多重債務者狙った新手の闇金
「金貨金融」巧妙な手口とは…
2011.01.25
多重債務者狙った新手の闇金「金貨金融」巧妙な手口とは…
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110125/dms1101251219003-n1.htm
先ごろ「金貨金融」に関する契約の違法性を認める判決が出た。主に北海道で横行している金貨金融。その実態は、金貨売買を装って客から暴利をむさぼる新手の闇金だ。最近、「クレジットカード現金化」をはじめ、多重債務者を狙った新たな金融業者が続々と出てきている。金貨金融の巧みな手口とは…。
札幌簡裁は1月14日、札幌市内の金貨販売業者に対し、男性顧客との契約をめぐり「暴利の融資」と認定し、契約の無効を言い渡した。判決によると、この業者は昨年5月、自己破産し、闇金業者を利用していた男性に金貨を販売、代金6万5600円を10日後に支払う約束で販売した。
実はこの業者、金貨販売をうたいながら、「当日即現金化」と融資を連想させる広告をしていた。金貨をダシにした金貨金融業者だったのだ。
現役闇金業者がその仕組みを解説する。
「業者はまず顧客に対し、金貨をツケで販売し、顧客はその金貨を持って別の業者の所で換金し金を受け取る。その数日後に元の業者に金貨の代金を精算する方法です。ポイントは金貨を相場よりも割高で販売する点。相場の金額と業者が設定した金額との差額が(業者の)実質的な取り分になるのです」
前出の札幌では、業者はツケで4万2000円相当の金貨を6万5600円で販売。顧客は別の業者で金貨を換金し、4万2000円相当の現金を受け取った後、元の業者には6万5600円を支払うことになる。
いわば2万3000円の“金利”が加算されたワケで、単純計算だと年利約2000%。こうした金貨金融業者は昨年6月以降、北海道など全国で急増しているという。
「ちょうど金融業者への総量規制が始まったころです。実態は、消費者金融などで借りられなくなった多重債務者を狙った換金闇金。札幌市内で11社の業者が確認されています」(捜査関係者)
金貨金融以外でも、別の業態に擬装したヤミ金は他にもある。
多重債務問題に詳しい辻角智之弁護士は「法の隙間を狙った実質的な闇金業者は増加傾向にあります。最近目立つのはクレジットカードの現金化。金貨金融の場合は、業者側にも回収リスクが伴いますが、こちらは“融資”しても回収するのはクレジット会社。より洗練された手口といえます」と話す。
多重債務問題の解決を目指し、貸金業法が改正されても新たな手法は増えるばかり。多重債務者などが債務地獄から脱出する方法はないのか。
辻角弁護士は「公的機関で法律の無料相談も行っています。こうした業者に手を出す前に法的アドバイスをキチンと受けることが大事です」と話している。