市民活動総合情報誌『ウォロ』(2013年度までブログ掲載)

ボランティア・NPOをもう一歩深く! 大阪ボランティア協会が発行する市民活動総合情報誌です。

2009年5月号(通巻445号):レポートL

2009-05-01 14:50:47 | ├ レポート
アフガンに緑の大地を
伊藤和也さん 追悼写真展
                編集委員 千葉 有紀子

 菜の花がいっぱいの会場で、その優しい写真に囲まれていると、気分がほのぼのとしてくる。故伊藤和也さんはペシャワール会の現地ワーカーとして、03年から約5年にわたり、アフガニスタンに緑の大地を取り戻すため、現地の人々と共に懸命に働いてこられた。しかし08年8月26日、心ない者の凶弾に倒れ、志半ばにして31年というあまりに短い生涯を閉じてしまった。その伊藤さんを偲んで、彼が撮影したアフガンの子どもたちの写真と、彼の足跡をたどる写真を展示した追悼写真展が4月10日から19日まで京都で開催された。会場となった、かぜのね(京都市左京区)には、毎日のように菜の花が届けられ、写真の中の菜の花とイメージが重なって、一層無くしたものの大きさを感じる。
 12日には、ペシャワール会の農業指導員であった高橋修さんの講演会が行われた。中に入りきらず、会場の外まで溢れた人の前で、3時間にわたって伊藤さんとの日々や、現地での実体験が語られた。ケシだらけだった大地は、伊藤さんを含む日本人ワーカーや、現地の人々の努力によって、農業が少しずつであるが復活しつつあったこと。ペシャワール会の活動が、現地の人の目線で行われていること。地道な活動や伊藤さんの実直な人柄で、現地の人とも垣根なく受け入れられている中で起こった残念な事件であったこと、などに触れた。伊藤さんの5年の日々が、大変な中でもやり甲斐のあるものであったことなど、現地の人との深い信頼関係を感じる講演だった。
 「アフガニスタンを本来あるべき緑豊かな国に、戻すことをお手伝いしたいということです。これは2年や3年で出来ることではありません。子どもたちが将来、食料のことで困ることのない環境に少しでも近づけることができるよう、力になれればと考えています。甘い考えかもしれないし、行ったとしても現地の厳しい環境に耐えられるのかどうかもわかりません。しかし、現地に行かなければ、何も始まらない」これは会場に貼られた、伊藤さんのペシャワール会への入会志望動機だ。
 この展覧会は各地を巡回する予定である。機会があれば、ぜひ彼の優しさに触れてほしい。


追悼写真展の巡回スケジュール
■千葉県・松戸市  
5月26日(火)~31日(日) 
10時~18時(初日13時より、最終日16時まで)
会場・松戸市文化ホール(松戸ビル4階)
運営・問合せ:東葛実行委員会(04-7129-4297)

■宮城県・仙台  
7月24日(金)~29日(水) 
10時~19時(最終日は17時まで)
会場・せんだいメディアテーク5階ギャラリー
運営・問合せ:ペシャワール会をみやぎから応援する会(070-6954-2366)

その他、下記を巡回予定
6月中旬/神奈川・逗子市、6月下旬~7月中旬/北海道(札幌、函館、苫小牧)、8月上旬/岩手・盛岡市

■書籍の紹介
『アフガニスタンの大地とともに―伊藤和也遺稿・追悼文集』
ペシャワール会・編集、石風社、2009 年3 月、1575 円

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