

写真1 東京マラソン男子車いすで3位に入り、妻の美也子さんと握手する山本浩之さん
写真2 東京マラソン男子車いすで3位に入った山本浩之さん=27日午前10時35分、東京都江東区の東京ビッグサイト
写真3 山本浩之さんの車いすに貼られた「STOP!! 飲酒運転」のステッカー
今朝の朝刊は浩さんと美也子さんの記事ばかりです。お二人の戦いが飲酒運転撲滅の波動を起こすきっかけになると確信します。
朝日新聞(2月28日付け)を転載します。
亡くなった長男の夢見た街を走り抜けた。
27日に開催された東京マラソンの男子車いすの部に出場した福岡県の山本浩之さん(44)は約3週間前、16歳の長男寛大(かんた)さんを交通事故で亡くした。寛大さんは9日深夜、酒気帯び運転とみられる車に、同じ博多高校に通う友人とともにはねられ、頭を強く打って間もなく死亡した。3位に入った浩之さんは「寛大と一緒に東京の街を走れた。背中を押してもらった」。タイムは1時間30分17秒。ゴールすると、目から大粒の涙がこぼれた。
浩之さんは、20歳の時にバイクを運転中に事故に遭い、車いす生活になった。車いすマラソンでは、2008年の北京パラリンピックで6位入賞。その後も国際大会で活躍している。昨年の東京マラソンは優勝し、招待選手として2連覇を狙うレースが迫った時に事故は起きた。
通夜や葬儀などがあり、悲しみに暮れる浩之さんにとっては、レースどころではなかった。だが、寛大さんが来年の春に予定されていた東京への修学旅行を楽しみにしていたことを思い出し、出場を決意。レース前には寛大さんが行くはずだった「渋谷109」も訪れた。
レースには飲酒運転撲滅への思いも込めた。
「STOP!! 飲酒運転」のステッカーを特別に作り、ヘルメットや車体に貼って走った。福岡県では06年にも、飲酒運転の車に追突され、橋から海中へ転落した車の中にいた幼児3人が亡くなる事件があった。その後も飲酒運転による事故が後を絶たない。
ゴールで待っていた妻の美也子さん(42)は「頑張ってここに来られたら、私たちもまた一歩踏み出せるんじゃないかと思って」。家族の写真、寛大さんが亡くなった友人と撮った写真の2枚をカバンに忍ばせていた。