貸金業法・19日に施行「ヤミ金」流入懸念

2007-12-22 22:07:57 | Weblog

  貸金業法・19日に施行 

  「ヤミ金」流入懸念  

 多重債務者の救済を図るための貸金業法(貸金業規正法が改正)が、19日に施行された。まず、夜間に加えて日中の取り立て規制の強化などから始まり、10年6月までに上限金利が引き下げられる。

 借りすぎるによる悲惨な状況を無くすことができるのか、いよいよ正念場だ。消費者金融業界も対応を迫られている。

 ◇ 債務整理後、ケア必要

 「借金がどうしても返せないのですが」「自己破産すると、どうなるのですか」。多重債務者がおずおずと相談員に尋ねるーーー12月14、15の両日東京・飯田橋の相談窓口で開かれた無料の相談会に、多重債務者75人が続々集まった。金融庁と各地の弁護士、司法書士らによる全国一斉の「相談ウィーク」の一コマだ。

 12月10日からの1週間で全国450ヵ所の相談窓口には、多重債務者5500人が訪れた。対応した弁護士と司法書士はのべ1400人。これだけの全国規模の相談会は初めてだ。

 借金など経済苦を理由に自らの命を絶つ例が後を絶たない状況に、政府・金融庁も全国で相談体制づくりに乗り出しているのだ。

 「この1年で相談体制が整備され、多重債務者を減らす効果が表れている」と評価するのは多重債務者問題に詳しい新里宏二弁護士。確かに5社以上から借金がある多重債務者は2月の177万人から10月末には139万人に減少。今回の法改正でグレーゾーン(灰色)金利の廃止が盛り込まれたのを踏まえ、過払い金の返還が進んだこともある。

 ただ、法改正でも依然、カバーできていない分野がある。いったん債務整理しても、仕事に就けずに再び借金に走る人も多い。違法なヤミ金融業者はそうした弱者に狙いを定めている。

 飯田橋での相談窓口でも、「自己破産した直後から郵便受けにヤミ金の勧誘はがきがあふれるようになった」との声が少なくない。官報に自己破産者の名前と住所が記載されるためで、ヤミ金対策を求める声は強い。生活設計などの相談に乗る体制整備も求められている。

 ◇ 金利下げ、中小に打撃

 消費者金融大手のほとんどは、改正法で10年6月までに灰色金利が撤廃されるのを前倒しする形で貸し出し上限金利を引き下げてきた。引き下げは収益基盤をもろに直撃するにもかかわらず、前倒しに踏み切るのは「優良な顧客を逃せば生き残れない」(アコム)の危機感があるからだ。

 アコムが6月に新規顧客向けで年27.37%だったのおを18%にしたのを皮切りに、アイフルが8月に18%で追随。プロミスも12月19日から17.8%に、武富士も来年1月に18%に引き下げる。

 ただ、大手でも、「レイク」ブランドを展開してきた米ゼネラル・エルクトリック(GE)は、今後の高収益が期待できないことから日本での消費者金融業からの撤退を検討しているとされ、そのドライさを見せつけることになりそうだ。

 一方、大手がカバー仕切れない貸し倒れリスクの高い顧客層を相手にしてきた中小業者の多くは引き下げに耐えられないとみられている。金融機関の後ろ盾がなく高い資金調達コストを強いられているためで、「残るも地獄、退くも地獄」(中小貸金業者)とされる。

 金融庁によると、約5年前に約2万7千社あった貸金業者数はすでに1万775社(10月末)まで減ったが、再編と整理はさらに進みそうだ。一方で、融資が受けられなくなった多重債務者が法外な金利で貸し付ける「ヤミ金融」に流れることも懸念されている。

 ◇ 業界は自主規制も

 今回の法改正が実りあるものになるかどうか。夜間に加えて今後、日中の執拗な取り立ても規制される。金融庁は新たに業務改善命令を出せるようになり、監視を強めていく考え。さらに同庁は、業界の自主規制ルールの順守も求めていく方針だ。

 同ルールは19日に発足する新たな業界団体「日本貸金業協会」の設立協議会が制定作業を進めてきたもので、同日、実施に移す。このルール、過剰貸し付けにならないよう工夫されている。

 たとえば、パチンコ店や競馬場、風俗店の同じビルや隣接施設に新規の出店はしない、と盛り込まれている。同協議会は、既存店舗についても「2年半後の完全施行までに、自主的に移転するよう努める」としている。

 テレビCMも、午前7~9時、午後5~10時については、今後は中小も含め控える、ことに。1ヵ月の返済総額を「月収の3分の1以下」、または「年収の36分の1以下」にするといった形で、わかりやすい目安も入った。業界努力が試される。

   ◇         ◇

 ■ 貸金業法の主な施行スケジュール

  06年12月20日 公 布

  07年 1月20日 無登録業者などの罰則強化

     12月19日 取り立て規制の強化

         日本貸金業協会の設立で自主規制ルールの導入

  09年6月まで  貸金業者の参入条件を純資産300万~500万円から
             2千万円に

         信用情報機関を指定する制度を導入

  10年6月まで グレーゾーン金利を廃止し、出資法の上限金利を20%に
            引き下げる

         貸付総額を年収の3分の1までとする総量規制の導入

         貸金業者の参入条件を純資産5千万円に

         


「タクシーヤミ金」で初提訴

2007-12-13 11:51:20 | Weblog

 「タクシーヤミ金」で初提訴 

 出資法の上限金利を大幅に超える違法な金利で貸し付けられたとして、元タクシー運転手の男性が11日、金融業「ピットインファイナンス」(廃業)の元実質経営者ら2人に約990万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。

 ピット社は、規制緩和による競争激化で低賃金に苦しむタクシー運転手に狙いを絞った「タクシーヤミ金」と呼ばれる新手のヤミ金融だった。

 大阪クレジット・サラ金被害者の会(大阪いちょうの会)によるタクシーヤミ金をめぐる提訴は全国初。(MSN産経ニュース)

 訴えたのは大阪府内の60代の男性。被告の一人は今年9月、大阪府警に出資法違反容疑で逮捕、起訴されている。

 訴状によると、男性はタクシー運転手だった平成14年ごろ、ピット社から融資を受け始めた。当初は1回に7万~8万円を借り、1週間ごとに1万円を返済。年利に換算すると出資法の上限金利29.2%を大幅に超える320~370%となっていた。

 また、ピット社は男性が年金を受けるようになると、年金受給口座の通帳やキャッシュカードを取り上げ、年金を担保にした融資金を口座から引き出したという。

 男性側は「融資を呼び水にして利用者から金を奪い取る犯罪行為」として、14年から今年4月までの間にピット社に支払った約790万円と慰謝料などを合わせた賠償を求めている。


国民生活センター 縮小計画

2007-12-06 08:13:04 | Weblog

  国民生活センター  
     波紋呼ぶ縮小計画  

  ◇偽装や詐欺多発・・・疑問の声も 

消費者相談の総本山、国民生活センターの縮小計画が波紋を広げている

 独立行政法人の整理合理化計画の一環として、所管する内閣府が9月に提出した見直し案に、直接相談の廃止と、商品テストの大幅な外部化を盛り込んだためだ。

 政府は年内の閣議決定を目指しているが、国民生活に直接かかわる組織だけに、消費者団体や弁護士会をはじめ、自民党からも「縮小反対」の声が上がっている。

 国民生活センターには相談調査部、商品テスト部、教育研修部など7部4課5室1館があり、114人の職員が約35億円の年間予算で、全国の消費生活センターが受け付ける年間約110万件の消費生活相談をネットワーク(PIOーNET)を通じて収集し、消費生活データーベースとして公開するほか、実際に商品の欠陥の有無を調べるなどしている。

 昭和45年に特殊法人として発足し、平成15年に独立行政法人に。職員の待遇は国家公務員に準じ、平均給与は42・9歳で825万円、4人の理事のうち、国民生活センターからの生え抜きは一人だけで、理事長を含めて2人は内閣府などからの天下り組みだ。

 センターを所管する内閣府は、死亡・重篤事故の情報からヒヤリハット情報まで幅広い情報を入力できる「事故情報データーバンク」の構築、消費者紛争発生時の円滑な解決のために裁判外紛争解決(ADR)機関の整備という業務拡大案とともに、直接相談の廃止、商品テスト内容の大幅な外部委託という縮小案を含んだ整理合理化計画を行政改革相に提出。行政改革本部は現在、インターネット(www.gyoukaku.go.jp/pub/ikenbosyu)で意見を募集している。

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 これに対し、食品の偽装表示や耐震偽装、子供の生命・安全を脅かす商品、高齢者をねらった詐欺的商法が広域化・多角化し、生活の安全に関心が高まるなかで、国民生活センターを独立行政法人のひとつとして一律に縮小対象にしていいものかという疑問がある。