市民活動総合情報誌『ウォロ』(2013年度までブログ掲載)

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2008年11月号(通巻440号):レポートR

2008-11-01 15:36:21 | ├ レポート
映画『ひめゆり』監督&本誌編集委員トークショー
編集委員 吉田 泉

 8月9日、大阪市淀川区の「第七藝術劇場」で、長編ドキュメンタリー映画『ひめゆり』の2年目の公開がスタート。初回上映後には、柴田昌平監督と、本誌編集委員(3人とも学生)によるトークショーが行われた。
 「ひめゆりを知っていますか?」ある大学でこんなアンケートをとったところ、5人に1人の学生が「知らない」と答えたという。終戦から63年。経験したことのない世代にとって、「戦争」と言われてもなかなかピンと来ない。「そんな若い世代にこそ観てほしい」と柴田監督が勧めるのが本作だ。
 トークショーには50人以上が参加、若者の姿も目立った。「スクリーンに登場する生存者の方の話を聞くと、戦争は日常生活の延長に存在していたことが分かる。若者にとっても生きにくい社会になりつつある現代、希望を持てず、生きる意味を見いだせない若者がいつの間にか権力に利用され、『気がつけば戦場にいた』などということにもなりかねない」「ひめゆりの方の体験を自分に置き換えると、自分は3か月間も耐える自信がない。過酷な体験を乗り越えて伝えている生存者の方々の強さを感じた」など、若い世代の視点で映画の感想を語った。
 また、若者が戦争の記憶に触れる機会の少なさについて「戦争の話を見たり聞いたりすると気分が暗くなってしまう、もっと明るく楽しいことに目を向けていたい」「小学校の頃から、教科書や映画を通じて悲惨な戦争の話や、戦争はいけないよ、というお決まりのメッセージに繰り返し接すると、『戦争』と聞くだけで耳を塞ぐような“戦争アレルギー”になってしまう」「今の平和な日本では、生きている間に戦争に巻き込まれることはまずないだろうと誰もが思っている。それが戦争のことを話さない原因になっている」など、それぞれの体験談が紹介された。
 どうすれば若者が戦争の記憶に触れる機会を持てるか、という監督からの問いかけには、「若者自身が小学生や外国の方などに戦争の話を伝えていけば、それを通してみずからが学んでいけるのでは。自分は小学生と関わる活動をしているが、ちょっとしたきっかけで戦争のことを教えてあげられるような大学生になりたい」、という提起もあった。
 対談を終えた柴田監督は「映画の観客層としての接点はもとより、今まで交流の少なかった学生たちのナマの声が聞けた。ひめゆりの語りを次世代に引き継ぐためのいろいろなヒントも得られ、大変有意義なイベントだった」とコメントした。

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