夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

2011年 演劇Best5

2012年01月08日 | 演劇

えんぶに投稿するために選んだ。

舞台Best 5

1位 イキウメ 太陽
2位 イキウメ 散歩する侵略者
3位 虚構の劇団 アンダーザロウズ
4位 燐光群 たったひとりの戦争
5位 渡辺えり ゲゲゲのげ


演者 Best 5
1位 木場勝巳 ミシマダブル キネマの天地 
ジャニーズが三島の難しい芝居をやりきれたのも脇を彼が固めていたから。とくに、10回近く見てきた『サド侯爵夫人』のシミアーヌ夫人役は彼が今までで最高と断言できる。たぶん三島がこの作品で最も愛した登場人物で最悪の悪徳が最高の聖性につながるというベナレス的な価値転換や自分自身も投影しているから。やはり三島自身が投影されている『黒蜥蜴』も男優が演じる方がしっくり来るのと同じなんだろう。これから、シミアーヌ夫人役は男がやるべきだとさえ思った。

2位 大竹しのぶ ピアフ
説明不要でしょう。

3位 小林賢太郎 劇作解体新書 ポツネン The Spot

4位 藤原竜也 ろくでなし啄木

5位 中川晃教 ゲゲゲのげ


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2011演劇総括その2

2012年01月08日 | 演劇

以下はネタバレの可能性があります。
7月~12月は34件。

ちなみに、私が芝居のチケットをとる条件は大体以下の通り。

1.好きな役者が出演する。

第一グループ(絶対外したくない) 堤真一 真田広之 内野聖陽 上川隆也 (4人ともTVで好きになったのだが、偶然、舞台出身か舞台にかなり力を入れている人ばかりだった)藤原竜也 斎藤工
第二グループ(できれば行きたい) 佐藤健 古山憲太郎 山崎雄介 
第三グループ (とくに好きというのではないが演技がうまいと思うので舞台の演技を見たい役者)
大竹しのぶ 白石加代子


2.好きな作家の脚本

第一グループ(絶対外したくない) 三島由紀夫 三谷幸喜 野田秀樹 宮藤官九郎 本谷有希子 松尾スズキ 小林賢太郎
第二グループ(できれば行きたい) 坂手洋二 永井愛 井上ひさし 渡辺えり 前川知宏 上田誠 福田雄一

3.好きな劇団・プロジェクト
イキウメ 大人計画 ウーマンリブ 燐光群 虚構の劇団 ヨーロッパ企画 劇団鹿殺し 平田敦子・福田転球の二人芝居

7月
 ベッジ・パードン 三谷幸喜 @世田谷パブリックシアター
ロンドン留学時代の夏目漱石(野村萬斎)の話だが、同宿人(大泉洋)が嫌がらせした動機が「ユーモアのセンス」というのがあまりにもリアリティも説得力もない。また、浅野和之の一人11役は面白いことは面白いがそれで演劇自体の面白さを上げようとするのは邪道。深津絵里の繊細な演技が救いだった。

3日 おどくみ @新国立
庶民にとって天皇は何かを描いたさりげない社会派作品だがあまり感心しなかった。

23日 文楽 心中宵庚申 @国立文楽劇場

30日 荒野に立つ 阿佐ヶ谷スパイダーズ @座 高円寺 
とくに感心しない。

31日 岸家の夏 劇団鹿殺し @青山円形劇場
千葉雅子、峯村リエが楽しんでいる感じが良かった。


8月
6日 ゲゲゲのげ 渡辺えり @座 高円寺
前々から見たかった渡辺えりの傑作。ゲゲゲの鬼太郎をモチーフに現在と過去、いじめの問題と罪悪感などが複雑に交錯する作品。舞台を狭しと駆け回り踊り歌う中川晃教の演技がすごい。馬淵恵里可も舞台女優としてすっかり安定した。燐光群の『現代能楽集』や内野聖陽主演の『イリアス』などの演技も光っていた。
『白線流し』に出た女優4人のうち、ダントツで人気だった酒井美紀が精彩を欠き、脇だった馬淵が舞台女優として活躍、京野ことみ(渡鬼で馬淵と同居する役だったのには驚いた)、遊井亮子は脇役専門ながらドラマの仕事が途切れないのと比べて皮肉だなと感じる。

夫は2011年に見た中でこれが一番といっている。

奥様お尻をどうぞ ケラリーノ・サンドロヴィッチ @本多劇場
ものすごく笑えるがそれだけ。

7日 クレイジーハニー 本谷有希子 @パルコ劇場
予定より遅れに遅れた本谷の新作。今まで『幸せ最高ありがとうマジで』『来来来』がすごく良かったので期待大。
いつもドMの痛い主人公が出てくるが、今回は若い美人の物書きで本谷本人とかぶりすぎてちょっと正視できなかった。
初舞台にしては長澤まさみはそつなくこなしているが、演技よりあまりにも白くて長いきれいな足に同性ながら釘付けになってしまった。

天使は瞳を閉じて 虚構の劇団 @グリーンシアター
旧作らしいが、冒頭に原発事故後の処理人員の話が出てきて、ドームの中に町を作り、外界の致死量の放射能から免れている町を舞台にしたタイムリーな作品になっている。
第三舞台と同じ役をやった大高洋夫(私は三谷脚本の深夜ドラマ『子ども、ほしいね』の印象が強いんだが)がファンには嬉しいんだろう。

 奇っ怪 @世田谷パブリックシアター
イキウメの前川知宏のホンなのでいった。大災害による死者への鎮魂をモチーフにしていてタイムリーだが、イキウメほどの評価はできない。

斎藤工 握手会 @池袋サンシャイン
メジャーデビューCD『燦々』発売記念握手会
『ゲゲゲの女房』につげ義春がモデルのアシスタント・小峰役で出てきたとき、その涼しい目元に思わず吸い寄せられた。
週刊誌で工の母親千枝子さんがオススメの本を紹介している中につげの『貧困旅行記』があった偶然には驚いたが、読んでみたらとても面白かった。つげが葛飾区出身と知って嬉しかった。

とにかく、話が面白い。教え子にもいるけど、シュタイナー教育を受けた人はどこか違う。
司会者とのトークの掛け合いも絶妙。「行きつけのラーメン屋ではさらに気に入りの職人を指名してその人が作ったラーメンしか食べない」とか。『ハガネの女』で共演した子どもたちも来ていた。
何人もの人との握手は疲れるだろうに、ベビーカーの中の赤ちゃんにまで腰をかがめて手を触れてあげて優しいなと感動。
私が「京都から来ました」といったら「本当ですか?ありがとうございます」といってくれた。
肝心の歌だが、声があれほどいいのに、いまいちだった。残念。

それから、ネットで検索すると、その名もずばり『Boys Love』など、やおい系の映画等のマーケットで活躍していた人だと最近知った。『テニスの王子様』に出ていた忍成修吾、加藤和樹などは大体そうらしい。だからどうということはないのだけど。


9月
3日 ニューチャーリー @北沢劇場
福田転球と平田敦子の二人芝居を大阪のIndependent Theatre(2008年4月から約二年間住んだ東日本橋の家のすぐそば。学部長に教えてもらった)で2回見てすごく面白かった(そのうちの一つが土田英生脚本だったので2010年に『初恋』を見たがそれほど面白くなかった)ので、今年二人芝居の代わりにやった(開演前にロビーでタバコ吸ってた平田さんに「二人芝居やらないんですか?」と聞いたらそういっていた)これを見たかった。虚構の劇団で一番イケメンの山崎雄介くん(学部長の息子さんではない)が出ている事もある(写真参照)。彼は大河『龍馬伝』の初回から武市半平太の従兄弟役ででていた。

10日 キネマの天地 井上ひさし @サザンシアター
映画とストーリーが全然違うので驚いた。

11日 ロベルトの操縦 ヨーロッパ企画 @本多劇場
オチがどうも切れが悪い。

24日 どん底スナイパー @スタジオコモネ
モダンスイマーズのお気に入り、古山憲太郎作・演出なので。初めてとは思えない出来だったと思う。
同時上映『デンキ島・松田リカ編』はいまいちだった。


10月
 朱雀家の滅亡 三島由紀夫 @新国立
数年前池袋のアウルスポットこけら落としでやった(初演で息子役をやった中山仁が主人公を演じるのが胆だったが、佐久間良子が科白を噛みすぎ)のと同じ宮田慶子演出。しかし、鳥居を舞台の中心奥に据えるなど演出が異なる。
終演後のシアタートークで國村隼演じる主人公の有名な最後の科白「どうして私が滅びることができよう。もうとうに滅んでいる私が」は、今までの演出(私は1990年の杉浦直樹のも見ている)では独白っぽいのに、今回は、ぱっとヒロインを振り返っていう珍しい演出でしたがその理由は」ときいたが、別に意識していないようで少しがっかり。

16日 ピアフ @シアタークリエ
大竹しのぶの歌唱力を補ってあまりある演技力に圧倒された。

21日 劇作解体新書 小林賢太郎
ここから5回にわたって作者が作品を語るイベントに参加。
このブログで既に解説。

22日 隠蔽捜査 隠蔽捜査2 @シアター1010
上川隆也と板尾創路(うちの学科主任に顔もしゃべり方もそっくり。ところで山本文緒『恋愛中毒』の創路は関係あるのか?)が出ているので見に行ったが、2011年どころか、ここ数年で最低の舞台だった。
大体、どちらも登場人物の一人がナレーターになって、いちいち直前の場面の解説をするのが信じられない。客を馬鹿にしているのか?この後見たイキウメ『太陽』と同じ「演劇」と呼ぶのもおかしいと思うほど腹が立って仕方がなかった。

上川隆也は結婚して、また、事務所をかわってから仕事を選ばなくなった。いい役者なんだからもっと自分を大事にしてほしい。

某日 普天間 青年座 坂手洋二 3部作 正面から沖縄基地問題を扱った問題作。


11月
5日 サンパウロ市民 平田オリザ @吉祥寺シアター
ソウル市民シリーズ第5作

19日 たったひとりの戦争 燐光群 @座 高円寺
まず観客は原発建設予定地の見学コースに参加する設定で係員の誘導に従って施設に入り、説明を受ける。つまり、観客も登場人物になっているという斬新な設定。原発反対運動で地下に潜る闘士、それを助ける女性という設定は前述の『帰還』ともかぶるが、円城寺あや(帰還を見に行ったとき会場で会った)演じる作家の描く地球侵略SFも隠喩として絶妙に交錯、今年の坂手洋二三部作のどの作品よりも完成度が高かった。

20日 イキウメ 太陽 
流行する死病に罹患する者としない者に分断された日本列島という特異な設定が圧倒的な緊張感をもって観客に迫る。差別する側とされる側、正常と異常の二元論の相対化、人間に潜む醜い自己中心性、大震災で生起した様々な問題を形而上学的に訴えかける、2011年最高の最高傑作。主演俳優の逮捕という悲劇を乗り越えたのも見事。

23日 ソウル市民 第1部~第4部
疲れた。


12月
3日 おやすみかあさん @あうるすぽっと
白石加代子と中嶋朋子の二人芝居が面白くないはずがない。
しかし内容はのっけから衝撃的すぎる。最後に救いがあるかもしれないと思ったが、なかった。

20日 90ミニッツ 三谷幸喜 @パルコ劇場
設定は面白い。しかし、どうしても近藤の自分本位に西村が犠牲になったようにしか見えず、どうにもこうにも後味が悪い。
やっぱりこの頃、三谷にはかつての輝きはない。
息をのんだ『マトリョーシカ』や『オケピ』のような作品を数年に一度でもいいから書いてほしいと切望する。

某日 アイドル かくのごとし
クドカンが出るので見に行った。岩松了のこういう科白や間の取り方が好きな人は大好きなんだろうが私はそれほどでもない。
夏川結衣は好きな女優で、その初舞台というのも楽しみだったが、やはりそつなくこなしていた。







 



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2011年演劇総括その1

2012年01月08日 | 演劇

えんぶの投票をしようと思い、ここで昨年見た演劇を総括することにした。

3月までは、大阪の劇場で見ることが多かったが、4月に夫が霞ヶ関の本省に転勤になり、谷中のマンションを借りてからは、ほぼ毎週末東京に来ているので、東京で夫と週末に見に行くことが多くなった。

むろん、京都の大学に移るまでは専ら東京で観劇していたのだが。

比較すると、同じ演目を東京と大阪の両方でやっているなら、大阪で見る方が条件がいい。
まず、①値段が少し大阪の方が安いことがある、②会場が狭いことが多いので、より舞台に近い席が取りやすい、③そもそも、チケットが東京よりずっと取りやすい。おそらく観劇人口と公演回数×座席数の比率が大阪の方が有利なんだろう。東京でも大阪でもない人がわざわざ見に来るとしても、東京公演の方がずっと多いので都合が付けやすいといこともある。

ただ、東京でしかやらない公演というのも依然多いという致命的なデメリットもあるが。

また、つくづく思うのは、なぜ、京都に、東京のシアターコクーンや大阪のシアタードラマシティに匹敵するようなちょうどいい劇場が皆無なのかということ。東京なんか葛飾足立も含めて23区全部にその規模の劇場があるぞ。文化都市を標榜しているのにあまりにもお粗末。


1月から6月までは30回。

1月
15日 文楽 恒例の正月演目 姫捨松 傾城恋飛脚 国立文楽劇場にて

16日 Newspaper @ブリーゼホール
絶対DVDにできない皇室ネタをやってくれるのが楽しみ。しかし、今回は、直前に内閣改造があっていろいろ仕込みが間に合わなかったようで気の毒。

30日 ろくでなし啄木 三谷幸喜生誕50周年祭 の第一弾 藤原竜也が石川啄木役

既にこのブログに詳細な感想を書いている。
http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/c183eced2b11dcdc38cab870b800550c


2月
11日
流れ姉妹たつことかつこ @森ノ宮ピロティホール
古田新太とか千葉雅子とか、小劇団出身系の役者が仲間内で楽しんでやっている感じ。

同日
大人はかく戦えり @シアタードラマシティ
子ども同士の喧嘩をめぐって二組の夫婦が話し合いをする一場の芝居。
慇懃無礼な態度だった四人がだんだん本音を明らかにしてくる過程が絶妙、とくに秋山奈津子の嘔吐シーンが圧巻。

南へ NODA MAP @東京芸術劇場 久々の野田秀樹
火山観測所への天皇行幸を中心に日本にとって天皇とは何かを働きかける。
しかし、野田らしい言葉遊びも真のテーマへのひねりも他の野田作品に比べて今ひとつ。

シングルマザー 永井愛 二兎社 @東京芸術劇場
沢口靖子主演、シングルマザー支援のNPOが舞台。
日本のシングルマザー支援のお粗末さと母子家庭の悲惨な状況はよくわかるが、政治的メッセージ性が強すぎ、それがまだ演劇作品として十分昇華しきっていないような気がした。

永井愛は『ら抜きの殺意』を読んで敬服し、2010年も竹下景子主演『かたりの椅子』で市民社会の権力の隠然とした恐ろしさの絶妙に描いた作品に感動したところだったのでちょっとがっかりした。ご本人とは少し話した。


3月
サド侯爵夫人(ミシマダブル) @シアターブラバ 生田斗真主演

金閣寺 @梅田芸術劇場 森田剛主演

既にこのブログに感想を投稿

http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/08b1d3efa16418ba8012fd8349e2cfd9

13日
我が友ヒトラー(ミシマダブル)@シアターブラバ

既にこのブログに感想を投稿

http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/08b1d3efa16418ba8012fd8349e2cfd9

4月2日
山下智久 ソロコンサート @大阪城ホール

既にこのブログに感想を投稿

http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/dabea8d5e6a7906084d15372060deed6

この直後、急にブログのアクセス件数が増えたと思ったら、ジャニーズ関係の2ちゃんねるで紹介されたらしい。
また、台湾人のブログで私のこの記事が紹介され、中国語に翻訳されているのを見て驚いた。

http://i.mtime.com/qyaii/

某日 文楽公演 @国立文楽劇場

16日 
国民の映画 三谷幸喜 @森ノ宮ピロティホール
ヒムラーが庭の花につく害虫を「なるべく殺さずに花を守る方法があるしその方が望ましい」と繰り返しいいながら、ユダヤ人を虐殺することには何ら躊躇がない皮肉を描いているのはいいが、それがしつこくて鼻につく。こういうアイロニーはさらっとやらないとね。最近の三谷作品はどうも今ひとつだ。
拾いものと思ったのが、平岳大の大きな身体を大げさに動かす道化ぶり。喜劇の才能もあると見た。
何年か前紀伊國屋サザンシアターで平幹二朗・佐久間良子と親子共演で『鹿鳴館』でデビューしたときより格段の成長ぶり。

日本人のへそ 井上ひさし
どこまでが劇中劇なのか、何回も実は、といれかわるメタファーの入れ子構造。それ以外は別にとるところなし。

22日
Top girls
古今東西の歴史に名を残す女性たちのディナーの席から一転して、英国のある姉妹・母子の確執。
女性の生きづらさを演劇的に見事に昇華したフェミニスト必見の舞台

劇団鹿殺し ジャージ公演
汗組『愛卍情』
@阿佐ヶ谷ひつじ座
つかこうへいへのオマージュ作品

23日 アンダーザロウズ 虚構の劇団 @座高円寺
学部長の息子さんが出演する舞台。前作『エゴ・サーチ』も見に行って良かったので今度は夫と。チケットは学部長に頼んだ。
「学部長も来てたりして」と開演前に夫に話してたら、夫が「そういえばさっきロビーで落ち武者ヘアの人を見たような…(本人がプロフィールに落ち武者と書いているからいいと思うが)」というので会場を見渡したら前の方の席にいたので挨拶。

前作よりずっと良かった。旧作なのに、風評被害の怖さなど、大震災のことを上手に取り入れており、また、いじめられていた側が平然と多数を恃んでいじめる方にさっさと転換する恐ろしさも十二分に描けていて感心した。

それにしても、学部長は何回目からしく、オチが始まる前から笑いはじめ、他の客が笑い終わってもいつまでも笑い続けてその特徴ある笑い声が劇場中に響いているのは、後で話した息子さん本人も「困りますよね」といっていた。
学部長は新入生合宿のプロフィールも大半が息子・娘自慢。専門にしているベーシックインカムの一般人向け講演でも「十分儲からなくても芸術の道に生きるという私の子どもたちのような生き方も可能になる」と何度も子どもたちに言及していた(結局自分が仕送りいている分を政府に出してもらうということか?)。
親に虐待されて育った私から見ると、こんなにも親に手放しで臆面もなく愛され,自慢にされている息子さんたちは本当に羨ましい。

高円寺の改札で文学部のやはり演劇マニアのS先生とばったり。

29日
オペラ座の怪人 劇団四季 @京都劇場
夫といくはずが、現在は本省で室長を務めるので大震災関連法案のために国会が開かれているため(注:国会議員は週末や休みは地元で広くいえば次回選挙のための活動をするのが普通なので、例年はゴールデンウイークは国会はやらない。国会やっているときは、いつ議員から大臣に質問が来るか判らないので官僚は出勤しなければならない。大臣の答弁は官僚が作成するという悪習は、あれだけ官僚批判をする民主党政権になったらなくなると思っていたのに全然違った。本当に腹が立つ)、京都に来られなくなり、仕方なく、親しい演劇好きの学生につきあってもらった。

浅利慶太はどうかしていると思ったのが、訳詞のセンスだ。
このブログでも書いたことがあるが、http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/14d2ffd1f2ba13dbd06d8dc6b07d83f5

ガストン・ルルーの原作を下敷きに、普遍的なテーマを斬新なスタイルで描いていることにあると思う。優しく、必ず幸せにしてくれるであろう男性と、危険で一緒にいても不幸になりそうな男性(このことは、私の一番好きなナンバーAll I Ask of You において、それぞれの男性がChristineに歌いかける科白が、 Raoulのそれが “Let me lead you from your solitude” であるのに対して、Phantom のは、“Lead me, save me from my solitude”であることに象徴されている)との間で揺れる女性というのは、源氏物語の浮舟と匂宮・薫大将の三角関係にも遡れる普遍的なテーマである。(そういえば、劇中最も美しいシーンであるPhantomがchristineを船に乗せ、地下水路をこぎ行くシーンは、匂宮が浮舟を舟に乗せて連れ出すシーンと似ている)

この劇の最も重要な部分は、同じメロディで二人の男性が歌う歌詞の対照なのに、その部分が日本語ヴァージョンでは省略されているのだ。浅利慶太は三島とも親交があり、『鹿鳴館』を思い入れをもって四季で上演してくれているが、どうもわかっていないのではないかとかなりがっかりした。

5月
7日 小林賢太郎 ポツネン the spot @京都文化会館
演劇好きの学生に勧められたのと、最近好きになった斎藤工が「移動中ラーメンズとか聞いている」と話していたので。
上品なユーモアに感心。「男子自由型」なんかの表現は永遠の少年性をアピールして母性本能をくすぐるなと思った。
影絵を作るのは、後で見ても舞台に何も印がなくて、その神業に驚愕。

後に『新日本語学校』のCDを入手し移動中に聞きまくり、人前でも吹き出してしまうのに困った。
その学生さんにDVDを借りてかなり見て感心。

14日 たいこどんどん 井上ひさし @
どうも冗長。科白に出てくる東北各地の地名に胸が痛む。
古田新太が科白をかみまくり。もっと長い科白を完璧にこなしてた『表裏源内蛙合戦』の上川隆也の偉さを再認識。

 イキウメ 『散歩する侵略者』@シアタートラム
直前の記事に書いた通り、身体が震えるほどの感動。出会いに感謝。

 芝浦ブラウザ ヨーロッパ企画 @新グローブ座
いつもの近未来SFっぽさは減じているが、不動産屋で建物の中まで詳細に見られるという設定は新鮮。
登場人物の名前もはっきりしないゆるーい会話は相変わらず心地いい。
井ノ原快彦が出たせいか観劇マナーに問題ある客がいた(つまり普段芝居に来ない人ということ)。

 アヴァンセプロデュース『或る、致し方ない罪に対する やるせない復讐のはじまり』坂上忍作演出
『つくしだれの子』とかドラマで子役として活躍していた坂上忍がいつのまにかこんなことをやっていたのか。
見に行ったきっかけは、学部長にいいと勧められたモダンスイマーズの芝居『真夏の迷光とサイコ』(YOU主演)でファンになった古山憲太郎が出ていたから。(写真参照)終演後、なんと、彼が役作りのためにびっしり書いたノートをくれた!
自殺志願者が一同に集められるという演劇的設定が生きていた。

21日 鳥瞰図 @新国立
別にわざわざいかなくても良かった。

鎌塚氏放り投げる @本多劇場
執事と女中頭のラブコメ。口述する『演劇解体新書』で作者が語ったところによると、カズオ・イシグロの『日の名残』に触発されたとか。また、盆使いの特異さが特徴。しかし面白くなかった。


22日
唐十郎 ひやりん児 @鬼子母神
一度唐十郎の出演舞台を間近で見たかった。年なのに水槽に入ってずぶ濡れになったりの熱演。


6月
12日 燐光群 推進派奄美の基地誘致に関する芝居。
後で触れる『帰還』『普天間』と並ぶ坂手洋二三部作。

25日 ウーマンリブ Sad SOng for Ugly Daughter
宮崎あおいの初舞台。最終戦争の起こった未来から来た荒川良々がはまり役。
宮崎の役はやはりクドカン作品の『泣くもんか』のヒロイン像とかぶる。

26日  井上ひさし @新国立劇場
亀次郎はもう老練の域と言えるだろう。しかし、いくら演技がうまくてもその性的魅力で主人公の生き方を変えさせるヒロインとしては永作博美はミスキャスト。それにはじめから仕組んだにしては、彼女と番頭の最初のやりとりが矛盾。

 民藝 『帰還』坂手洋二 三部作
大滝秀治の舞台を初めて見る。












 



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