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学金訴訟 8年で106倍 専門家「強引な回収、本末転倒」

2013-11-18 19:04:57 | Weblog

                 奨学金訴訟 

                 8年で106倍 

            専門家「強引な回収、本末転倒」 

奨学金訴訟 8年で106倍 専門家「強引な回収、本末転倒」

産経新聞 11月18日(月)15時8分配信

奨学金返還をめぐる訴訟件数(写真:産経新聞)

 経済的に苦しい学生を支援する独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)から借りた奨学金の返還が滞り、利用者が訴訟を起こされるケースが激増、昨年度までの8年間で100倍に増えたことが、同機構への取材でわかった。背景には、不景気などにより貸与額が増加する一方で、非正規雇用や失業など卒業後の不安定な就労から返済が困難となっている情勢がある。機構側も対策を講じているが、専門家からは「学生を支援するはずが、強引に返済させるのは本末転倒では…」との指摘も出ている。

 機構によると、訴訟への移行件数は平成16年度で58件だったが、21年度は4233件に急増。24年度は6193件と、16年度の実に106倍に達した。

 奨学金には無利子と有利子の2種類があり、特に有利子分の貸与額も、16年度の4100億円から24年度には8100億円に倍増している。返還が滞ると年10%の延滞金が発生。延滞が9カ月を超えると、機構が簡裁に支払い督促を申し立てる。利用者から異議がなければ財産を差し押さえ、異議があれば訴訟に移る-という流れだ。

 “取り立て”る側の事情もある。機構の関係者は「国の行政改革を通じ、奨学金は金融事業と位置づけられた。民間金融機関からの借入金を返すためにも、回収を強化する必要がある」と説明する。

 一方、利用者側の事情は厳しい。経済的理由などで返済が困難になった場合、支払い猶予を申請できるが、機構によると、卒業後の「経済困難・失業中」による猶予は23年度で9万2157件。生活保護受給による猶予の3843件を合わせると、同年度の猶予件数(10万8362件)の約9割を占めた。

 こうした状況を受け、機構側は24年度から無利子の奨学金について、卒業後の年収が300万円を下回るなど一定要件を満たした利用者の返還期限を定めない方式を導入。文部科学省も26年度の予算要求で延滞利息の引き下げを盛り込んだ。

 奨学金問題に詳しい大阪弁護士会の山田治彦弁護士は、機構側の姿勢を「卒業後も困窮する利用者に対し訴訟を起こしてでも取り立てようとするのは、貧困ビジネスのようでおかしい」と批判。一方、利用者側についても「奨学金がローンだという認識が薄い。返済が行き詰まる前に相談するなど、早期に手を打つべきだ」と指摘する。

奨学金返還訴訟8年で100倍 「厳しい取り立て、まるで貧困ビジネス」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131118/waf13111812090014-n1.htm

 奨学金訴訟 280万円借りた生活保護男性「安定収入がないと…」 

 日本育英会(当時)から無利子で奨学金約280万円を借りた大阪府内の男性(35)は、約70万円を返済した段階で生活保護を受給する身となった。来年夏まで返済は猶予されているが、今後も完済できる見通しは立っていない。

 男性は関西の私立大学に入学してから4年間、無利子で毎月5万9千円を借りていた。卒業後は団体職員として働きながら月に約1万5千円ずつ返していたが、4年後に鬱病を患って休職。そのまま退職した。

 症状は改善して現在、IT関連会社で1日5時間のパート勤務を続けるが、それだけでは収入が足りず、生活保護を受給する。残る奨学金は約210万円。月に約1万5千円ずつ払っても10年以上かかる計算だ。

 男性は「自己破産での債務免除も考えたが、(奨学金の)連帯保証人の親族らに迷惑がかかると思って断念した。安定した経済基盤がなければ、きちんと返せるか不安だ」と漏らした。

 

 


脱法ハウス 「住まいの貧困」解消を 辰巳議員初質問 参院別委

2013-11-06 20:47:57 | Weblog

                      脱法ハウス  

                    「住いの貧困」解消を 

                  辰巳議員初質問 参院別委 

脱法ハウス 「住まいの貧困」解消を 辰巳議員初質問 参院特別委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-06/2013110601_07_1.html

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は5日、参院国土交通委員会で初質問に立ち、著しく狭く危険な空間に人を居住させる「脱法ハウス」問題を取り上げ、国として入居者の実態をつかみ、深刻化する「住まいの貧困」の解消に乗り出すよう迫りました。

 「格差と貧困問題をライフワークとして活動してきた」と切り出した辰巳氏。現在、建築基準法違反として国が把握している物件だけで362件にのぼるとして、「脱法ハウスを放置してきた行政の責任は免れない」と述べました。太田昭宏国交相は「引き続き調査する」と答えました。

 辰巳氏は、閉鎖が決まった東京・千代田区の脱法ハウスの居住者への聞き取りで、「約9割の居住者が同様の施設に行ったことが分かった。これが実態です」と追及しました。

 貧困と格差が広がり、低所得で脱法ハウスに住まざるを得ない人が増えている一方、公営住宅は足らず、低所得者が活用できる住宅支援策もほとんどないと批判。相談窓口の設置、民間賃貸住宅への入居時初期費用の負担軽減策としての敷金や礼金の補助、低利または無利子の貸付制度や民間家賃補助制度の創設などに踏み切るべきだと提案しました。

 傍聴には大阪から支援者が駆けつけました。女性(49)は「生活相談で貧困層といわれる人たちの声なき声を気持ちで受け止めてきたからでしょう。訴える温度が熱かった。実態にあった具体的な提案でした」と話していました。 


記者の目:シェアハウスと脱法ハウス=加藤隆寛(社会部)

2013-11-02 21:52:42 | Weblog

                   記者の目   

               シェアハウスと脱法ハウス  

記者の目:シェアハウスと脱法ハウス=加藤隆寛(社会部)
http://mainichi.jp/select/news/20131031ddm005070008000c.html

 ◇国の安易な規制に失望

 「角を矯(た)めて牛を殺す」
 曲がった角を直そうとたたいたり引っ張ったりしていると、牛が死んでしまう。「脱法ハウス」を巡る国土交通省の対応を見ていて、このことわざが浮かんだ。欠点を直すためでも、手段が度を過ぎれば全体をだめにしてしまうという意味だ。私は8月6日朝刊のこの欄で「やみくもな規制ではなく、時代に即した新ルールが必要」と訴えた。ところが国は9月に通知を出し、狭小で危険度の高い物件だけでなく安全に一定の配慮がなされた「普通のシェアハウス」も一律規制の網に掛けようとしている。懸念が現実となってしまった。

 ◇「脱法」「シェア」簡単でない区別

 取材先でも「脱法ハウスと普通のシェアハウスの違いがよく分からない」という声をよく聞く。実は、その区別はそう簡単ではない。

 私は2畳前後と極端に狭く、窓もないような空間に人を住まわせる物件を「脱法ハウス」と名付け、記事で告発してきた。行政から建築基準法上の「居室」の要件を満たしていないと指摘されるのを見越し、「住居でなく事務所だ」「倉庫だ」と予防線を張る業者もいる。マンションの一室を改造した物件では「居室でなく変形型のベッドだ」という言い訳も用いられた。

 これらの業者は、住み心地や安全性より収益を重視し、法令の隙間(すきま)を意図的に突こうとしている点が共通している。「シェアハウス」という響きの良い流行語を宣伝に使って弱者を食い物にする貧困ビジネスの色も濃い。真面目にシェアハウスを運営する者にしてみれば、迷惑この上ない存在だったろう。

 ところが、「普通のシェアハウス」にも弱みがあった。多世帯が住む物件として、法令でアパートや寄宿舎(寮)に求められる防火機能や避難路を整えたケースはほとんどないのだ。一般住宅相当の機能しか備えていなくても、行政はこれまで一種の「疑似家族」が住む物件として黙認してきた。複数のベテラン業者も、もともと「法的にグレーと言われればその通り」と認めている。安全確保は運営側に委ねられ、性善説の中で成長してきた新興業種だった。

 例えば、4LDKの一軒家に仲間4人で住むなら家族で暮らすのと変わらないと言えるかもしれない。だが、7人ならどうか。10人はさすがに多すぎるのか。そこに客観的基準はない。普通のハウスの中に、「限りなく白に近いグレー」から「かなり濃いグレー」まで段階的な色合いがある。これは業者の責任というより、法令未整備という国の怠慢の帰結だろう。

 私は、建築基準法で一般住宅と寄宿舎の中間的存在として「シェア住居」を定義すべきだと考える。しかし、国交省は自治体への通知で「すべて寄宿舎と見なす」と明示した。グレーはなくなったのだ。通知の日付を取って、シェアハウス業界では「9・6ショック」と呼ばれており、2000棟以上が不適格となる可能性も指摘されている。

 ◇都が率先して独自の基準を

 寄宿舎は一般住宅より防火性能の高い間仕切り壁などを設ける必要があるが、東京都内ではさらに難題がある。火災時の避難路となる「窓先空地(くうち)」を巡る都建築安全条例の規定だ。各室の窓から下りて逃げられるよう、敷地内に数メートル幅の空き地を設けることが義務づけられるが、都心部の住宅は隣家と密接して建っていることが多い。条件を満たさない物件はシェア利用をあきらめるか、建て替えるしかない。

 ただ、この難題は、法改正でなく都条例改正で解決が可能だ。その際、「寄宿舎並みの安全基準が必要な物件」と「一般住宅並みでよい物件」の線引きを含め「シェアハウスとはなんぞや」という基準を都が独自に定めればいい。本来は国の仕事だが、国交省の動きがここまで鈍い以上、自治体をリードする立場から、都が率先して踏み出す姿勢を求めたい。

 「危険物件は駆逐すべし」という国交省の姿勢は引き出した。ここから、その先に行かなければならない。低所得層の「住」のセーフティーネットを巡る議論に厚生労働省は本腰を入れるべきだ。

 今後、高齢化とともに単身世帯率の急上昇も見込まれ、一人の力で生きるのでなく互いを補い合おうとする「シェア」の概念はますます重要になる。空き家と民間活力の利用で受け皿を作れれば、膨大な費用を掛けて公共住宅を新設する必要はない。安全・適法なシェアハウスの普及に向けた一手を、今こそ打つべきだ。安易な一律規制とは全く逆の思考が求められている。