市民活動総合情報誌『ウォロ』(2013年度までブログ掲載)

ボランティア・NPOをもう一歩深く! 大阪ボランティア協会が発行する市民活動総合情報誌です。

2009年7・8月号(通巻447号):レポート

2009-07-01 14:15:26 | ├ レポート
「第27回 全国民間ボランティア市民活動推進者企画戦略会議」に参加して

金治 宏(大阪ボランティア協会)

 83年に民間の立場でボランティア活動を推進していた全国の8団体22人が大阪に集まり、情報交換と交流の場をつくった。あれから26年。今年も民間のボランティア・市民活動推進組織の関係者約70人が全国から佐賀に集い、「第27回全国民間ボランティア市民活動推進者企画戦略会議」(通称:民ボラ)が6月6日、7日の2日間にわたって開催された。
 佐賀県で開かれた今回の民ボラは、「日本の市民活動やボランティア活動を発展させるための活動推進者の役割、そして中間支援組織はどんなビジョンや戦略を持てばよいか、共に考えましょう」とパンフレットに書かれているように、多様化する現代社会のなかでCSO(Civil Society Organizations)の果たす役割やセクター間の協働について意
見・情報交換が積極的に行われた。
 今回の目玉は、「佐賀から始まった協働化テスト︱ 『協働』という言葉を再考する」というオープニングセッション。佐賀県では全国に先駆けて06年から県庁の全業務を対象に民間が実施したほうが妥当な業務について、実施主体や手法の見直しを図る「提案型公共サービス改善制度(通称:協働化テスト)」が行われてきた。具体的には、佐賀県の全業務約2千300事業(教育・警察事業は除く)について、民間からの提案を受けて事業を、①県が今まで通り直接実施する、②県の業務を外部に委託する、③企業が実施する、④CSOと協力して実施するといった選択肢のなかから翌年度以降いかに実施していくかの検討を行う。質の高い充実した公共サービスの提供をめざした事業、それが協働化テストである。
 セッションでは、協働化テストの実施者である古川康・佐賀県知事に加え、佐賀県で政策提言を行う佐賀県CSO推進機構・川福知子代表理事と協働化テストの名付け親である大阪ボランティア協会・早瀬昇事務局長が、民ボラ参加者とともに「協働」について意見を交換し合った。セッションでは「単なる下請け関係にならないようCSO、行政がともに学び、成長していく仕組みを作っていくべき」といった意見が出され、質の高い公共サービスの提供のために各セクターがいかにパートナーシップを築いていくかが話し合われた。
 民ボラではこのオープニングセッション以外にも政策提言やソーシャルビジネスなどをテーマにした7つの分科会が開かれた。今回、初めて民ボラに参加したが、一番の収穫は全国から集まった仲間とともに共に考え、悩みを分かち合い、課題解決に向けて議論する場を持てたことであったように思う。民ボラのユニークなところは、市民活動に携わって間もない新人(私は中間支援組織の職員1年目である)、そして中堅、さらにこの道何十年の大ベテランが一緒になって場を共有することである(この様々な違いが各参加者に“気づき”を生み出していると思う)。このことは、市民活動の現場で、これまで閉塞感を抱くことが少なくなかった私にとって新鮮な出来事であった。振り返ると、参加して“得した”民ボラだった。
 なお、来年の民ボラは6月5日、6日に静岡で開催される。今後も機会があれば、新しい仲間に出会える民ボラにぜひ参加したい。

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