\

山行報告&コラム

南アルプス縦走の旅 No5

2005年11月01日 | '05南アルプス縦走の旅

目は覚めているが、余りの寒さにシュラフから出られず、少し明るくなり始めたAM6:00に起床。
テントのジッパーを下ろすと結露して凍り付いた氷がバサバサと落ちて来た。
気温は-8度。外を覗くと、昨日の吹雪とはうって変わって快晴の朝を迎えていた。
南には富士山が大きく裾を広げ、振り向けば兜の形をした大きな塩見岳が朝日に照らされて立ちはだかっている。

驚いたのは、昨日視界不良で気付かなかったが、テントを張ったこの場所の北側斜面が300m程スッパリと切れ落ちていた事。
地図を見れば、この場所は大崩壊地と書かれていて、昨日の吹雪の中、その淵をずっと歩いていた事になる。今はその淵に近づく事すら出来ない。恐い恐い…

今日の行程は三伏小屋までコースタイムで5時間45分と少し余裕があるので、コーヒーを飲みながらテントとシュラフを干して、まったりと過ごした。
温かな朝陽を浴びて、とても心地の良いこんな朝に限って大変恐縮な話しだが、うんこがしたくなった…
一応キャンプ指定地になっているので小さな物置くらいのトイレはあったが、冬になった為か扉を釘で打ち付けてあり、使用出来なくなっていた。
理由が分からない…
夏でも冬でも、春夏秋冬ところ構わず出るもんは出るちゅう話や!ホンマ正味の話し!と、中指でメガネを押し上げたい気分だが、仕方が無いので辺りを物色すると、テントを張ったすぐ脇のハイマツの中に、ポッカリと穴の開いたキジ場らしき場所があった。
シーズン外れで私と奥田以外、全く人気が無いので躊躇なくその場所に身を隠し、スコップで穴を掘った。
開放的な青空の下、ズボンを降ろし、素晴らしいうんこを…いや違う違う違う!素晴らしい展望を眺めながら清々しい朝を迎えたのだった。

凍り付いたテントも、しっかり乾かした所で撤収し、ザックを担いでAM8:00出発!
いきなりハイマツ帯の急登に喘ぎながら2時間かけて塩見岳と北俣岳の分岐に到着。しばし休憩を入れる。
昨日の間ノ岳でステファンとすれ違ってからというもの全く人に会っておらず、誰もいない静かな山中で至福のタバコをふかし、ひと息入れていると、奥田が「二人っきりですねぇ~」なんて言うからゾッとして鳥肌が立ってしまった…
すると突然、髭を蓄えた一人のお兄ちゃんがハイマツの中から現れたのでびっくり!
「こんちわぁ~!いやぁ~ずっと足跡があったから、誰か登ってるな!って思いましたよぉ~!」と、人の少ない山の中、私達の足跡を追ってやっと追い付いた安堵と喜びに満ちた笑みを浮かべ、嬉しそうだった。
「今日はどちらまで?」と、聞くと私達と同じ三伏小屋泊まりだった。
「じゃあ、また後で!」と、彼は先に進み、見る見るうちに塩見岳に登頂、私達を見下ろしていた。
続いて私達もゼイゼイ言いながら、やっとの思いで今回の旅三つ目の百名山、塩見岳に登頂!
お兄ちゃんに「お疲れ様ぁ~!」と祝福される。

山頂は狭く、ハイシーズンには混雑するんだろうな~、こんなんじゃ昼飯もゆっくり食べられないんだろうなぁ…なんて思いながら奥田を見ると、雪を溶かしてラーメンを作っている…
「信州限定のポンちゃんラーメンですよ!羨ましいでしょ!」と、たぬきの絵の付いたパッケージを見せながら奥田は微笑むが、全然羨ましくもなんともなく、いくら今日は時間に余裕があるからってラーメン作るこたぁないだろ!奥田!
そんなこんなで塩見岳山頂には1時間も停滞したので急いで下山。
しかし、これがなかなかの急斜面で時間が掛かった。
クサリも無い岩場で三点支持を心掛け、滑落しないよう慎重に下る。
塩見岳は、どちらから登っても結構急な斜面が多く、苦労する山だった。

ようやく樹林帯に入り、ペースを上げてコースタイムを稼いで歩く。
息を切らしながら最後のピーク、本谷山に到着した時には既にPM2:35。
しかし、なんとか日没までには三伏小屋に到着出来そうな雰囲気でホッとした。
ひと息入れながら、今夜の水の確保の為に、お互いの地図を見ながら確認を取る。
奥田「水は途中で汲んでから小屋ですね!」
私「なんで!?小屋のすぐ脇なんだから、小屋にザック降ろしてから汲みに行けばいいじゃん!」
奥田「えっ!?だって小屋より全然手前じゃないですか!」
私「んっ??」
どうも話しが噛み合わないので地図を照らし合わせて確認すると、私の地図には載っている水場近くの三伏小屋が、奥田の地図には載っていない…!?
奥田「僕のは今年買った地図だから間違いないですよ!」
私「…」
すっかり気にしていなかったが、私の地図はまだ山を始めたばかりの七年前に購入したもので、発行を見れば1998年になっている。
急遽、宿泊地は更に先の三伏峠小屋になり、プラス40分の道程になってしまった。
休憩もそこそこに、慌てて水場に向かう。
谷から流れる水量豊富な水場に辿り着くと、私の地図に載っていた三伏小屋は見るも無惨な崩壊を見せ、人間の夢の跡みたいになっていた…
とりあえず水を確保し三伏峠小屋へ急ぐが、ただでさえ重いザックに水3L=3kgが加わり、ズッシリと重い。
それでも日没までには行動を終わらせないと、日が暮れた山では信じられないほど真っ暗になる。
ゼイゼイ言いながら登り続け、ようやく樹林の中に三伏峠小屋が見えて来た時には本当にホッとした。
PM4:05三伏峠小屋到着

ここ三伏峠小屋は、長野県側から鳥倉林道を使えば2時間30分余りで簡単に来る事が出来る。
多くの登山者が入る為か、山小屋も大きな棟が三つほど有り、かなりの収容人員が有りそうだ。
現在は既にシーズンは終わって小屋閉めしており、一部が冬期登山者の為に開放されている。
その冬期小屋の扉を開けると、塩見岳で一緒になったお兄ちゃんが既に寛いでいた。
部屋は六畳ほどのスペースがふたつ有り、10人も入れば一杯と言ったところだろうか。
早速、日本酒を飲みながら夕食の準備に取り掛かる。
奥田も持参した焼酎を飲みながら、胡麻を食べている。
「胡麻、美味しいですよ!でも、あげないですけどねっ!」
(いらないっちゅーに…)
小屋の中での作業はテント泊とは違い、荷物は広げられるし立ち上がれるし、壁にもたれかかって座る事だって出来る。何よりテントより温かいのが良かった。
結局この日は、塩見岳の写真を撮りに来た中年のおじさんが後から現れて、宿泊者は4人になった。
見ず知らずの人間が、こうして同じ狭い空間で一晩を共にするなんてのも、なかなか山小屋ならではで面白い。
塩見岳で一緒になったお兄ちゃん(松尾康弘君)と話しをしてみれば、なんと彼は夜叉神峠から入り、鳳凰三山~甲斐駒ガ岳~千丈ケ岳~北岳~間ノ岳~塩見岳~悪沢岳~赤石岳~聖岳~光岳を経て、寸又峡に降りる10日間コースだと言う。
南アルプス総なめじゃないか…
私達も結構ハードな山旅だと思っていたが、やはり世の中にはツワモノと言うのはいるもんだ!と、思い知らされた。
私達の旅が台無しじゃないか…

彼は今年、北アルプスの笠ヶ岳山荘で働き、小屋閉めになった為、山を降りて来たと言う。
自宅がある博多に帰る途中、せっかくだから南アルプスを縦走して帰るのだそうだ。
せっかくだから、長野限定ポンちゃんラーメンを買って帰る奥田とは訳が違う。
博多に帰ったら、山小屋で溜まったお金を持って、今度は海外に行くそうである。
そんな自由気ままな彼の生き方を、とても羨ましく思い、色々考えさせられてしまう夜だった。

一緒に宿泊している二人が早めに寝てしまい、おじさんの方は既にいびきまでかいている。
私達も迷惑にならないよう
今夜は早めにシュラフに入った。
就寝PM6:15

続きを読む

最初から読む>>


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まゆ太)
2007-11-02 22:03:32
塩見岳からの下り、雪と氷のミックス状態だったら、恐ろしいですね(汗)
いやいや、読んでるだけでも、ご無事でほっとしましたよ。
この時期だと、日が暮れるのもはやいのに、北荒川岳から三伏とは、お2人とも健脚ですねー
返信する
Unknown (おつ山)
2007-11-03 18:08:41
塩見ってクサリが無いから結構恐いですよねぇ!
ほんと凍り付いてなくて良かったです。
三伏小屋が無い事に気付いてからは、半分泣きながら走りました(汗)
奥田氏は鼻水まで垂らしてました。
返信する

コメントを投稿