おいぼれ烏有のぐち綴り(10)
烏有です。
昨日の朝です。
私がご飯を食べていると、
が、のっそり、のっそりとキッチンに現れました。
冬眠から醒めた山の熊ではありません。
我が家に住みつく冬眠しない熊です。
その熊が私に尋ねるのです。
「とりあり」てなんや?
どうやら、老いぼれ烏有のブログを見たらしいのです。
でも、老いぼれは、「とりあり」、ではありません。
「うゆう」、なのです。
「烏有」、これを読み下すと、
「いずくんぞあらんや」
となります。
そうです、何もないという意味です。
中国の南北朝時代の詩文集「文選」にある、
司馬相如の子虚賦に出てくる三人の架空人物の一人、
烏有先生の名前を無断でチョイ借りしたのです。
老いさらばえて何もない私にふさわしい名前だと思ったから…
この老いぼれ、実は困った生き物で、
その朝の気分でカメラを手に思いつきのぶらり旅に出るのです。
傍迷惑な話で、行き先も告げない…
それは烏有本人にも分からないから…
何しろ電車に乗ってからその日の行き先を考えるのです。
一日、ぶらり、ぶらりとほっつき歩き…、
たいていはその日の夜遅く、
何処かで一杯ひっかけてご機嫌で帰ってきます。
そんな老いぼれですから、我が家の、
も相手にしてくれません。
旅先でコロリと死ねれば本望だ、なんて考えている脳天気なので
す。
仕方がありません、
このぶらり病は30年前からの不治の病なのです。
いざ行かむ
行きてまだ見ぬ山を見む
このさびしさに君は耐ふるや
牧水
(イラストはかくげい)
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