大塚勝利ブログ

議員活動をお知らせしていきます。

薬物乱用対策、市販薬過剰摂取について (福岡県議会6月 代表質問から)

2023-09-16 12:00:43 | 議会通信
昨日、福岡県議会で公明党代表質問(松下正治議員)が行なわれ、その中で私は薬物乱用対策について担当させていただきました。
昨今、大学の運動部員の大麻所持などの事件が相次いで発覚し、若者への蔓延防止が急務となっていますが、かぜ薬や咳止めなどの市販薬や処方薬の過剰摂取で県内1167人が令和4年度に救急搬送されたことが明らかになりました。
30代が約6割で女性が全体の約7割。学校や職場での人間関係や家庭の問題など「生きづらさ」を抱え、苦痛から逃れたい思いで乱用に走るなど社会的孤立が背景にあると言われており、対策は喫緊の課題です。
引き続き、私たち公明党県議団はこの課題に向き合い、取り組んで参ります。
朝刊各紙で取り上げられました。

以下質問答弁の骨子です。

次に、薬物乱用対策について伺います。
昨今、大学の運動部員の大麻所持などの事件が相次いで発覚し、若者への蔓延防止が急務となっています。薬物犯罪は長らく覚せい剤が中心でしたが、近年大麻が急増、2021年には検挙人数が過去最多に達し、日本は「大麻乱用期」にあると言われています。特に検挙された人の約7割は30歳未満で若者の急増は際立っており憂慮する事態となっています。
大麻には精神障害などの恐れに加え依存性もあり、覚せい剤などの「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれ、深刻な薬物乱用につながるものと懸念されます。
以下、質問します。
1. 本県における覚せい剤事犯、大麻事犯それぞれの検挙者数とその推移、再犯者率、年齢層など、本県の薬物乱用の現状について、知事はどのように認識されているのか伺います。

2. ネット上で流れる薬物の情報の遮断は困難であり、興味本位の使用を防ぐためにも学校や家庭で正しい情報を徹底して啓発していくこと、特に急増する大麻に焦点をあてた対策が重要です。若年層への啓発の取り組み、及び特に大学生への取り組みについて知事に伺います。
  併せて、児童生徒に対する薬物乱用防止教育について、どのように取り組んでいるのか、教育長に伺います。

3. 薬物は依存性が高く、薬物乱用を減少させるためには再犯者の減少、依存症対策が重要です。本県では執行猶予判決を受けた薬物事犯の初犯者を対象に依存症からの回復、社会復帰に向けた支援を行っていますが、その進捗状況を伺います。このほか大麻事犯で検挙補導された少年の再乱用防止にどのように取り組まれているのか知事に伺います。

4. 県警本部長に伺います。メッセージアプリ等を介して、学生が容易に入手している現状からも違法薬物の密売は深刻な状況です。こうした入り口となるSNSに対するサイバー捜査を含め、取り締まりを一層徹底すべきですが、県警本部長の決意を伺います。

5. この項の最後に、違法薬物でなく、麻薬成分の入った一部の市販薬、睡眠薬や向精神薬などの処方薬を過剰摂取することで違法薬物と似た状態となるオーバードーズについて伺います。入手しやすく、ネット上で乱用を助長する情報が流れたことで、若年層などに広まっています。過剰摂取は臓器障害や脳にダメージを与え、呼吸、心臓の停止で死に至る危険があると指摘されていますが、国立精神・神経医療研究センターが行った調査では、市販薬、処方薬を主たる薬物とする依存症患者が急増しており、中でも10代の患者の主たる薬物は市販薬、処方薬が約7割、20代患者で約6割と若年層が多くなっています。学校や職場での人間関係や家庭の問題など「生きづらさ」を抱え、苦痛から逃れたい思いで乱用に走るなど社会的孤立が背景にあると言われており、対策は喫緊の課題です。
市販薬乱用の実態を把握するとともに、対策にどのように取り組むのか、知事の見解を求めます。

(服部知事答弁)
問1 福岡県の薬物乱用の現状について
○ 昨年の覚醒剤事犯の検挙者数は412人と減少傾向にあるが、依然として高い水準であり、再犯者率は80.6%と高く、30代以上が約9割を占めている。
○ また、大麻事犯の検挙者数は349人と増加傾向にあり、過去最多の一昨年に次ぐ検挙者数となっており、再犯者率は32.4%、20代以下の若年層が約7割を占めている。
○ 大麻は、より作用の強い覚醒剤使用の入口となるゲートウェイドラッグと呼ばれることから、若年層へ向けた対策が重要となる。また、覚醒剤は再犯者率が高く、再乱用防止対策が必要であると認識している。

問 若年層への薬物乱用防止の啓発について
○  県では「福岡県薬物乱用防止第五次五か年戦略」に基づき、若年層に向けた大麻を中心とした薬物乱用防止の啓発に取り組んでいる。
○  小中高等学校においては、薬物乱用防止教室を開催しているが、その講師を対象とした研修において、より大麻に重点を置いた内容に見直すとともに、薬物乱用防止教室用の資料も改訂している。
○  また、一昨年度から、県が作成した「大麻の誘いに対する断り方」を伝える啓発動画を、若者がよく利用するSNSを用いて発信しているところである。
○ さらに、昨年度、大麻の健康への影響や、誘いへの対処法を解説した大麻乱用防止教育用DVDを制作し、県内の全ての中学校に配付している。
○ 大学生につきましては、夜の繁華街で彷徨う少年少女達と向き合い、夜回り先生と呼ばれている水谷修氏を講師にお迎えして、薬物乱用防止講演会を毎年開催している。また、大麻に特化したリーフレットを、啓発窓口として県内全大学に配置していただいている連絡調整員を通じて、新入生全員に配付している。

(教育長答弁)
問 児童生徒への薬物乱用防止教育の取組について
○ 大麻の乱用が高校生段階にも見られる実態を踏まえ、本県公立学校では、小学校高学年から高校生までの児童生徒を対象に、年1回以上、学校薬剤師や警察官等による薬物乱用防止教室を開催している。
○ また、毎年実施している教員を対象とした研修会においては、大麻の心身への影響だけではなく、インターネットやSNS等の普及により大麻が身近に迫っていることなど、最新の情報を提供している。
併せて、各学校における更なる指導の充実を図るため、県が制作した「大麻乱用防止教育用DVD」の活用や誘われた際の具体的な対処法等について、講義・演習を行っている。
○ 県教育委員会としては、単に知識の習得だけでなく、薬物乱用を絶対にしないという意思決定や行動選択ができる資質・能力の育成を目指し、今後も薬物乱用防止教育を推進してまいる。

(服部知事)問 薬物の再乱用防止の取組について
○ 県では、福岡地方検察庁から情報提供された初犯者に対して、面談や定期的な状況確認を行うとともに、精神保健福祉センターや医療機関等が実施する回復プログラムや治療に繋ぐ支援を行っている。
○ 平成30年度の事業開始から今年8月末までに、 246人の情報提供を受け、全員に面談及び支援計画の作成を行い、そのうち84人を回復プログラ
ムや治療に繋げたところである。
○ 大麻事犯で検挙補導された少年に対しては、全国で初めて、一昨年度から、少年が取り組みやすいようにイラストを多用したワークブックを作成し、これを活用した少年用回復プログラムF―CAN(エフキャン)を、県警少年サポートセンターにおいて実施している。

(警察本部長答弁)
問 違法薬物の密売等の取締りに対する県警本部長の決意について○ 現在の薬物情勢にあっては、誰しもがインターネットを利用して覚醒剤や犬麻などを容易に手に入れることができる憂慮される状況にある。
○ 県警察としては、サイバーパトロールを積極的に進めるなど、薬物の密売等に係る情報収集を強化するとともに、入手先に関する末端乱用者からの捜査などにより、薬物犯罪組織への取締りを強力に推進していく所存である。

(服部知事答弁)問 市販薬の乱用について
○ 県内の各消防本部からの情報によれば、処方薬を含めた医薬品の過剰摂取が原因と疑われる昨年度の救急搬送者数は、 1, 167人で、女性が約7割を占め、30代以下の若年層が多くなっている。
○ 今年2月、国において、かぜ薬や咳止めの薬など、「濫用等のおそれのある医薬品」の範囲が見直されたことから、県では、薬局・薬店に対して、若年者には、氏名、年齢、購入理由を確認するなど、適正に医薬品が販売されるよう周知、徹底を行ったところである。
○ また、小中高等学校で実施している薬物乱用防止教室の講師に向けて、昨年度、市販薬乱用の危険性についての研修を実施した。
○ 市販薬の乱用については、若年層及び女性が多いという実態を踏まえ、今後は、SNSを活用して、医薬品であっても適切に使用しないと死に至ることもあるといった危険性の啓発など、国、県、政令市の取締・教育・行政等の機関で構成する薬物乱用対策推進本部が連携し、しっかり取り組んでまいる。


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福岡県議会が閉会

2023-06-25 15:46:55 | 議会通信
福岡県議会6月定例会が本日閉会しました。改選後初の定例会であり、公明党からは1期生5名全員が一般質問に挑みました。
5名とも地域の皆様からいただいたご要望、前職から取り組んで課題等、現場の声を真正面から知事に質し、いずれも清々しい初質問でした。
私は代表質問の中で、人口減少・少子化について担当。女性の正規雇用率が出産を境に低下し、30代以上は非正規雇用が中心となるいわゆるL字カーブ問題、女性、男性の育児休業取得率の向上、出産後の女性の働き方と保育の課題等、質しました。
知事からは、国が打ち出す施策を踏まえ、費用対効果を慎重に判断しながら、より県民ニーズに即し効果的と判断されるきめ細かな県独自の施策を推進していく、と答弁がありました。明日からは、現場の声を聴くことに徹し、挨拶周りを開始してまいります。
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人口減少・少子化対策について

2023-06-25 14:01:43 | 議会通信
福岡県議会6月定例会では、代表質問の中で、人口減少・少子化対策について担当しました。質問・答弁骨子を掲載します。

はじめに人口減少・少子化対策についてです。
国立社会保障・人口問題研究所は4月、日本の将来推計人口を公表、2020年に1億2615万人だった総人口は、2070年には現状から3割減の8700万人に減少すると推計しました。また厚労省は今月、2022年の合計特殊出生率が7年連続で低下し、1.26と過去最低だったと発表しました。本県は前年比―0.04%の1.33となっています。第2期福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略によると本県の人口の将来展望について、2060年には472-443万人としていますが、これは2030年に希望出生率1.8、2040年に人口が長期的に均衡する出生率2.07が実現することを前提条件としています。現実は合計特殊出生率は年々減少の一途をたどり、1.33まで落ち込みました。大変、厳しい現状です。知事は今回公表された出生率を踏まえ、本県の人口減少をどの様に認識されているのか、あわせて本県の人口の将来展望を見直すべきと考えますが、見解を伺います。
本県が様々な少子化対策を講じていることは承知していますが、それにもかかわらず、現状は只今申し述べた通りです。政府と足並みを合わせて異次元の少子化対策に取り組むべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

問 人口減少に対する認識について
〇 今月発表された人口動態統計概数値によると、全国の令和4年の合計特殊出生率は、過去最低の1.26と7年連続の低下となっている。松野官房長官は、「少子化の状況は危機的な状況で、わが国の静かなる有事」との認識を示された。本県についても、合計特殊出生率は1.33と、5年連続の低下という厳しい状況にあり、少子化ひいては人口減少に歯止めをかけることは喫緊の課題であると認識している。
〇 総合計画と一体的に策定した地方創生総合戦略は、県民の結婚・出産・子育ての希望をかなえることを目標としており、県人口の将来展望においても、実際の出生率ではなく、県民の希望出生率を元に推計を行っている。
このため、現段階では県人口の将来展望の見直しは考えていないが、引き続き地方創生の取組を進め、出生率を改善させることにより、県民の希望の実現を図ってまいる。

問 少子化対策について
○ 県では、少子化に歯止めをかけるため、仕事と生活の両立のための働き方改革の推進や、出会い・結婚、出産、育児など、それぞれのライフステージに合わせた施策に取り組んでいる。
〇 また、こどもを安心して産み育てることができる地域社会をつくっていくため、中長期的な視点を持って、継続的に施策を実施するための財源を確保できるよう、 121億円の「出産・子育て安心基金」を設置した。これを活用し、病児保育の無償化及び不妊治療への助成を今年度から新たに始めたところである。
〇 現在、国においては
① ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組
② すべてのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
③ 共働き・共育ての推進
など、今後3年間、集中的に取り組む少子化対策の検討が進められている。県としては、こうした国が打ち出す施策を踏まえ、費用対効果を慎重に判断しながら、より県民ニーズに即し効果的と判断されるきめ細かな県独自の施策を推進してまいる。


次に少子化対策、出生率向上の方策の一つである「仕事と子育ての両立支援」について伺います。少子化の要因の一つは、仕事と子育てが両立できない為、若い世代が子どもを持つこと自体を経済的リスクと考えているためと言われています。
結婚後、女性は「仕事か、子育てか」の二者択一を迫られ、仕事を選択すれば出産を断念するケースもあります。出産・育児を選択しても、経済的に回らないため、出産後また働き始めるケースが多くなっています。
女性の就業率は出産後再び上昇しますが、一方で出産を境に正規雇用率は低下し、30代以上は非正規雇用が中心となるいわゆるL字カーブ問題が課題となっています。非正規雇用は、収入の減少だけでなく、キャリア・能力形成の継続ができず、女性の能力が発揮できない課題となっています。
① そこで質問です。本県の、出産を境にした女性の就業率、正規雇用率はどのようになっているのか、その状況を伺います。L字カーブの解消について、県ではどのように取り組んでいるのか伺います。

問 女性の就業率等について
〇 平成29年の総務省の調査では、本県の女性の就業率は、20歳代から50歳代まで約70%で推移している一方、雇用者に占める正規雇用率は、20歳代後半の62%を境に、右肩下がりとなり、40歳代では40%と約20ポイント低下している。
〇 県では、「正規雇用促進企業支援センター」に、企業の正社員採用や従業員の正社員への転換を支援する専門のアドバイザーを配置し、求人票の書き方や採用活動に関する助言指導、正社員転換した企業が受けられる助成金の活用支援等を行っている。
〇 また、「子育て女性就職支援センター」では、ご本人の経歴やスキルを丁寧に聞き取り、希望にあった就職のあっせんを行っている。さらに、面接に際しての具体的なアドバイスや面接への同行、就職後の定着支援など、きめ細やかな就職支援を行っているところである。
〇 今後も、こうした取組を通じて、女性の正規雇用を促進し、L字カーブの解消に努めてまいる。


次に、育児休業についてです。厚生労働省によると2021年の育児休業取得率は、女性85.1%、男性13.97%と、男性の育児休業取得はまだまだ低いものの、一見女性の育児休業は進んでいるように見えます。しかしながら、女性の育児休業取得率はあくまで在職中に出産した女性に占める育児休業取得の割合であり、出産前に退職した女性は算定の対象となっていません。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、第1子出産前後で、女性の正社員の約2割、パート・派遣の方の約6割が退職していることとなっています。
厚労省のアンケートによると、妊娠判明当時仕事を辞めた理由として最も多かったのは、「仕事と育児の両立の難しさ」となっており、具体的な理由としては「勤務先に育児との両立を支援する雰囲気がなかった」、「自分の気力・体力がもたなそうだった」などとなっています。このように、出産期の女性の就業継続には、職場の状況が大きく影響していることがわかります。
そこで質問です。

② 正規非正規問わず、出産した女性が育休を取得し、子育てができる職場環境の整備を進めるとともに、男性の育児休業取得を促進することが必要と考えますが、県の取り組みについて伺います。また有期の非正規雇用については、生まれてくる子が1歳6か月になるまでの間に労働契約が満了にならない要件があるものの、育休制度の対象となる道が開けています。企業にどのように周知されているのかお答えください。

問 女性が仕事と子育てができる職場環境の整備等について
○ 県では、企業のトップ自らが仕事と子育ての両立を応援する取組を宣言し、実行する「子育て応援宣言企業」登録制度を通じて、働く女性が出産、育児のため退職することなく働き続けることができる職場環境づくりや男性の育児休業取得を促進しているところである。
現在8, 366社登録されている。
〇 加えて、男性の育児休業については、昨年度はフォーラムの開催、今年度はテレビ番組等での先進的な企業の取組を紹介することとしている。
〇 非正規雇用の方の育児休業制度については、福岡労働局と共催で、企業の代表者や人事・労務担当者を対象に、制度や助成金等の研修会を開催するとともに、子育て応援宣言企業のホームページやメルマガを活用し、周知に努めているところである。



③ 出産後の女性の働き方は、保育の問題にも関係します。令和4年4月1日現在の本県の保育所利用状況調査では、1-2歳児の保育所定員に対して、利用児童数はほぼ満員、人口に対する利用割合は50%台となっており、半数の方は保育所を利用していません。0-2歳児で待機児童はどのような状況となっているのか。一方、保育現場では入園時期の融通が利かない、2人目を1人目と同じ保育園に通わせることができない、0-2歳児の受け入れ先を見つけるのが難しいなど一部ではこうした入所できない状況が生じています。こうした状況をどのように解消するのか知事の見解を伺います。

問 0-2歳児の待機児童の状況及び保育所への入所が困難な状況の解消について

○ 昨年4月1日現在の本県における0-2歳児の待機児童は77名となっており、待機児童全体の約8割となっている。
〇 また、保育現場の一部では、
・入所時期の融通が利かない
・2人目を1人目と同じ施設に通わせられない
・0-2歳児の受け入れ先を見つけることが難しい
といった状況もあるが、これは定員に余裕がないことや保育士不足により定員まで受け入れられないことなどが原因となっている。
〇 このため、県では、0-2歳児の受入に特化した施設整備を働きかけ、その定員は平成30年度の3, 438人が、今年度までに4, 401人と963人増加した。また、定員まで児童を受け入れることができるよう、短時間勤務の保育士を複数人雇用する際、必要となる費用について、新たに今年度から助成を始めた。引き続き、市町村の実態に応じたきめ細かな支援を行ってまいる。



④ 先ほどの調査では、1-2歳児の約50%、0歳児の約80%が未就園児となっています。未就園で在宅で子育てをしている家庭は、身体的、時間的、精神的負担が大きいことが予想されます。支援の手薄な0―2歳児の支援を強化し、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援を継続し、かつプッシュ型支援の整備が必要と考えます。本県では0-2歳児の支援にどのように取り組まれるのか知事の見解を求めます。例えばYouTubeを活用したサービスメニューの動画配信なども考えられます。市町村の先進事例を紹介し、市町村によるサービスの差が生じないようにすることが大事だと考えます。

0-2歳児の子育て家庭への支援について
○ 市町村が妊娠期から低年齢期の子育て家庭に、定期的な面談を実施し、必要な支援につなげる伴走型支援は、・妊産婦の孤立感や不安感の軽減を図るために有効である。さらにアプリなどを活用したプッシュ型支援を併用することにより、必要な情報を適切なタイミングで届けることが可能となる。
〇 伴走型支援については、全ての市町村で実施されており、県では、市町村で面談に従事する保健師等職員のスキルアップのための研修を実施している。また、プッシュ型支援については、まだ導入していない市町村があることから、アプリを使った好事例を市町村に紹介し、導入を促してまいる。



⑤ 少子化を止めるためには働き方改革が重要であり、本県企業が当事者意識を持って取り組むことが期待されます。本県の企業で働き方改革を実現するには、男女ともに制度はあっても利用しづらい雰囲気や、職場の同僚、上司に迷惑をかけるなどの意識を払拭することが必要であり、企業における代替職員確保と仕事の分担体制の確立が重要となります。本県企業で働き方改革を推進するとともに、夫も育児に主体的に関わり夫婦で育児を行う気運の醸成にどのように取り組まれるのか知事のご所見と決意を伺います。

問 企業の働き方改革の推進と夫婦で育児を行う気運の醸成について
○ 県では、働く方々がそれぞれの事情に応じた、多様な働き方を選択できる社会の実現に向けて、長時間労働の是正など、企業の働き方改革を推進している。
〇 具体的には、自社の働き方の見直しを宣言・実行する「よかばい。かえるばい企業」及び「子育て応援宣言企業」の登録拡大、男性の育児休業取得の促進に努めている。
○ また、夫婦がともに家事・育児に参画することについての県民の理解が進むよう、啓発動画等を活用し、男性は仕事、女性は家庭といった固定的な性別役割分担意識をはじめとするアンコンシャス・バイアスに対する理解促進に取り組んでいる。
○ こうした取組を着実に実施し、子育てがしやすい職場環境を整備するとともに、企業や家庭に対して男性が子育てに関わることの大切さや意義について啓発し、夫婦で育児を行う気運を高めてまいる。


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5期目スタート!臨時県議会

2023-05-15 15:41:16 | 議会通信
臨時県議会が開かれ、5期目がスタートしました。
この度、新開昌彦団長のもと、幹事長の任を受けました。これまで同様、徹して一人に寄り添い、県民の命と暮らしを守る為、全力で働いて参ります。
公明党県議団は今回、新旧交代の時を迎え、新人5名が初登庁。県議団10名どこまでも団結し、皆様の期待にお応えして参ります!
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不妊治療、プレコンセプションケアについて(2月代表質問から)

2023-03-06 09:08:42 | 議会通信
長年、公明党が提案してきた不妊治療の保険適用が、菅政権のもとで実を結び、2022年4月より実施され、多くの方が不妊治療を受けることができるようになりました。福岡県では来年度予算で出産・子育て施策の柱として、保険適用の不妊治療と併用される先進医療による不妊治療の助成(2.8億円)が提案されています。一方で、不妊治療の課題は経済的負担とともに医療水準が高いにも関わらず、不妊治療の成功率、出生率が余り高くないことです。

2023年2月28日 代表質問 森下博司 起案者 大塚勝利
次に、不妊治療、プレコンセプションケアについて質問します。
長年、公明党が提案してきた不妊治療の保険適用が、菅政権のもとで実を結び、2022年4月より実施されました。これにより多くの方が不妊治療を受けることができるようになりました。一方で、日本の不妊治療には3つの課題があると言われます。
一つ目は、経済的な負担。
二つ目は、不妊治療を受けている女性の身体的、精神的な負担が大きく、治療の為、治療と仕事の両立が難しい時間的な負担があります。
三つ目は、不妊治療の成功率、出生率が余り高くないことです。これは日本の医療水準の問題ではなく、妊娠・出産に至らないケースの要因は、夫婦の「年齢」の問題であると指摘されています。日本産科婦人科学会の資料によると、不妊治療を受けた場合の妊娠・出産率は年齢によって大きく左右され、女性の場合は35歳を超えると急速に低下しています。妊娠・出産に関する正しい知識や情報を、県民、特に若い世代に正確に知ってもらうことが必要ではないでしょうか。

そこで質問します。
不妊治療の課題である経済的負担について、不妊治療の保険適用に加え、福岡県として今議会で提案されている先進医療による不妊治療の一部が助成されることで経済的負担は軽減できると考えますが、本県で先進医療に取り組む医療機関はどれくらいあるのか、また医療機関の情報提供も含め、本県では不妊治療を希望する方への相談にどのように取り組まれているのか、伺います。

次に、プレコンセプションケアという言葉をご存知でしょうか。コンセプションとは英語で「受胎」、つまり新しい命を授かる妊娠のことで、プレはその前、妊娠前のケアのことで、
若い女性やカップルに対し、妊娠や出産に関する知識などを伝え、健康意識を高めてもらう取り組みです。妊娠・出産には様々なリスクがあります。例えば晩婚化が進む中、30代後半以降の高年齢になるほど不妊や流産の割合は上昇するとされ、体の状態や病気、生活習慣も、妊娠中の合併症や出生児に大きく影響を及ぼし、妊娠が判明してからでは、対応が難しくなる場合も多いと言われています。あくまでも妊娠を希望するかは個人の自由ですが、プレコンセプションケアにより早い段階から適切な知識を得て、健康で質の高い生活を送ることは、人生の選択肢を広げ、妊娠・出産時や次世代の子どものリスクを下げることにつながります。こうした重要性から2006年にアメリカのCDC疾病対策センターが、12年にはWHO世界保健機関が推奨、日本で21年2月に成育医療等基本方針で定義され対策が始まっています。
国立成育医療研究センターの荒田尚子診療部長は、「日本は妊産婦や新生児の死亡率が諸外国と比べ低いが、晩婚化や肥満・やせの増加、子宮頸がんの検診率の低迷など課題が多い。同ケアを母子保健だけでなく、教育や医療等幅広い分野で進めることが重要である」と指摘しています。
そこで質問です。
知事にプレコンセプションケアについての認識を伺うとともに、若い世代の男女に対して、健康な生活習慣の維持、妊娠・出産に関する正しい知識や情報の普及を行うなど、プレコンセプションケアに福岡県としてどのように取り組まれるのか、伺います。

問 先進医療による不妊治療について
○ 先進医療とは、国が定める高度の医療技術を用いた療養であり、有効性と安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準が設定されている。
不妊治療については、受精卵の着床に適した子宮の環境を作り出すなど、現在11種類の医療技術があり、県内では、施設基準を満たす9か所の医療機関で実施されている。
① 県では、すべての保健所で、助産師や保健師が不妊治療を希望する方に対し、電話や面接で相談に応じている。
加えて、県内3か所の保健所に設置している`「不妊専門相談センター」では、不妊専門の資格を持つ助産師や看護師が、医学的な内容に係る面接相談も行っている。
これらの相談では、必要に応じて、先進医療を実施している医療機関の情報を提供している。

問 プレコンセプションケアについて
○男女を問わず、若い時期から将来の妊娠のための健康管理を促す「プレコンセプションケア」に取り組むことは、安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後につながることから、重要であると考える。
県では毎年、妊娠・出産に関する正しい知識を普及するため、若者向けのリーフレットを作成し、県内全ての高校2年生に配布している。
また、昨年3月に、 LINEアカウント「性とからだのヘルプBOOKふくおか」を開設し、無理なダイエットが不妊の原因にもなることなど、若い時期から知っていただきたい情報を発信するとともに、不安や悩みを抱える若者を円滑に相談につなぐ取組を実施している。
今後は、こうした取組を継続して実施するとともに、将来の妊娠のための健康管理を促し、より早い時期からの正しい知識の普及を図るため、養護教諭等を対象とした「プレコンセプションケア」に係る研修を実施してまいる。

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暮らしの安心 守り抜く!12月定例会代表質問(下)

2023-01-19 23:42:51 | 議会通信
代表質問続き

⑤人口減少・少子化対策について

 日本の人口減少、少子化の流れが止まりません。2021年は、新型コロナの影響もあり、婚姻数が戦後最小の50万1千件余り、出生数も戦後最小の81万1千人余で、前年より2万9千人も少ない数でした。女性が一生涯に産む子供の数を表す合計特殊出生率は1・30となり、前年より一気に0・03ポイント下がりました。
出産適齢の女性の数も減少し続けています。
 この深刻な事態をもたらしている要因の一つに、日本のジェンダーギャップを挙げる識者がいます。すなわち、日本は世界経済フォーラムが算出するジェンダーギャップ指数で146カ国中116位と先進国では最下位。先進国に限ってはジェンダーギャップ指数と出生率がリンクしていることがOECDの分析で分かっているというものです。相模女子大学大学院の白河桃子(しらかわ・とうこ)特任教授は、女性の生き方を限定しないこと、女性が最低賃金ではなく高い賃金で働ける職場を増やすこと、男性が育児をすること、男尊女卑の風土を廃していくこと。
これこそが少子化対策の第一歩であると強調しています。

 そこで、まずジェンダーギャップ解消へ向けた本県の取り組みについて説明を願います。

 少子化対策としてのジェンダーギャップ解消に必要なのは、まずは女性の収入アップや就業の継続です。そこで、本県において賃金が低い非正規雇用の男女別の割合はどれくらいか、また、結婚前後と第一子出産前後の女性の就業継続率はどれくらいか、それぞれお示しください。その上で、一般的に女性の賃金が男性の賃金より低いことについて、知事はその原因をどのように分析されているのか、
また、その解消へどのような施策に取り組まれるのかお答えください。

次に、女性に子どもを産んでも大丈夫という安心感がないのは、「孤独な育児」「ワンオペ育児」にプレッシャーがあるからとの指摘があります。そこで、本県の男性従業員の育児休業取得率についてお示しください。今年度からの育児介護休業法改正で「産後パパ育休」すなわち「出産育児休業」という新設制度ができました。
この「産後パパ育休」の取得を進めるため、どのような施策に取り組まれているのかお尋ねします。
 また、県庁自身も率先すべきだと思いますが、県庁職員の育児休業取得率はどうなっているのか。「産後パパ育休」の取得促進の取り組みと併せてお答えください。
 少子化は各地域において進み方がまちまちです。
県内においても少子化や人口減少が極めて深刻な地域がある一方で、流入人口があるため実感が伴わない都市部もあります。その意味で、福岡県全体での一体感のある意識の在り方や取り組みが必要であり、知事のリーダーシップが求められます。
少子化、人口減少の問題に知事として今後どのような決意で取り組まれるのか、ご所見をお伺いします。

⑥0~2歳の支援について

次に、0~2歳児の支援についてお尋ねします。
少子化や人口減少は我が国が直面する最重要課題であり、7年早く少子化が進んでいます。「安心して子どもを産み育てられる社会」の構築が急務であります。国もようやく子ども家庭庁設置に踏み切り、真剣に取り組もうとしています。こども基本法には、「時代の社会を担うすべての子どもが、生涯にわたる人格形成の基盤を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、子どもの心身の状況、おかれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な人生を送ることができる社会の実現を目指して、こども施策を総合的に推進する」とあります。
まず、国の子ども家庭庁設置に伴って、本県における子ども施策の組織体制をどのように考えておられているか、お尋ねいたします。
核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭も少なくないです。すべての妊婦・子育て世代が安心して出産・子育てができる環境整備が喫緊の課題です。
12月2日に国の補正予算が採決され、公明党が提案した0~2歳の支援が本格的に始まります。厚生労働省では新規に、出産・子育て応援交付金が創設されます。当交付金は、市町村の創意工夫により、妊娠から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援に繋ぐ伴走型の相談支援と、経済的支援を一体として実施する事業を支援するとされています。
そこで質問です。今回、国が創設する交付金により、妊娠から出産・子育てに係る支援はどのように充実されるのか。また、当交付金による事業において、市町村の取組に格差が生じないよう、県は市町村に対して、どのように関わっていくのか、お尋ねします。
本県で生まれる子どもたちは、明日の本県を担う大事な宝です。
知事の誠意ある答弁を求めます。

⑦特定妊婦の支援(1207)
次に、特定妊婦の支援について伺います。
核家族化や地域とのつながりの希薄により孤立、不安感をいだく妊産婦が少なくない中で、全ての妊産婦が出産子育てできる環境を整えることが喫緊の課題となっています。
特に孤立や貧困、予期せぬ妊娠などで出産前後に支援を必要とする「特定妊婦」が増えています。虐待死した子どものうち、実母が加害者だった事例が多い中、国は、2009年改正児童福祉法で特定妊婦を支援対象に位置付けました。
2020年4月時点で、全国で特定妊婦は8327人に上り、制度開始の2009年から約8倍に増加。生後間もない乳児が遺棄される事件などが相次いだことを受け、官民で手を差し伸べる動きが本格化してきたところであり、特定妊婦の支援は母親だけでなく、虐待を受ける子どもを救うことにもつながります。
特定妊婦の中には、パートナーからのDVや、虐待のリスクのある方、予期せぬ妊娠や経済的な事情で親に相談できない等、将来への不安や多くの悩みを抱えており、相談ができる環境で産前産後を安心して過ごせる居場所が必要となります。
母親と子どもが一緒に暮らせる母子生活支援施設がありますが、母子生活支援施設では女性は出産前から利用できない制度となっています。
Q1. そこで質問です。特定妊婦は、産前からの支援が必要であることから、他県では産前の支援から産後、自立まで一貫して支援する施設ができ、孤立を防ぐ取り組みが始まっています。本県ではどのように取り組まれているのか。知事の見解を求めます。
Q2.特定妊婦と認定されていない妊婦でも支援の必要な女性は多く、相談窓口を知らなかったり、経済的な事情で妊婦健診を受診しない等、把握できずに支援につながらない妊婦が多いと聞きますが、こうした妊婦が支援から零れ落ちないように、市町村において福祉分野と母子保健分野の連携を取ることや、相談窓口の情報発信に注力すべきですが、県ではどのように取り組まれているのか、知事の見解を求めます。

⑧強度行動障がいの支援(1207)

強度行動障がいの支援についてお尋ねします。
強度行動障がいとは、自閉症や重度の知的障がいの方が起こす自傷他害行為や物を壊すなど周囲の人や暮らしに影響を及ぼす行動が高い頻度で起こるため、特別な支援が必要とされる障がいで、家庭での通常の子育ては困難な状況が続きます。
障がい者施設でも自傷他害行為によって社会に適用することができない強行の程度が重い人の場合、支援員が複数で対応せざるを得ず、民間事業者では経営面の難しさから、受け入れに消極的にならざるを得ず、受け入れ施設が極めて少ないのが現状です。
強度行動障がいの症状が起こると、家庭への暴力を繰り返し、親は落ち着くまで明け方までドライブを続けるなど、家族は疲弊し、過酷な日常から本人御家族の苦しみは限界を超え、生きづらさを抱えているケースが少なくなく、第3者による支援が必要となっています。

Q1. まず、県では強度行動障がいのある方とその家族の実態について、どのように認識されているのか、知事の見解を求めます。
先般、私は北九州市のある社会福祉法人を視察しました。同法人は家族でケアができない重い強行の方を受け入れたのをきっかけに、社会福祉士や臨床心理士など専門家によるチームで支援し向き合っています。同法人では日中一時支援の他、グループホームでも受け入れていますが、強行の方が落ち着けるように、他の利用者が他害の被害に遭わないよう、強行の方の個室への玄関や水回りを別個に設置することで、一人で過ごす時間を選択できるようにしました。その後他害行為がなくなり、現在もその状態が続いています。理事長は、強行の方の行動はつらいことへの防衛的行動であり、人的支援、物理的環境を整え、本人が安全安心と思える環境を作ることで他害行為がなくなる、同法人では、強行の方全員が腕まくりをして、新型コロナのワクチン接種を終えることができたと言われていました。
また、福岡市のある社会福祉法人では、フロアに利用者が行き来できる半個室のブースを設置し、壁は外からの視界が遮られ、立てば外が見える140㎝の高さで、強行の行動が出た方を閉じ込めるのではなく、きついと思った時点で自ら半個室に入って落ち着くことができます。そうした環境を整えてからは、強行の行動の一つである大声をあげることが大幅に減少しており、理事長は選択肢があることが大事であると言われていました。

Q2. そこで質問です。強度行動障がいのある方の支援は、その特性を理解した人材による専門的な支援だけでなく、施設や設備などの物理的な環境調整の工夫が状態の安定・改善に有効です。
強度行動障がいの特性から、受け入れを拒む施設がある中で、一人でも多く受け入れができるよう、こうした体制の整備が進む必要があると考えますが、県では、現在、障がい福祉サービス事業所等の人材育成や強度行動障がいのある方を入居対象とするグループホームの施設整備について、どのような支援を行っているのか、知事の見解を伺います。

Q3.  強度行動障がいのある方の受け入れに消極的な事業所があるのは、強度行動障がいがどのような状態か正しく理解されておらず、また専門的な支援、環境調整を行って受け入れ、状態の安定・改善につなげている事業所があることがあまり認知されていないためと考えます。
市町村が親からの相談に乗りやすくなり、また受け入れに消極的だった事業所で受け入れの検討が進むよう、県が、支援体制を確立し受け入れている法人等から、実践的な支援方法、施設整備の構造等、改善事例の情報を収集し、市町村や事業所に周知してはどうかと考えますが、知事の見解を求めます。

⑨学校図書館における学校司書の役割について(1207)

次に、学校図書館における学校司書の役割について教育長にお尋ねします。
先日新聞のコラムに、4年生の教室での、物語「一つの花」(今西祐行・作)の授業の様子が書かれていました。作中の、父親がコスモスを渡した時の心理描写について、登場人物の立場に立ち、状況や背景を踏まえれば、行間から父親の気持ちを想像できますが、一部生徒は読み解く力がなく、父親の悪意や欲望を描いた作品だと受け取ってしまうという衝撃的な記事でした。しばしばこの物語の誤読問題が取り上げられており、特例ではないと思われます。

読解力の低下については、OECDのPISA(生徒の学習到達度調査)に参加した当初、PISAショックと呼ばれ、大きな衝撃を与えたが、直近の2018年の調査でも数学が6位、化学が5位に対して、読解力は15位と読解力が長らく低迷しています。
ある校長は、学校現場で見られる子どもの思考力の欠如や珍妙な解釈を、「読解力の低下」という問題だけにとどめてはならず、読解力以前の基礎的能力の低下を危惧されています。

発達心理学の今井むつみ教授は子どもが言葉を育めるようになるかどうかの分岐点について、「誰もが生まれ持って分析力、推論力、学習力を兼ね備えているが、それを発揮させられるかどうかは家庭環境が大きな役割を担っている、親が子に対して話かける言葉の量と質が大きな影響を与える」と指摘しています。
家庭の中で培われる言語能力の低下が言われる中、公立の学校に期待される役割が大きくなっています。現行の学習指導要領の解説では、「言語能力は全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤となる」と位置付け、各学校において充実が求められる学習活動とされています。子どもたちの言語能力を高めるためには、単に言語を使わせる機会を増やすだけではなく、言葉を使って伝えたいという気持ちや言葉にできる豊かな感情や経験が必要と考えます。
読書は、多くの語彙や多様な表現を通じて様々な世界に触れ、疑似的な体験、知識の習得、新たな考え方に出会うことを可能にするものであり、言語能力を向上させる重要な活動の一つです。ソサエティ5.0時代に、福岡県でも児童生徒に一人1台タブレットが配布されました。ICT化と両輪で紙媒体の本に触れることが重要であり、学校図書館は言語能力だけでなく情報活用能力を育む上でその役割は大きくなっています。課題は子どもたちと本を結ぶ橋渡し役として、学校図書館を支える学校司書が配置され、機能し、役割を果たせるようにすることです。

そこで教育長に伺います。
Q1子どもたちの読書を促すためには、学校図書館の充実が欠かせません。学校図書館を充実させるために必要な専門的・技術的職務に従事するのが学校司書です。学校司書の果たす役割についてどのように認識しているのか、教育長の見解を求めます。

Q2本県の公立小中学校の中には、学校司書が常駐する学校、複数の学校を兼務し、本来の役割が果たせていない学校、配置していない学校もあると聞いています。宇美町では「図書館を使った調べる学習コンクール」を独自に実施し、子どもたちの図書館利用を推進しつつ、町内の5小学校、3中学校に1人ずつ司書を置き、毎月、調べ学習に役立つ本などについて情報交換するなど先進的に取り組む市町もあります。県教委では司書の配置が進むようどのように取り組んでいるのか、教育長の見解を求めます。
 
⑩フィッシング対策について
次に、フィッシング対策についてお尋ねします。
一昨年6月の定例県議会のわが会派の代表質問で、新型コロナに関連した詐欺対策について質したところ、警察本部長から、「県内では、実在する宅配事業者や携帯電話事業者、金融機関等を装って電子メール等を送り、受信者を偽のウェブサイトに誘導し、ID、パスワード、クレジットカード番号等を読み取る、いわゆるフィッシング詐欺に関連する相談が増加傾向」にあるとの認識を示し、「県警察のホームページ内に、フィッシング詐欺に関する情報提供専用フォームを開設し、一般の方から提供を受けた情報を分析した上で、偽サイトに対するより迅速、効果的な捜査活動はもとより、被害の未然防止を目的とした犯行手口のタイムリーな情報発信などの取組を実施しているところ」であるとの答弁がありました。
いまだに偽メールが横行しており、後を絶ちません。コロナ禍にあって、クレジットカードの利用は増加傾向にあるようです。経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度、将来的には世界最高水準の80%まで上昇させることを目指し、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいますが、昨年のキャッシュレス決済比率は32.5%となり年々増加しています。また、その内訳は、クレジットカードが27.7%と大部分を占め、今後、こうした状況に伴う詐欺被害の拡大が心配されます。クレジットカードの不正利用等の詐欺被害を未然に防ぐためには、その入口となるフィッシング対策の強化が求められます。

そこで、警察本部長にお聞きします。

まず、本県に寄せられているフィッシングに関する相談の状況はどのようになっているのでしょか?具体的な相談件数の推移と相談内容等の傾向についてご教示願います。


次に、今後も、社会情勢に応じた様々な手口によりフィッシング行為の増加が懸念されるとともに、キャッシュレス決済を推進するにあたり、フィッシングを入口としたクレジットカードの不正利用等の詐欺を未然に防ぐため、フィッシング対策の強化は重要であると考えますが、本県の現状を踏まえた今後の対策をどのように進めていくのか、警察本部長のご所見をお尋ねします。

答弁骨子
二-①
問 ジェンダーギャップ解消へ向けた本県の取組について
○ 県では、令和3年3月に策定した第5次男女共同参画計画に基づき、
・働く場や地域・家庭・社会活動において男女がともに活躍できる社会の実現
 ・女性等に対する暴力の根絶など誰もが安全・安心に暮らせる社会の実現
・男女共同参画社会の実現に向けた意識改革・教育の推進
の3つの柱のもと、施策を推進している。
○ 計画においては、女性の就業率や性別役割分担に賛成しない人の割合など、23の成果指標を設定し、
・働く場における女性の活躍推進や仕事と生活の両立のための働き方改革の推進
・自治会等地域コミュニティの運営における男女共同参画の推進
・DVなどの暴力被害や貧困などの生活上の困難に直面している方々への支援
・性別役割分担意識の解消や性の多様性に関する理解の促進
などに取り組んでいるところである。


二-②
問 男女間の賃金格差についての原因分析とその解消に向けた施策について
○ 本県の雇用者に占める非正規雇用の割合は、平成29年度調査で、男性が約2割であるのに対し、女性は5割を超えている。
女性の就業継続率は、平成27年から令和元年の間で結婚または出産した女性を対象とする全国調査では、結婚前後で約8割、第一子出産前後で約7割となっている。
○ 男女間の賃金格差は、男性に比べて女性は、①非正規雇用に占める割合が高いこと、②平均勤続年数が短いこと、③管理職比率が低いことが原因とされており、これらの解消が課題と考える。
○ このため、「正規雇用促進企業支援センター」において、県内企業への正社員採用の働きかけや企業内での非正規から正規雇用への転換に向けたアドバイスを行うとともに、「子育て女性就職支援センター」において、正規雇用を希望する方に対するきめ細かな就職支援などを行っているところである。
○ また、女性が長く働き続けることができるよう、従業員の仕事と子育ての両立を支援するための取組を宣言・実行する「子育て応援宣言企業」や、自社の働き方の見直しを宣言・実行する「よかばい・かえるばい企業」の登録推進に取り組んでいる。
○ さらに、女性の管理職への登用を促進するため、企業等の幹部候補者を対象とする「トップリーダー育成研修」や、課長・係長・若手といった職務経験に応じた階層別の研修を実施し、女性人材の育成を図っている。
○ 今後も、こうした取組を通じて、結婚や出産などのライフステージが変化しても、女性がキャリアを中断することなく、やりがいをもって働き続けることができるよう就業環境の整備を推進してまいる。

二-③
問 「産後パパ育休」の取得促進のための取組について
○ 令和3年度の子育て応援宣言企業の男性従業員の育児休業取得率は、
21.4%と、前年度から5.2ポイント増加し、年々着実に増加している。
  しかしながら、毎年90%台後半で推移している女性の取得率と比べると、低水準に留まっている。
◯ こうした状況を踏まえ、県では、「産後パパ育休」が施行された今年10月から2か月間にわたり、男性の育児休業取得を促進するための動画    「育休のススメ!パパ育フォーラム2022」をYouTubeで配信し、約500名の方に参加いただいた。
その中で、私もサイボウズ株式会社の青野社長と対談を行い、事業主や県民の皆様に対し、男性の育児休業の取得促進を呼びかけた。
◯ また、福岡労働局との共催で、企業の代表者や人事・労務担当者を対象に、今回の育児・介護休業法の改正内容や、育児休業等を取得しようとする男性に対する職場における嫌がらせ、いわゆるパタニティハラスメントの防止についての研修会をWeb上で開催し、135名の方に参加いただいた。
◯ このほか、子育て応援宣言企業のホームページやメルマガを活用し、今回の法改正の内容や、育児休業取得を促進する事業主への助成金について周知を図っているところである。

二-④
問 県庁男性職員の育児休業取得率と「産後パパ育休」の取得促進について
○ 県庁男性職員の育児休業取得率は、令和3年度で36.2%となっており、特定事業主行動計画の目標値である30%を上回った。
○ 男性の育児休業については、更なる取得の促進を図るため、今年8月から、職員への1か月以上の休暇・休業の取得パターンの紹介など、新たな取組を進めている。
これと併せ、今年10月から始まった新たな「産後パパ育休」についても制度の活用を促すため、職員に向けて積極的に周知を図ってきたところである。
○ 具体的には、
・ 男性職員に1か月以上の育児休暇・休業の取得を呼びかけるポスターの中に、「産後パパ育休」の概要を記載し、全所属に掲示するとともに、
・ 「産後パパ育休」も含めた育児休業等の制度改正の概要を分かりやすくまとめたリーフレットを作成し、職員に配付、
・ さらには、出産・育児の際に取得できる休暇等を取りまとめた「仕事と子育ての両立支援ハンドブック」を改訂し、庁内ネットワークを活用して周知を行った。
○ 今後とも、育児休業等の制度周知と取得しやすい環境づくりに努めてまいる。

二-⑤
問 少子化、人口減少に対する決意について
○ 人口動態統計速報によると、今年1月から9月までの全国の出生数は、昨年と比較してマイナス4.9%で、調査開始以来、最も少なかった昨年を下回るペースとなり、松野官房長官は、先月の会見で「危機的状況である」との認識を示された。
県においても、同時期の出生数は、昨年と比較してマイナス3.6%と非常に厳しい状況にあり、少子化に歯止めをかけることは喫緊の課題であると考えている。
○ そのため、先ほど申し上げた、仕事と生活の両立のための働き方改革の推進などジェンダーギャップの解消に向けた取組や、出会い・結婚、出産、育児などそれぞれのライフステージに合わせた施策を、今後ともきめ細かく総合的に行ってまいる。
○ 併せて、人口減少を食い止めるためには、少子化のみならず、就職などによる若者の流出といった社会的な減少にも対処しなければならない。
そのため、中小企業への支援、農林水産業の振興、企業誘致などにより、魅力ある雇用の場をつくるとともに、医療・福祉サービスの充実、地域公共交通の維持・確保、ICTの積極的な活用による教育の充実などに取り組むことが重要である。
○ こうした取組により、住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、子どもを安心して産み育てることができる地域社会づくりを、しっかり進めてまいる。


三-①
問 こども家庭庁設置に伴うこども施策の組織体制について
○ 来年4月施行の「こども基本法」では、こども施策について、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期を経ておとなになるまで、心身発達の過程を通じて切れ目なく、こどもの健やかな成長に対する支援を行うことなどが定められている。
このため、こども施策に関わっている保健医療介護部、福祉労働部、人づくり・県民生活部に教育委員会を含め対応を検討してきた。
○ その結果、こども施策を一元的に策定実施する「こども家庭庁」、及び、「こども家庭センター」を設置して住民の皆様に総合的・一体的にこども施策を
提供する市町村のカウンターパートとして、新たな課を福祉労働部に新設し、県内どの地域にあっても、健やかな成長に対する切れ目ない支援が受けられ、こどもの意見が尊重されることを推進することによって、「こどもまんなか社会」を目指したいと考えている。
○ 同課において、福祉労働部内をはじめ数多くの地域の社会資源とのつながりを生かし、医療、保健、福祉、教育、療育等の多分野にわたる「県こども計画」の策定の総合調整や、こどもの貧困問題、家庭・学校以外のこどもの居場所づくりなど、近年のこどもを取り巻く新たな部局横断的な課題にも機動的に対応してまいる。

三-②
問 出産・子育て応援交付金について
○ 本交付金は、市町村が、妊娠届出時と出生届出時にそれぞれ5万円相当の支給を行う「経済的支援」と、妊婦や低年齢期の子育て家庭に、出産・育児等の見通しを立てるための面談や情報提供を行う「伴走型相談支援」を一体として実施する事業に補助するものである。
○ 本交付金に基づく事業により、産後ケア等のサービスを受ける際の経済的負担が軽減されるとともに、支援が必要な妊産婦が、市町村等の相談窓口につながりやすくなり、妊娠期から出産・子育て期まで、面談等による支援を継続的に受けることで、孤立感や不安感が軽減されると考えている。
○ 県としては、市町村に対し、妊娠届出から乳児家庭に全戸訪問するまでの面談実施のイメージや、事業開始前に出産した方等への対応、今後のスケジュール等を分かりやすく示し、事業を速やかに開始できるよう支援してまいる。


四-①
問 特定妊婦の孤立を防ぐ取組について
○ 県では、昨年度から、予期せぬ妊娠に悩む方や経済的困窮等により出産後の養育不安を抱える方などを対象に、相談支援や出産・育児のサポート、一時的な住まいの提供、就労支援等、産前から産後まで継続した支援を行う「特定妊婦等母子支援事業」に取り組んでいる。
○ 具体的には、社会福祉法人が運営する母子生活支援施設に委託して実施しており、施設に配置したコーディネーターが相談対応や必要な支援の検討、児童相談所や市町村などの関係機関との調整等を行うとともに、施設の看護師が出産や子育てを援助し、出産後も母子が安定した生活を送れるよう支援している。
 また、在宅での支援が必要な方については、コーディネーターや看護師がご自宅まで伺う、アウトリーチでの支援を行っているほか、住まいの提供が必要な場合は出産前であっても施設への入所が可能となっている。
○ 今年度からは、実施箇所を1か所から2か所に増やしており、事業の拡充を図っているところである。

四-②
問 支援を必要とする妊婦の方への取組について
○ 市町村では、母子保健担当部署が把握した特定妊婦について、要保護児童対策地域協議会で協議、進捗管理を行いながら、それぞれの妊婦の状況に応じて、家庭訪問による相談支援や家事・育児の援助など、必要な支援に取り組んでいる。
県では、こうした市町村の取組が適切に行われるよう、児童相談所が実施する市町村担当職員向け研修において、母子保健と児童福祉の連携について助言を行っているところである。
○ また、健診未受診など市町村や医療機関等に繋がっていない方に、先ほどご答弁申し上げた「特定妊婦等母子支援事業」の相談窓口や、妊娠に悩む方の相談窓口「にんしんSOS」の情報を知っていただくことが重要である。
 このため、こうした情報を県のホームページや、LINE、インスタグラムといったSNSを活用して、広く県民へお知らせするほか、ミニカードをコンビニや商業施設の女性用トイレに設置し、きめ細かな周知に努めているところである。

四-③
問 強度行動障がいのある方とその家族の実態について
○ 強度行動障がいのある方とは、自らを傷つける、他者に暴力をふるう、物を壊すなどの行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別な配慮や支援が必要であると考えている。
〇 現在、強度行動障がいのある方の人数を把握するための確立された方法がないことから、国において、強度行動障がいのある方の支援に関する検討会を立ち上げ、全国的に把握するためのルールに関する検討が始まっているところである。
〇 ご家族は、常日頃から見守りを行うとともに、そのような行動が起きた場合には、ご本人や周囲の安全を確保しつつ、行動がおさまるようご本人を落ち着かせる必要があり、大変なご負担がかかっていると認識している。

四-④
問 事業所に対する人材育成やグループホームの整備への支援について
〇 県では、事業所の従業者を対象に、平成27年度から、支援者養成研修に取り組み、強度行動障がいのある方に適切な支援を行う人材の育成を図っている。これまでに、約5,800人の方が、この研修を修了した。
〇 グループホームについては、国の整備方針に基づき、県では、強度行動障がいを含む重度障がいのある方を入居対象とするものを、優先的に整備することとしており、その費用の一部を補助している。

四-⑤
問 強度行動障がいの状態が改善した事例の周知について
〇 強度行動障がいのある方への支援には、支援者の高い専門性と、落ち着ける空間の確保などの環境面での配慮が必要である。
〇 御紹介いただいたように、個室に玄関や水回りを設置し、一人で過ごす時間を選択できるようにすることや、半個室をフロアに設置し自ら入って落ち着くことができるようにすることで、他害行為などの危険を伴う行動の回数が減少するなどの事例がある。
〇 今後、専門的な支援に取り組んでいる事業所から対応事例を収集し、支援者養成研修の教材に追加するとともに、市町村担当課長会議や事業所に対する集団指導において周知してまいる。
五-①
問 学校司書の役割について(教育長答弁)
○ 学校図書館は、子どもたちが本に親しむ最も身近な場所であり、読書を通して、情報を得たり、学習を深めたりする機能を有している。
学校司書は、司書教諭等と共に、児童生徒が進んで学校図書館を訪れたくなるような環境づくりや、児童生徒や教員の学習情報ニーズへの対応、授業に役立つ資料の整備などを通して、こうした学校図書館の機能を向上させる役割を担っているものと認識している。


五-②
問 学校司書の配置の促進について(教育長答弁)
○ 国において策定された、第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」には、学校図書館法において学校司書の配置が努力義務とされていることを踏まえ、学校司書の配置の推進を図ることが示されている。
これに基づき、市町村に対しては地方財政措置が講じられており、県教育委員会においても毎年これを周知しているところである。
  また、県教育センターの研修において、学校司書との連携による充実した図書館活動の事例を紹介しており、これらの取組を通して、学校司書の配置促進に努めてまいる。

六-①
問 フィッシングに関する相談件数の推移及び相談内容等の傾向について(警察本部長答弁)
○ フィッシングの相談件数については、令和2年は1,153件、令和3年は2,011件、令和4年10月末現在では、前年同期比プラス297件の1,695件と増加傾向にある。
○ 県民から寄せられるフィッシングの相談内容等については、通信事業者、通信販売事業者やクレジットカード会社などを装った手口に関するものが多く、また、最近では、国税庁などを装う新たなものも見られるところである。

六-②
問 本県の現状を踏まえた今後の対策について(警察本部長答弁)
○ 県警察においては、県民から寄せられた相談や独自に開発したシステム等を活用して、フィッシングや偽サイトに関する情報について分析を行い、県警察のホームページやツイッターなどを活用して、タイムリーに注意喚起を行っているところである。
○ 把握した偽サイトの情報については、警察庁を通じてウィルス対策ソフト事業者に提供しており、同事業者を通じ、その偽サイトを閲覧しようとする利用者に警告を表示して注意を促している。
○ また、県内の学術機関とフィッシングに関する調査・研究を実施するなど、産学機関と連携した取組を行っているところである。
○ 県警察としては、引き続き、社会情勢と共に変化する手口を的確に把握した上で、各種対策を推進してまいる。


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暮らしの安心 守り抜く! 12月定例会代表質問(上)

2023-01-19 23:29:10 | 議会通信
令和4年12月定例県議会は、12月1日から20日までの20日間の日程で開催されました。
私は、中小企業支援や、新型コロナ対策、少子化対策、総合的な子ども施策の推進など、暮らしの現場の声を取り上げ、活発な質疑を行いました。

代表質問 (令和4年12月定例会)2022年12月8日

①円安・物価高騰対策
はじめに、円安・物価高騰対策について伺います。
コロナ禍に加え、円安、原油物価高騰の影響で、多くの中小企業が厳しい経営環境にあります。本来であればコスト増を適正に価格転嫁することで成長への投資や賃上げの原資を生み出し、消費拡大につなげるという成長と分配の好循環を生み出すところですが、適正な価格交渉、価格転嫁ができていない上に、人手も確保できない事業者が多いのが実情です。
全企業の9割以上を占める中小企業の成長こそ、日本経済再生のカギであり、これまでの効果を検証し、きめ細かい実効性ある施策を実行すべきです。

Q1 まず、長期化が懸念される円安、物価高騰の本県経済に与える影響、本県経済の状況をどのように認識しているのか、知事の見解を求めます。
Q2.  次に、本県の企業倒産の現状とこれに対する知事の認識についてお示しください。
Q3. 今後、実質無利子・無担保のゼロゼロ融資の返済が本格的に始まりますが、返済が滞れば公費負担が増える恐れがあり、焦げ付きが懸念されます。本県の融資実績、利子補給額をお示しいただくとともに、返済の状況並びに今後の対応について、どのように考えているのか、知事の見解を求めます。
Q4. 相談業務、資金繰り支援、企業体質改善、事業承継など県が有するすべての機能を充実、連携強化すると共に、市町村、商工会議所、商工会などの他の支援機関などとの連携を今まで以上に強化することが最低限取り組まなければならない事であると考えます。
コロナの影響が未だに色濃く残り、第8波の到来が懸念される現状の中、中小企業を中心とした事業者の皆さんの事業活動継続を支えていくにあたり、知事の決意を伺います。

②インバウンド回復拡大について
次に、インバウンドの回復拡大について伺います。
観光関連産業には、多くの方が従事し、地方経済を支える重要な役割を果たしています。現在は、新型コロナの水際対策が大幅に緩和され、インバウンドの入国が解禁されました。しかし、観光業界から歓迎の声が聞かれる一方、コロナ禍での観光需要の激減で深刻な人手不足に陥っています。
観光基盤の整備が切実に求められている今、大事なことは、観光地の再生と魅力向上へ、今後も観光産業への計画的・継続的な支援が必要です。
そこで伺います。インバウンド需要増加に対応するため、さらに宿泊施設の改修やDX(デジタルトランスフォーメーション)化などの取り組みを支援すべきと思いますが、知事の見解をお聞かせください。
2点目は、インバウンド旅行者が安全・安心に旅行出来る環境を整備するため、感染症対策に加え、観光地を中心として災害時・急病時の多言語対応の強化等に関する取組み支援をしてはいかがでしょうか。お答えください。
3点目は、インバウンドの多様なニーズに対応するため、文化観光体験・アート市場の活性化・スポーツツーリズム・農泊・酒造ツーリズム等今後も民間活力を導入し、楽しめて体験できる観光まちづくりを市町村と連携し、推進してはいかがでしょうか、お答えください。
4点目は、国際クルーズ船再開について伺います。
国際クルーズ船の運航が、新型コロナ感染症拡大の影響により、2020年3月以降停止されていましたが、国は、先月国際クルーズの受入れ再開を発表しました。
今回の国の決定は、本県へのインバウンド増加につながるものと期待していますが、国際クルーズ再開に当たっては、感染症対策の徹底など、県民の皆さんが、安心してクルーズ船を受け入れられるよう準備が必要と思いますが、知事の考えをお聞かせください。
次に、クルーズ客の県内周遊促進について伺います。
コロナ前のクルーズの大半は、中国クルーズでしたが、現状、中国は、ゼロコロナ政策を維持していることから、中国クルーズ観光客の増加は見通しが立ちません。しかし、新聞報道によれば、来年3月以降に外国船社のクルーズが国内に寄港する計画は、166本、そのうち7割が九州ということです。中国クルーズ観光客は、太宰府や舞鶴公園、福岡タワーを巡り、免税店で買い物をするというのが定番でしたが、新たなクルーズの乗客には寄港地の自治体だけではなく、県内各地域への周遊につながる取組みが必要ではないでしょうか。知事の考えをお聞かせください。
この項の最後に北九州空港の利活用について伺います。
北九州空港の18年度利用者数は、約179万人が利用され、インバウンドの増加により、過去最高を記録しました。24時間空港の利点を生かした北九州空港は、福岡空港の代替機能を果たすことで更に成長が可能となります。そこで伺います。常に過密状態の福岡空港から北九州空港へ国際線利用を一定数移す考えはないのか知事の見解をお聞きします。

③新型コロナウイルス感染症対策  
次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
政府の専門家の多くは、新型コロナウイルスの感染第8波は第7波より多くなると指摘しています。対策のカギは人々の行動や変異株など不確定要素がある中で、目標を立てて進めることができ、結果が期待できるワクチン接種です。感染防止対策に万全を期すとともにまた経済活動と両立を図るためにも、オミクロン株対応のワクチン接種を促進することが重要です。

Q1.そこで質問です。オミクロン株対応ワクチン接種の有効性や安全性について、BA1.対応型ワクチンと新たなBA.4-5対応型ワクチンとの違い、インフルエンザワクチンとの接種間隔について、県民に分かりやすく説明して下さい。

Q2.インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行時に発熱があった場合、どのように受診をすればよいのか、県民に事前に周知しておくことが重要です。どのような受診の流れになるのか、お示し下さい。

厚生労働省は医療現場が待ち望んでいたとされる塩野義製薬が開発した国産初の新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」を緊急承認しました。これまでの飲み薬は重症化リスクのある人に限られていた為、持病のない若い世代は、解熱鎮痛剤などの対症療法が中心でしたが、軽症の段階から服用できるのが特徴で、治療の選択肢が増え期待されるところです。

Q3、そこで質問です。感染拡大時に、国は、発熱外来の受診について高齢者や基礎疾患のある患者等を優先し、それ以外は自宅療養を原則としています。感染拡大時の自宅療養者に対して、ゾコーバはどのように供給されるのか。また現時点におけるゾコーバの供給状況と今後の見込みについてお示し下さい。

④施設整備と景観に関し実施した調査結果について(1207)
施設整備と景観に関して実施した調査結果をもとに質問します。
公明党福岡県議団では、施設整備と景観を中心に県民の地域・都市環境に関する意識・評価・要望を聞き、今後の施策の指針を得るために、2022年10月12日~18日に、福岡県、及び熊本市・広島市・神戸市・大阪市・京都市・名古屋市・横浜市・東京23区・仙台市・札幌市に居住する20歳から69歳の男女6,599人を対象に、インターネット調査を実施しました。

(1.施設の機能や役割について)
まず、25種の施設について、その施設の主な機能や役割以外に、今後拡充整備を望む役割や機能を複数回答で聞きました。
●「耐震性の強化」はマンションが45.7%で最も高く、次いで高速道路・都市高速44.2%、役所の庁舎37.4%、スタジアム・アリーナ・体育館37.2%、吊り橋などの大規模な橋、小中規模の橋が何れも37.0%となっており、大規模な施設やインフラの耐震性についての要望が多くなっています。
●「災害発生時の避難場所としての役割」はスタジアム・アリーナ・体育館が46.0%で最も高く、次いで公民館43.9%、役所の庁舎40.1%、小中学校38.6%、高校34.8%などの公的な大規模施設が続き、次いで大型商業施設33.7%が挙げられています。

Q1.「災害発生時の避難場所としての役割」で挙げられた施設のうち、スタジアム・アリーナ・体育館、公民館、役所の庁舎、小中学校、高校など公共的な施設は既に避難場所として指定されていると思いますが、スコアが33.7%であった大型商業施設、22.9%のオフィスビルなど民間施設は強靭な大型施設であり、災害時の避難場所のハードウエアとして有効に活用できると考えます。

特に、近年増加した郊外型のショッピングモールは近隣地域で最も大型の建物の一つであり大きな空間も有しています。また避難場所としての収容力や、食料品・日用品・衣類・医薬品などの商品の備蓄、駐車場もあり、地域での認知度も高く避難拠点として優れた機能を有しています。事実、東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市でショッピングセンターが多くの避難住民の命を救ったことは語り継がれています。柔軟な発想での官民の連携が求められますが、民間施設を避難場所として活用することについて、知事の見解を求めます。

Q2.次に、スコアが38.5%で4番目に高かった小中学校、34.8%で5番目の高校を含め、公立学校について教育長にお尋ねします。
例えば平日日中の災害発生時に公立学校は近隣住民だけでなく、帰宅困難となれば、当該学校の教職員と生徒の避難場所にもなります。これまでの大規模災害の経験を踏まえれば、発災直後には被害状況の把握に追われ、ライフラインの寸断等により、市町村の防災担当部局が直ちに避難所運営の体制を整えることは困難であり、発災から一定期間は学校の教職員が避難所運営の協力を可能な限り行わざるを得ないことが予想されます。避難所運営は市町村の防災担当部局が責任を負うものですが、学校が避難所になった場合の運営協力について、あらかじめ、学校としても準備を進めておくことが重要と考えます。この点について、教育長の見解を求めます。

(2.道路の信号や標識等の環境について)
次に、道路の信号や標識等の環境について聞いたところ、「信号や標識が街路樹や雑草に隠れて見づらいことがある」が県全体で19.0%と最も高く、次いで「区画線や路面標示がかすれていて見づらい」14.8%、「通学路や児童公園の近くなど、子どもが多く通行する道路では、通常の標識以外に平仮名で大きく書くなどの子ども用の標識をもっと設置するべきだと思う」13.3%などとなっています。

Q3、「信号や標識が街路樹や雑草に隠れて見づらいことがある」「区画線や路面標示がかすれていて見づらい」は何れも交通安全施設の維持管理の問題です。近年高齢者ドライバーによる交通事故が問題になっていますが、高齢者は動体視力が低下して、瞬時に複数の情報を得るのが困難になる傾向があるため、信号機や標識・路面表示等の視認性の確保は高齢者ドライバーによる事故を防止するうえでも重要です。「信号や標識が街路樹や雑草に隠れて見づらいことがある」との回答が19%あるということは、約2割の人が交通安全施設の維持管理の不備によって交通事故の危険を感じた経験を持っているということであり、あってはならないことです。これは人命に係わる問題であり、優先的な対応が求められます。
そこで質問です。道路の区画線や路面標示等の交通安全施設の維持管理はどのように実施しているのか。また、利用者等から修繕が必要と思われる箇所の情報を速やかに入手するために、どのような手法を実施しているのか、知事、警察本部長の答弁を求めます。

(3.福岡県景観計画の認知/推進意向)
次に、福岡県の景観計画の認知は県全体では「京築広域景観計画」3.8%、「筑後川流域景観計画」8.2%、「矢部川流域景観計画」3.5%と低調です。当該地域の住民に限定すると京築12.4%、筑後川流域23.0%、矢部川流域13.5%と全県を大きく上回ります。しかし、広域景観計画の推進を支持する人が全県では京築37.0%、筑後川流域49.0%、矢部川流域36.4% と一定のスコアを示し、当該地域では京築61.2%、筑後川流域70.4%、矢部川流域67.7%と6割から7割に達していることを勘案すると認知は低調であると言えます。「行政が住民のニーズに応えた施策を行っているにも関わらず、それが知られていない」という現状が示されています。




Q4. 景観条例が目指す良好な景観形成は、ひいては観光に資するものとなります。一方で、県は美しい景観形成に資する取り組みとして、NPOなどと協同した取り組みを行っていると聞いています。今後、県民の景観への意識を啓発していくためには市町村への啓発活動はもとより、県民に対して県の景観に対する取り組みの更なるPRを行っていくべきではないでしょうか。
そこでお尋ねします。景観に対する県の取り組みの現状はどのようになっているのか。また今後、県は県民の景観に対する啓発やPRにどのように取り組んでいくのか、知事の見解を求めます。

(4.居住している市区町村で景観が優れている場所)
次に、居住している市区町村で景観が優れている場所を聞いたところ、「市街地にある公園」が15.7%で最も高く、次いで「海岸・浜辺」12.9%、「山岳や山地」12.4%、「河川」12.3%、「歴史的なまちなみ」11.3%、「デパートなどが立地する中心部の商業地域」10.7%、「山や高層建造物からの眺望」9.8%、「住宅地と大型商業施設などが混在した郊外」9.5%、「マンションが比較的に集中している住宅地」9.3%などとなっており、県民が公園や自然景観に好感を抱いていることが分かります。
地域別に見ると地域の特徴が明瞭に現れる興味深い結果となっています。項目ごとのスコアが高かった地域は、「海岸・浜辺」は若松区、糸島市、西区、門司区、「山岳や山地」は糸島市、「河川」久留米市、「歴史的なまちなみ」門司区、「デパートなどが立地する中心部の商業地域」は中央区、博多区、「山や高層建造物からの眺望」は若松区、八幡東区、「マンションが比較的に集中している住宅地」は東区、「主にオフィスビル中心の市街地」は中央区、博多区、城南区、「農村」は糸島市、「港湾や工業地帯」は小倉南区、戸畑区、若松区、大牟田市などとで、これらは主要都市平均と比較しても高いスコアとなっています。

(5.主に市街地の景観が優れていて眺めが良いと思う市町村)
主に市街地の景観が優れている都市を聞いたところ、県全体では京都市が32.9%で最も高く、次いで福岡市27.8%、札幌市21.6%、神戸市15.4%、横浜市12.7%、北九州市8.9%、熊本市8.1%、東京23区6.4%などとなっています。
地域別では福岡市・北九市で共に自市のスコアが高く、特に北九州市では26.2%と全県平均8.9%の3倍になっています。

主に市街地の景観が優れている都市を聞いたところ、主要都市平均では京都市が36.1%で最も高く、次いで札幌市26.1%、神戸市18.2%、横浜市15.3%、福岡市9.4%、仙台市8.6%、東京23区8.1%などとなっており、北九州市4.0%では21都市中12位となっています。

Q5.そこで質問です。国際競争力の高い魅力ある観光振興には、地域固有の資源を発掘、活用し、交流人口を拡大させることが重要な課題であると考えます。
景観は地域が有する大きな観光資源の一つであり、その活用を図ることは観光振興の有力な手段です。北九州市や福岡市等のフィルムコミッションでは、地域の景観を活かし、映画・ドラマのロケ地誘致で成果を上げています。映画やドラマを視てロケ地を訪れる人たちは、その地域の風景と食を堪能し、人々のおもてなしに触れ、 その地域のファンになるといったことで誘客にもつながっているところです。
価値観の変化により単に観光名所を巡るのではなく、これまで観光地と捉えられていなかった様々な地域が観光地として注目されるようになりましたが、本県の特色である豊かな自然から商業地域まで多様な景観を活用し、その魅力を発信することで、より高い誘客効果を見込むことができると考えます。
地域の景観やロケ地を活用した魅力発信に県はどのように取り組んでいるのか、知事の見解を求めます。


答弁骨子

一-1-①
問 円安、物価高騰が本県経済に与える影響と本県経済の状況について
○ 県における鉱工業生産指数を見ると、自動車生産等の回復により、このところ上昇傾向が続いている。また、百貨店・スーパーの販売額が、10月まで13か月連続で、前年同月比プラスとなるなど家計消費も持ち直している。これらのことから、県経済の現状は、「緩やかに持ち直している」と判断しているところである。
○ 企業物価については、日本銀行が発表した10月の国内企業物価指数によると、円安の影響もあり、電力・都市ガス・水道が前年同月比43.2%増となるなど幅広い分野で上昇し、全体でも9.1%増と20か月連続の増加となっている。
○ しかしながら、日本銀行の「企業短期経済観測調査」等によると、原材料価格の販売価格への転嫁が依然として十分進んでおらず、農林水産業や製造業をはじめ様々な分野の事業者において、経営への影響が及んでいるものと認識している。
○ また、消費者物価については、総務省が発表した10月の九州の消費者物価指数によると、前年同月比で、食料は6.3%増と上昇を続け、光熱水費も8.0%増と3月の10.9%増をピークに高水準に推移しており、全体でも3.1%増と9か月連続の増加となった。生活に不可欠な商品・サービスの価格の上昇により、県民の皆様の負担感が増してきているものと認識している。

一-1-②
問 本県の企業倒産の現状と知事の認識について
○ 東京商工リサーチによると、本県における倒産数は、昨年は年間208件と過去50年間で最も低い水準であったが、今年は1月から10月までの時点で204件と、3年振りに前年を上回っている。
○ コロナ前と比較すると、依然低い水準ではあるものの、県内中小企業においては、売上や収益の減少、融資の返済開始などに加え、エネルギー価格や物価高騰、円安などの影響により、今後も厳しい経営環境が続くことが見込まれる。

一-1-③
問 ゼロゼロ融資の実績と返済状況について
○ 県制度融資における新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資の融資実績は、4万7,791件、7,805億円、これにかかる現在までの利子補給額は158億円となっている。
この資金については、既に5割を超える事業者が返済を開始しており、来年度末までには9割近い事業者の返済が開始される見込み。
○ 県では、現在、この資金について、今年度末まで、貸付期間10年、据置期間5年のところを、いずれも最長3年間延長できることとしている。
併せて、金融機関や保証協会に対し、事業者からの返済条件変更の相談について、柔軟な対応を行っていただくよう要請を行い、対応いただいているところである。
 今後とも、経営環境の厳しい中小企業に寄り添い、その実情に応じて、円滑な資金繰りを支援してまいる。

一-1-④
問 事業継続を支えていく知事の決意について
○  中小企業は、雇用の8割を担う本県経済の原動力である。コロナ禍や原油価格・物価高騰の影響が深刻化する中で、県の中小企業支援策については、「事業継続の支援」と「危機に強い経済構造の実現」、いわば「明日につながる支援」の2つを柱に据えて取り組んでいる。
○ これまで、「事業継続の支援」として、
・プレミアム付き地域商品券の発行支援や、本県を修学旅行の行程に組み込んだ県内外の学校に対するバス代の助成、
・県制度融資に、保証料を全額県が負担する「物価高騰特別枠」の創設、
・トラック運送事業者が行うエコタイヤの購入に対する助成制度の創設、
「明日につながる支援」として、
・国の持続化補助金やものづくり補助金の上乗せ補助、
・経営革新計画に取り組む中小企業に対する、新商品・新サービスの開発や経費削減への支援
・デジタル技術を活用した生産性向上に必要な設備導入に対する支援の拡充、
・新技術・新製品の開発に対する助成や、工業技術センターにおける低コスト化製品開発促進のための機器整備
などについて、補正予算を議決いただいたところである。
○ これに加え、今回の12月議会では、「事業継続の支援」として、
  ・プレミアム付き地域商品券の追加発行支援、
  ・県独自のプレミアム付き「福岡県版Go To Eat」食事券の発行による飲食店支援、
「明日につながる支援」として、
  ・インバウンド需要を県内全域に波及させるための旅行商品の造成支援、などの補正予算をお願いしているところである。
○ このような支援策については、県内4地域の地域中小企業支援協議会のネットワークを活用し、中小企業に対する周知を徹底するとともに、各支援機関が連携して、伴走型で支援を行ってまいる。
 今後とも、厳しい経営環境にある県内中小企業の事業継続と更なる成長発展に向けて、しっかりと取り組んでまいる。


一-2-①
問 宿泊施設の改修やDX化の支援について
○ 県では、外国人旅行者がストレスなく旅行を楽しめる環境を整備するため、宿泊施設におけるWi-Fi環境の整備やトイレの洋式化、露天風呂付の客室整備といった施設改修の取組を支援してきたところである。
○ 今年度からは、県中小企業生産性向上支援センターに新たに「宿泊業支援ユニット」と「デジタル支援ユニット」を設置し、宿泊施設の付加価値向上やデジタル化等の取組を支援している。まず、企業診断スタッフを宿泊施設に派遣し診断を行った上で、専門アドバイザーが現場に出向き、生産性向上のために必要な計画策定を支援するとともに、計画実現に向けた伴走支援や設備導入等に対する助成を行っているところである。
具体的には、幼児が安心して遊べるキッズパークの設置や、海外からも予約が可能な宿泊予約システム導入などの支援を行っている。
○ 今後も、こうした取組を、県内の多くの宿泊事業者の方々にご活用いただけるよう、メールでの案内に加え、業界団体の総会を通じて周知徹底するとともに、インバウンド受入に取り組む宿泊事業者のさらなる伴走支援に取り組み、インバウンドの需要の増加にしっかり対応してまいる。

一-2-②
問 災害時・急病時の多言語対応の強化について
○ 県では、24時間365日、多言語で対応する電話通訳サービス「ふくおかよかとこコールセンター」を運営し、災害時においても宿泊施設や観光案内所等において、外国人観光客とのコミュニケーションを図ることができる体制を整えている。
また、急病時においても、「医療に関する外国語対応コールセンター」において、「電話通訳」及び「医療に関する電話案内」を24時間365日、多言語で対応している。
○ さらに、災害発生時における、外国人観光客の安全確保のため、県の海外向け観光ホームページ「VISIT FUKUOKA」やSNSにおいて、速やかに災害情報を発信することとしている。
併せて、宿泊施設等の従業員が突然の災害発生時や急病時にも、慌てることなく外国人観光客に対応できるよう、「外国人旅行者のための災害対応マニュアル」を策定し、県内の宿泊施設や観光案内所等に周知してきたところである。
○ 水際対策が緩和され、外国人観光客の増加が見込まれる中、外国人観光客の方が安心して本県を旅行していただけるよう、こうした対策の周知を徹底してまいる。

一-2-③
問 外国人観光客が楽しめて体験できる観光まちづくりについて
○ 県では、外国人観光客のニーズに対応するために、市町村や民間事業者と連携し、「由緒ある屋敷での能鑑賞」や「200年以上の歴史を持つ久留米絣の藍染体験」など、福岡ならではの体験を組み込んだ高付加価値・高単価な旅行商品のモデルコースを開発し、海外の旅行会社へ紹介し、旅行商品の造成を促してまいる。
○ また、サイクルツーリズムを新たな体験型観光と位置づけ、市町村や民間事業者と連携し、広域サイクリングルートの設定や、サイクリストの受入環境整備などに取り組んできたところである。
今年度からは、玄界灘や遠賀川の景観を楽しめる「直方・宗像・志賀島ルート」などを組み込んだモデルコースを造成し、サイクリングが盛んな台湾や欧州の旅行会社を招請することにより、外国人観光客のニーズを踏まえた磨き上げを行い、商品造成につなげてまいる。
○ さらに、JRグループ6社及び観光関連事業者と連携し、再来年春に開催する国内最大規模の観光キャンペーン「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」に向けて、国指定名勝庭園の夜間開館や夜景観賞特別クルーズなど、特別感のある観光素材の開発を、市町村や観光協会、民間事業者と連携して進めており、これらの観光素材についても外国人観光客に対応できるよう整備してまいる。
○ これらの取組により、世界から選ばれる観光地づくりを進めてまいる。

一-2-④
問 国際クルーズ船再開について
○ 国際クルーズ船の受入再開にあたっては、まずはクルーズ船や旅客ターミナルの感染防止対策の徹底、入国時の検疫体制の強化、コロナ有症者発生時の対応など、日本国際クルーズ協議会などの関係団体が策定したガイドラインを遵守した受入体制を構築する必要がある。
  その上で、国際クルーズ運航会社が、寄港を予定している港の関係者と受入れに関する協議を行い、合意を得た後に再開となる。
○ 県としては、県民の皆様が安心して国際クルーズ船を受け入れられるよう、博多港、北九州港の港湾管理者である両政令市を通じ、受入体制の構築状況をしっかりと把握するとともに、両港の検疫体制の強化については、国に引き続き要望してまいる。


一-2-⑤
問 クルーズ観光客の県内周遊の促進について
○ 本県への国際クルーズの寄港が再開する際には、クルーズ観光客に限られた時間の中で効率良く県内観光を楽しんでいただくため、寄港地オプショナルツアーを造成する旅行会社や乗客に対して、本県の魅力ある観光情報を届けることが重要である。
○ そのため、旅行会社に対して、①門司港レトロの歴史ある町並み散策、②宗像市のビーチ乗馬体験など、本県の歴史文化や自然を感じられる観光素材を組み込んだモデルコースを提案し、県内を周遊する寄港地オプショナルツアーの造成を働きかけてまいる。
○ 併せて、寄港の際に自由行動をされるクルーズ船の乗客に対して、船内で観光パンフレットを提供するなど、寄港地周辺の外国人観光客向け体験プログラムなどの情報を届けてまいる。
○ これらの取組により、クルーズ観光客の県内周遊を促進してまいる。


一-2-⑥
問 北九州空港の利活用について
○ 「福岡県の空港の将来構想」では、福岡空港との役割分担と相互補完を進める方針のもと、北九州空港については、24時間空港の特性を活かし、福岡空港では対応できない早朝・深夜便の誘致を進めるとともに、貨物専用便の更なる誘致を進め、貨物拠点空港としての発展を目指すこととしている。
○ 近年、国は航空自由化を進めており、どの空港を利用するかは、航空会社の意向が尊重されることになる。
○ このため、県では、北九州空港の旅客便の誘致を図るため、北九州市と連携して、
①定期便就航に対する助成
②航空会社への直接訪問や商談会での働きかけ
③福岡都市圏と結ぶ福北リムジンバスの運行
に取り組んでいるところである。
  さらに、県と福岡国際空港株式会社が連携して、福岡空港の発着枠を超えて就航を希望する航空会社を北九州空港へ誘導する取組を進めている。
これらの取組により、北九州空港のより一層の利活用を促進してまいる。


一-3-①
問 オミクロン株対応ワクチンについて
○ このワクチンは、BA.1(ビーエーワン)対応型であっても、BA.4-5(ビーエーフォーファイブ)対応型であっても、現在、流行中のオミクロン株に対して、従来型を上回る重症化予防効果に加え、感染予防効果や発症予防効果も期待されている。
さらに、オミクロン株と従来株の2種類の成分が含まれることから、今後の変異株に対しても有効である可能性がより高いことが期待されている。
○ 安全性についても、現時点においては、BA.1対応型、BA.4-5対応型のいずれも重大な懸念は認められないとされており、有効性、安全性について、特に違いはないとされている。
○ インフルエンザワクチンとの接種間隔については、これまで、2週間の接種間隔が必要でしたが、有効性及び安全性が確認できたため、今年7月から同時接種が可能となった。
この同時接種とは、同日の接種のみならず、接種間隔を気にせず、別の日においても、接種ができるというものである。
このため、柔軟に接種タイミングを選べるようになっている。


一-3-②
問 新型コロナとインフルエンザの同時流行時に発熱があった場合の受診の流れについて
○ 重症化リスクの高い高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦の方に加え、小学生以下のお子さんは、発熱があれば速やかに発熱外来やかかりつけ医を受診し、新型コロナやインフルエンザなど必要な検査を受けていただきたい。
○ それ以外の重症化リスクが低い方は、発熱外来のひっ迫を回避し、重症化リスクの高い方が確実に受診できるよう、まずは新型コロナの検査キットで自己検査を行っていただきたい。
検査キットについては、「研究用」ではなく、国が薬事承認した「医療用」もしくは「一般用」を使用していただきたい。
○ その上で、検査結果が陽性だった方は、県が設置している陽性者登録センターに登録して、ご自宅で療養していただきたい。療養中に体調が悪化した場合は、健康フォローアップセンターにご連絡いただきたい。
○ 検査結果が陰性だった方は、急激な発熱や筋肉痛などの症状がある場合は、インフルエンザの恐れがあると考えられるため、電話・オンライン診療を行う医療機関、または県が新設する「インフルエンザオンライン診療センター」を受診していただきたい。
○ 新型コロナとインフルエンザの同時流行時に、こうした受診の流れを分かりやすく取りまとめて、県のホームページに掲載することとする。

一-3-③
問 経口治療薬「ゾコーバ」の供給について
○ 自宅療養者がゾコーバを希望する場合は、医療機関を受診していただき、医師の診断により必要と判断されたときに処方を受けることになる。
〇 しかしながら、11月22日に緊急承認されたばかりで、安定的な供給が難しいことから、当面、一般流通は行われず、国が全量を買い上げ、医療機関や薬局に供給されている。
  なお、既に供給されているパキロビッドに類似し、飲み合わせの悪い薬が多く、十分な注意が必要であることから、承認から2週間程度は、パキロビッドの処方実績がある医療機関等に供給が限定されている。
12月7日現在、県内91の医療機関と63の薬局での供給が可能となっており、35名の患者に処方されている。
〇 今後、取扱いを希望する全ての医療機関と薬局に供給対象が拡大される予定であり、その医療機関名を県のホームページで公表してまいる。


一-4-①
問 民間施設の避難場所としての活用について
○ 各市町村では、想定される避難者数を収容できるだけの避難場所を確保している。
その中で、体育館や公民館等の公共施設のみでの対応が困難な地域においては、国の手引きや県の指針に基づき、民間施設を活用している。
○ 今年4月現在、県内において、ショッピングモールなどの商業施設14箇所を含め、旅館・ホテルや葬祭場など合計229箇所の民間施設が避難場所として活用されている。
○ 県では、市町村が民間施設を活用する場合には、浸水や土砂災害などの危険区域にないことや強固な構造などを備えたものであることはもとより、緊急時に確実に開放される必要があることから、事前に協定を締結しておくよう、助言してまいった。
○ 今後も、必要に応じて、こうした助言を行ってまいる。


一-4-②
問 学校における避難所運営への協力について(教育長答弁)
○ 大規模災害の発生時の学校において、教職員の第一義的な役割は、児童生徒の安全を確保し、学校教育活動の早期再開に向けて取り組むことであるが、自校に避難所が開設された場合、施設管理の観点から避難所運営の補完的な役割を担うことも想定される。
○ このため、学校においては、あらかじめ市町村の防災担当部局の要請に基づき、避難者の誘導や備蓄品等の管理など教職員が協力できる内容を整理しておくとともに、教職員の危機管理意識の醸成について、引き続き指導してまいる。

一-4-③
問 交通安全施設の維持管理について
○ 県が管理する道路については、交通量に応じて1日から3日に1回の頻度で、巡視車による日常巡視を実施している。
この日常巡視により、道路の区画線や路面標示等の視認性や劣化状況をはじめ、道路施設の異状を日々確認しており、修繕の必要があるものについては、速やかに対策を講じている。
○ また、道路の異状に関する利用者等からの情報については、県庁への電話やメールなどの個別の連絡に加え、国が設置した「道の相談室」を通じ、随時、収集を行っているところである。
この「道の相談室」では、道路の種類や管理者を問わず、一元的に「#9910」の電話番号で、24時間連絡を受け付けている。
その中で、県が管理する道路の情報は、所管する県土整備事務所に即座に伝達され、この情報をもとに、速やかに現場を確認し、適切に対策を講じているところである。
○ 今後とも、日常巡視を行いつつ、道路利用者等からの情報も活用しながら、安全に安心して道路を利用していただけるよう、適切な維持管理に取り組んでまいる。


一-4-④
問 交通安全施設の維持管理について(警察本部長答弁)
○ 県警察では、公安委員会が管理している信号機や道路標識、横断歩道等の道路標示については、警察官によるパトロールなど、平素の警察活動を通じた「常時点検」、期間を定めて集中的に行う「定期点検」、災害時の「特別点検」のほか、専門業者による年間を通じた「委託点検」を実施しているところである。
○ こうした点検等によって、交通安全施設の損傷、老朽化、摩耗などを把握した場合には、適宜、修繕を行っているところである。


一-4-⑤
問 修繕箇所の情報を入手するための手法について(警察本部長答弁)
○ 県民の皆様から寄せられる情報については、110番通報、警察安全相談のほか、県警ホームページに開設している専用フォームなどを通じて入手しているところである。
○ 引き続き、こうした情報を速やかに入手するため、専用フォームをはじめとする窓口の周知を図るとともに、道路管理者と連携を図りながら、県民が安全で安心して利用できる道路交通環境の整備に努めてまいる。

一-4-⑥
問 景観に対する県の取組について
○ 景観計画は、県や市町村が、河川への眺望や町並みなど地域のシンボルとなる景観の保全や創出を目指し、建築物の色彩や高さ、空調室外機やごみ置き場の配置などについて景観上の基準を定めるものである。
  県は、矢部川流域、筑後川流域、京築広域の3つの地域において、広域景観計画を策定している。また、地域の特色に応じたきめ細かな景観形成が図られるよう、市町村に景観計画の策定を促しており、現在、26の市町村の区域において景観計画に基づく規制や誘導が行われている。
  今後も市町村を訪問するなど、計画の策定が進むように引き続き働きかけてまいる。
○ さらに、行政と住民が一体となった景観形成を進めるため、県が市町村、NPOなどのまちづくり団体、大学とともに組織した「美しいまちづくり協議会」において、県内の美しい景観の絵画や写真を募集し表彰する「美しい景観選」や景観啓発を目的とした様々なイベントを行う「景観大会」などの取組を行っている。
○ これらの取組について、県及び「美しいまちづくり協議会」において、それぞれのホームページやSNSを活用し県民への広報を行っている。
○ また、これまでは県庁や市役所など公共施設で開催していた「美しい景観選」受賞作の展示会について、今年度は新たな取組として、県とイオン株式会社との包括提携協定に基づき、イオンモール八幡東店においても明日9日から開催することとしている。
○ 今後も様々な場所を活用して展示会を行うなど、景観に対する県民意識の啓発やPRに工夫して取り組んでまいる。
一-4-⑦
問 地域の景観やロケ地を活用した魅力発信について
○ 旅行者の多くは、目的地の情報を主にSNSやウェブサイトにより収集しているため、県では、インスタグラムを活用したプロモーション「ディープフクオカ」において、地元の人にしか知られていない魅力ある景観、例えば築上町の「メタセコイアの並木道」や、「浮羽の稲荷神社」などを観光資源として発信している。
  また、本県を舞台として注目を集めた映画やドラマ、CMのロケ地となった場所、例えば歴史のある建物が立ち並ぶ「門司港レトロ地区」や「宮地嶽神社の光の道」などを観光サイトなどで紹介し、観光客の誘客につなげているところである。
○ なお、各地の魅力ある景観は、撮影に適した季節や気象条件などを熟知した地元の方々に発信いただくことが有効であることから、市町村や観光協会、DMOを対象に動画やSNSを活用して情報発信できる人材育成研修を実施し、魅力ある観光素材の効果的なPRにつなげているところである。
○ 今後も、県及び市町村が共に本県の魅力ある景観やロケ地の情報を発信することで、多くの方に本県の新たな魅力を届け、誘客につなげてまいる。

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障がい者の短時間雇用について 川崎市の視察を通して質問

2022-10-04 11:29:35 | 議会通信
福岡県議会9月議会では、先般、難病の為、A型事業所で働くも、月の収入はわずかでとても生活できない、抜本的に短時間しか働けない方への支援を検討願いたいとの強い要望をいただく中、障害者の短時間雇用PJに取り組む川崎市を知り、現地を視察、質問しました。障害者のみならず、働きづらさを抱えた皆様に働けるよう、働き方改革を国も、福岡県も推進を検討されていることがわかりました。

障がいがある方の中には、障がいの特性やその時の体調・体力の状態から長時間の勤務は難しくても、短時間であれば働ける方が多くいます。障害者雇用促進法は2021年に改正され、現在法定雇用率は従業員43.5人以上の企業に対して、2.3%(国、地方公共団体は2.6%)以上の障がい者を雇うことを義務付けています。しかしながら法定雇用率の算定対象は、週20時間、企業で一定期間継続的に雇用することが要件とされているため、20時間未満の短時間雇用の場合、法定雇用率には算定されず、20時間未満を希望する方が就職できない、いわゆる「週20時間の壁」が課題となっています。
また、法定雇用率について不足人数に応じて納付金のペナルティを支払えばいいと考える企業も多く、令和3年の全国での未達成企業の割合は、53%と約5割となっているほか、1人も雇用していない企業が未達成企業の57.7%を占めているのが現状です。
私は先日、川崎市を視察しました。近年精神障がい者や発達障がいに対する認知が広がったこと等から、これらの診断を受けたり、障害者手帳を取得する方が増加しています。川崎市では長時間働くことが困難なケースが多いとされる精神障がい者が年間4~6%ペースで増加する中、平成28年から東京大学先端科学技術研究センターと共同で法定雇用率の対象とならない週20時間未満の働き方・雇い方の実現に向けて、短時間雇用創出プロジェクトを自治体で初めて実施し、障がいのある方の活躍の場の創出に取り組まれています。
川崎市と共同で取り組む東京大学の近藤武夫教授は、障がい者の就労を阻む要因として、日本型雇用の特徴である「長時間労働」と「職務定義の不在」を指摘しています。
従来の雇用制度は「企業が生活保障をすることで働く人の生活を維持する」という考え方で成り立っています。結果として、労働時間が週40時間、年間12ヵ月継続して働くことが当たり前になってしまいました。これに準じた形で障がい者雇用においても、企業が障がいのある人を雇用していると認められるためには、週20時間以上働いてもらうことが求められています。障がいで長く働けない一部の人たちは、雇用対象の枠に入ることができず、本人の希望にあった求人はありません。そうした人たちの生活保障は生活保護や障害年金などの公的扶助だけに頼らざるを得ず、不安を抱えながら20時間以上働くことに挑戦するか、働かずに公的扶助で生きていくか、よい選択肢を見いだせないのが現状です。
また日本型雇用では、企業に採用されるときに多くの場合、どんな仕事をするか、「職務」が決まっておらず、採用後、各部署に配置されて仕事が決まっていきます。また、定期的に配置転換があり、そのたびに新たな部署で必要な仕事を柔軟にこなすことが求められます。新規採用では、コミュニケーション力も求められます。企業が採用時に職務定義を行わなくても、そうした状況に対応可能な人が期待され、その結果、特定の分野でできることがあったとしても、何かできないことや苦手なことがある人は採用されにくい仕組みになっています。
そこで川崎市は、短時間就労に着目し、雇用する側には、いつかはやりたいが、忙しくて手がつかない。簡単な仕事だが、専門技術を持つ社員が残業して行っていること等職務を切りだし、依頼する職務を明確に定義します。また障がい者に、その職務以外の仕事を求めず、また職場は障がい者だけでくくらず、健常者と同じ職場で共に働きます。
企業側としては社員が様々な仕事を抱えていて、本来取り組みたい業務以外を任せることで、業務効率の改善、人手不足の解消といった利点があり、人材、人件費の有効活用、ダイバーシティな組織づくりにもつながります。働く側としても個々の状況にあわせた働き方ができ、職務が限定されることから働きづらさを感じていた人の就労機会の創出につながるといったメリットがあります。
当然ですが、障がい者雇用・就労の要はマッチングです。川崎市では独自に創設した求人開拓、職業紹介を行う「企業応援センターかわさき」がハブとなり、就労支援機関である33か所の就労移行支援事業所、3か所の地域就労援助センターと連携する中、これまで20時間以上の就労につながらなかった方を対象に、企業開拓から、業務の切り出し、見学、実習、応募と求人から決定まで約2か月間、きめ細かいプロセスを経ることで、定着率は6割と高く、企業が確実に彼らを戦力として雇用し続けています。
一方、就労時間が週2時間から6時間と少しずつ増えている方は多くなっていますが、就労時間は週10時間未満が9割と、国が目指す20時間へのステップアップは難しい現状がありますが、これまで、働きたくても働く場所・機会のなかった方々の雇用の創出に着実につながっています。視察を通して、それぞれの希望や特性に応じた働き方を自ら選べるよう、選択肢の一つとして、短時間雇用が確保されていることは重要であることを認識しました。現在、短時間雇用の取り組みは、川崎市をはじめ、神戸市、渋谷区など他の地域へ広がりを見せています。
まず、本県の障がい者雇用の現状について伺います。
令和3年福岡労働局の調査によると、民間企業に雇用されている障がい者は19,058人で、前年より2.2%増加し過去最高となりました。雇用者のうち、身体障がい者11,916人(対前年比1.2%減)、知的障がい者3,839.5人(5.4%増)、精神障がい者3,302.5人(12%増)と、なっています。知的障がい者、精神障がい者が増加しています。
そこで、本県の法定雇用率を達成している企業の割合と、未達成の企業の中で障がいのある方を全く雇っていない企業がどれくらいあるのか、また民間企業の障害者雇用率の達成状況について併せて伺います。さらに本県は法定雇用率達成に向けてどのように取り組んでいるのか伺います。
次に、本県が今年度から飯塚市、大牟田市で取り組んでいる短時間雇用のモデル事業について伺います。
短時間雇用の普及の鍵は、就労希望者、企業双方に短時間雇用の制度の浸透、特に企業における職務の明確化、就労希望者と企業のマッチングを図る支援機関が重要です。
本県では大牟田市、飯塚市の2市でモデル事業の取り組みが始まりましたが、企業への短時間雇用の働きかけ、就労希望者と企業のマッチングを図るためにどのように取り組まれているのか、お尋ねします。
また、本県では、対象者を障がい者に限定せず、生活困窮者や、難病患者、ひきこもり等の就労困難者も対象としていますが、どのような体制で取り組まれるのか、伺います。
次に、短時間雇用の働き方は週20時間以上の雇用と比較した場合、短時間であるために経済的に十分な自立にはつながりづらいと考えますが、本県が取り組む短時間雇用のモデル事業ではどのように考えるのか、知事の見解を伺います。
次に、障害者雇用率制度の見直しについて伺います。
年金を十分に受給できない高齢者は年金の不足を補う為に希望すれば、一日3~4時間、週に3~4日程度働くことができ、高齢者は労働力不足の企業にとって戦力となっています。一方、障がい者が同様の時間数で仕事を探すと、週20時間の壁に阻まれ、結果として、働く意欲・能力を持ち、短時間ならば働けるにもかかわらず、働く機会が得にくい矛盾が生じています。
厚生労働省の労働政策審議会は本年6月、国や自治体、企業に義務付けられている障がい者雇用の法定雇用率について、短時間雇用を算定基準に加えるよう政府への意見書をまとめました。現在、国では法改正へ向けて動きがありますが、県としてどう考えるのか、知事の所見を求めます。

【服部知事の答弁】
① 県の障がい者雇用の現状と取り組みについて
公表されている昨年度の障がい者雇用率は、
対象企業4, 118社のうち、
・達成企業は、2, 056社で49.9%
・未達成企業は、2, 062社で50.1%
となっています。
また、障がいのある方を一人も雇用していない企業は、1,144社で、未達成企業の55.5%となっています。
県内民間企業における障がい者雇用率は、法定雇用率2.3%に対して2.21%となっており、障がいのある方の働きたいという希望を一人でも多く実現するためにも、引き続き、きめ細かに支援を行っていく必要があります。
このため、県では、障害者就業・生活支援センターを県内13カ所に設置し、障がいのある方の身近な地域で、就業及び生活面での一体的できめ細かな支援を行っています。
また、県独自の職業紹介事業として、就職相談からマッチング、就職後の職場定着支援を一貫して行っています。
さらに、共同利用型のテレワークオフィス「こといろ」を設置し、障がい者雇用やテレワークに精通したコーディネーターが、テレワーク可能な業務の切り出しから採用まで、利用企業を幅広くサポー卜しています。採用後は、障がいのある社員が安心してテレワーク勤務ができるよう、常駐の支援員が一人一人の特性に合わせた支援を実施しています。

② 県における短時間雇用の取り組みについて
県では、今年度から、障がいのある方をはじめ、家庭の事情や健康上の理由などで、フルタイムで働くことは難しいものの、短時間であれば働くことができる方を対象に、求人企業の開拓、マッチング等の支援を行うモデル事業を進めています。
本事業では、企業に対しては、生産性の向上や多様な人材の確保など、短時間雇用を行うメリットの説明や短時間業務の切り出し支援を行います。
求職者に対しては、集中できる時間が短い、定型作業が得意など、本人の適性を把握した上で、求人企業と求職者間の最も働きやすい職場へのマッチングを行います。
就職後も職場を訪問し、企業と求職者双方の相談を受けながら、就労の定着を行っていきます。
本事業は、県内の障がい者施設で組織される福岡県就労支援協同組合が事業主体となって、大牟田市及び飯塚市で取り組んでおり、事業の実施に対し県及び日本財団が助成を行っています。

③ 短時間雇用の経済的自立に対する考えについて
本事業の目的は、障がいをはじめ、様々な事情で週20時間以上の就業が難しく、既存の制度では企業への就職がなかなか進まない方に対し、それぞれの得意分野や適性を活かすことで、短時間で働ける新たな選択肢を提供することにあります。
例えば、障がいのある方も、障害年金の受給と短時間就労による収入を組み合わせることで、経済的自立に近づくことが出来ると考えられます。
年金その他の収入が一人ひとり異なるため、全ての事業利用者が経済的に自立することは難しいものの、自分の特性を生かして働き、少しでも収入を得る生活を選択したい方や短時間就労を将来の経済的自立に向けた助走期間としたい方、そういった方々の希望を叶えることができると考えています。

④ 障害者雇用率制度の見直しに係る県の見解について
県では、国に対し、週所定労働時間10時間以上20時間未満の障がいのある方について、障害者雇用率制度の対象に追加するよう要望してきました。
そのような中、国は、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障がい者、重度身体障がい者及び重度知的障がい者についても、障がい者雇用率の算入対象とするよう、今月、労働政策審議会に対し、障害者雇用促進法の改正を諮間しました。
こうした法改正の動きについては、長時間働くことが難しい障がいのある方が、短時間での切り出しが可能な仕事に従事する場合に、雇用率に反映されることとなり、就労機会の拡大に資するものと評価しています。

《 要 望 》
障害者雇用率の拡大について、様々取り組まれていますが、短時間雇用の取り組みは企業の障がい者雇用の意識改革につながる契機となり、その広がりは雇用率の拡大にもつながるものと思います。
国が今月、労働政策審議会に対し、法律の改正案を諮問したとの答弁からも、法改正は近いと思われます。今後、法改正され、短時間労働者が算定対象となれば、法定雇用率を達成している企業が5割にとどまるなかで、障がい者雇用に積極的に取り組む企業の増加が想定されます。
しかしながら、川崎市の視察を通して、現場では、20時間以上働ける方と20時間未満しか働けない方の対象者像には違いがあり、就労能力だけでなく生活支援の面で配慮が必要で、短時間雇用、特に職務定義の浸透や、20時間未満障がい者のサポート体制などきめ細やかに配慮された体制づくりにはそれ相応の時間が必要となります。仮に法改正がなされても、その体制が整わなければ、職務を限定しない求人があふれ、障がい者のニーズとかみ合わず、単に企業の法定雇用率の数合わせに終わるのではないかと危惧します。
短時間雇用の実現に向けて、国で議論されている短時間雇用が算定対象に加わる制度的な後押しだけではなく、本県のモデル事業が、今申し上げた視点で運用され、成果を収めていただき、県内市町村、全国に広がることを期待し質問を終わります。

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特別支援学級について 6月議会 代表質問から

2022-06-30 06:26:56 | 議会通信
令和4年6月議会 代表質問で担当した、特別支援学級の状況についてをアップします。
公立小中学校の中には、知的障がいや肢体不自由、自閉症や情緒障がいのある児童生徒の学びの場として、特別支援学級が設置されています。昨今の状況について、市民相談をもとに質問しました。

次に特別支援学級について教育長に質問します。
日本の公立小中学校の中には、知的障がいや肢体不自由、自閉症や情緒障がいのある児童生徒の学びの場として、自治体の判断で特別支援学級が設置されています。全国で令和3年には約32万6400人が在籍し、このうちの約半数が自閉症・情緒障害学級の子どもたちとなっています。
自閉症・情緒障がいの学級では、自閉症など意思疎通や対人関係に困難さがある、または心理的な要因で社会生活への適応に困難さがある子どもたちが安心して学習に集中するために必要な支援を行っています。
まず、障がいのある児童生徒は近年増加を続けていますが、本県の県域の特別支援学級、特に自閉症・情緒障がいの学級に通う児童生徒数、学級数の10年間の推移について、また学級の設置率を示して下さい。

次に、特別支援学級による指導の状況についてです。
特別支援学級では、一人ひとりの障がいの状態や特性、心身の発達の段階等に応じた指導を行うことが重要ですが、一方でインクルーシブ教育の視点で、障がいのある子どもと障がいのない子どもとが触れ合い、共に活動する「交流及び共同学習」が、通常の学級の中に入って行われています。

令和3年度文科省は特別支援学級による指導の実態調査を実施した結果、特別支援学級に在籍する児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学び、本来特別支援学級において行う障がいの状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた指導を受けていないなどの事例が明らかとなったため、改善を求めています。
そこで質問ですが、県教委は文科省の調査結果をどのように受け止めているのか、改善が必要な事例が報告されているが、その事例と本県の状況、今後どのように対応されるのか教育長の所見を求めます。

3.この項の最後に、特別支援学級の教員の専門性についてです。
特別支援教育では専門性のある教員による指導が求められます。教員の専門性を示す指標として、特別支援学校教諭普通免許状の保有率がありますが、本県の特別支援学校及び特別支援学級における保有率をお示し下さい。特別支援学級を担当する教員への研修の実施状況と、特別支援学級の教員の専門性向上について教育長の所見を求めます。
(吉田 法稔君)登壇 県域における自閉症・情緒障がいの特別支援学級の状況についてでございます。平成24年度から令和3年度までの10年間で、児童生徒数は1190人から4.5倍の5411人に、学級数は380学級から2.7倍の1043学級に増加をいたしております。また、自閉症・情緒障がいの特別支援学級を設置している学校は634校中574校であり、その設置率は90.5%となっております。
 
特別支援学級における指導の実態調査の結果についてでございます。本調査は、本県以外の一部自治体を対象に実施されたものでございますが、本県においても、特別支援学級の児童生徒が大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学んでいる事例があるため、他県と同様の課題があるのではないかと考えております。この調査を踏まえ、文部科学省からは、原則として週の授業時数の半分以上を目安に、特別支援学級において授業を行うよう通知がなされました。県教育委員会としましては、本県の実態を踏まえ、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の検討、判断や、教育課程の編成が適切に行われるよう、市町村教育委員会や学校長に対して当該通知の趣旨を徹底をいたしてまいります。
  
特別支援学校教諭普通免許状の保有率についてでございます。令和3年5月1日現在で、特別支援学校における免許状保有率は95.5%、県域の小中学校の特別支援学級における免許状保有率は、小学校で17.0%、中学校で15.0%となっております。
 特別支援学級担当教員への研修と専門性の向上についてでございます。現在、障がいの特性に応じた教育課程や指導方法等に関する研修会を年3回実施しておりますが、担当教員の免許状保有率が低い状況に鑑みますと、さらなる研修の充実を図っていく必要があると考えております。このため、県教育委員会としましては、各地域における特別支援教育の中心となる教員を育成し、その教員を核とした研修を推進するとともに、県教育センターにおける研修コンテンツの開発、免許法認定講習による免許状の取得奨励などの取組を通じまして、教員の専門性向上に努めてまいります。

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軟骨伝導補聴器について 医工連携について(R4年2月定例会)

2022-03-14 10:22:53 | 議会通信
R4年2月定例会での「軟骨伝導補聴器について 医工連携について」をアップします。2022-03-07

(大塚議員)本日は現場の声から2点質問します。
はじめに、軟骨伝導補聴器について質問します。
昨年、福岡市近郊にお住いのご家族から相談がありました。小学生のお子さんは右耳小耳症、右耳外耳道閉鎖症という先天性の耳の疾患で、耳が塞がった状態であり、耳の中に入れる通常の補聴器が使えません。耳が、外耳道が塞がった外耳道閉鎖症は小耳症と呼ばれる形態異常をしばしば併発すると言われており、小耳症は全国に1万人から1.5万人に1人発症する稀な疾患で日本では年間約100人前後が出生していると言われています。
外耳道閉鎖症の患者、また耳漏のある患者も耳を塞ぐと耳漏が悪化するために通常の補聴器を使用することができない為、こうした患者の中にはこれまで骨伝導補聴器を使用する方もいましたが、骨伝導補聴器はヘッドバンド等を使用するため、頭蓋骨への圧迫による痛みや皮膚びらんが生じるなどの問題があり、このため外耳道閉鎖症等の難聴者は別の選択肢を求めていました。
相談者は片耳だけの疾患の為、これまでは補聴器なしで生活されていましたが、教室で先生の話が聞こえづらい、疾患のある耳の方で
話されると聞こえない、後ろから車が来てもわかりづらいなど母親に話すようになる中、言語聴覚士のアドバイスから軟骨伝導補聴器の存在を知りました。
軟骨伝導補聴器とは、耳の軟骨部分これに振動子を接触させることで内耳へ直接音を伝達する軟骨伝導の原理を活用した世界初の補聴器で、外耳道閉鎖症や耳垂れなど通常の補聴器を使うことができない難聴者に適した医療機器で、耳をふさがない為、圧迫感がなく、手術も不要で、体への負担が少ないのが特徴です。この軟骨伝導補聴器をはじめ、補聴器の購入にあたっては、身体障害者手帳をお持ちの方々は、障害者総合支援法に基づく購入助成を受けることができます。
身体障害者手帳の交付対象にならない比較的軽度の難聴児には、自治体による独自の助成制度の整備が全国的に広まっており、福岡県においても、軽度・中等度の難聴児を対象とした補聴器購入費の助成制度があります。
しかしながら、この助成制度について、新たに支給対象となった軟骨伝導補聴器の取り扱いに関する認識が、市町村によって異なっていると聞いているところです。
1.そこで質問です。小耳症、外耳道閉鎖症は子どもに多い病気であり、補聴器購入への助成の取り扱いが市町村によって差が生じないよう、適切な支給決定が行われる必要がありますが、県内市町村の状況と県としてどのように対応されているのか伺います。

2.福岡県軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業では18歳までを助成の対象としていますが、補聴器を使う場合、その装用は生涯にわたって継続的に必要となることから、18歳までとせず成人、老年にも助成すべきですが知事の所見を求めます。
次に、医工連携について質問します。
経済産業省では、日本の医療の質の向上、ものづくり産業の新たな事業分野を開拓する為、高度なものづくりの技術を持つ中小企業と大学や医療機関等が連携して、医療現場のニーズに応える医療機器の開発、事業化への取り組みに対して開発資金の補助等を行う医工連携の取り組みを支援しています。
先ほどの軟骨伝導補聴器は奈良県立医科大学で発見された軟骨伝導の原理をもとにものづくりの中小企業が国内補聴器メーカーとコンソーシアムを組むことで、医療現場のニーズに応える医療機器の
開発が実現したものであり、ものづくり中小企業の金型技術を活用した製品開発によって、難聴者の選択肢を増やすことにつながった画期的な事例です。

医療機器産業の市場規模は、平成29年の約3兆円から、令和7年には約5兆円に拡大するとの予測もあります。しかしながら、日本の医療機関で使用される医療機器は、海外メーカーの製品が主流であり、日本のものづくり技術が生かし切れていないのが現状です。
そもそも、命や健康に関わる分野であり、開発のハードルが高いといった声もよく聞きます。私の地元の、優れた技術を持つ中小企業が、大学と共同開発により医療機器分野への参入に挑戦しましたが、結果としてうまくいかず、断念したというケースもありました。福岡県には、自動車産業の企業、半導体関連の企業が数多く集積しており、精密加工や特殊なメッキ加工など、優れた技術で全国から注目を集める企業も少なくありません。
この分野は、福岡県のポテンシャルを大いに生かせる分野であり、福岡県としてもしっかりと取り組んで頂きたいと思います。
そこで知事に質問です。
1.本県で医工連携を進めていく上での課題をどのように認識しているのかお尋ねします。その課題に対し、どのように取り組んでいるのか、お答えください。

2.この分野は、大きな成長が期待できるとはわかっていても、参入を躊躇している企業も少なくありません。そこで、本県における医工連携の成功事例があればご紹介下さい。
あわせて、中小企業の優れた技術は医療分野だけでなく、本県が注力する他の分野においても広がる可能性があるのではないでしょうか。医工連携をはじめ、他の分野への参入を目指す企業への支援についての知事の意気込みについてもお示し下さい。

優れた技術を持つ中小ものづくり企業にとって、医工連携は、自らの技術力を武器に、大きな成長を遂げるための重要な鍵であると考えます。知事の前向きは答弁を期待します。
知事答弁は骨子です。
(知事)問 軟骨伝導補聴器の購入助成について
〇補聴器の購入費用が、国の制度により支給されるのは、身体障害者手帳が交付される方、具体的には両耳で聴き取るのに70デシベル以上を要する方などとなっている。
〇しかしながら、聴カレベルにかかわらず、難聴児の言語習得のためには、幼少期に補聴器を利用することが効果的であるとされている。
このため、平成26年度から、身体障害者手帳が交付されない軽度田中等度の難聴児に対して、補聴器購入費を市町村が助成する場合、県が単独事業として、その半額を補助している。
〇一昨年度からは、軟骨伝導補聴器が新たに国の支給対象となったことから、本県においても先程の補助制度の対象としている。
この軟骨伝導補聴器について、これまで、国の制度で2件の支給、県の制度で1件の補助実績がある。
〇国の制度では、軟骨伝導補聴器が最も適合するとの医師の意見書が提出されたときは、支給を認めているので、県の制度においても、同様に取り扱うよう、市町村に周知してまいる。
問 軽度・中等度難聴児に対する補聴器購入助成事業の18歳以上の方々への適用について
〇先程申し上げたとおり、この県単独の助成事業は、難聴児の言語習得のためには、幼少期に補聴器を利用することが効果的であるとされていることから実施しているものである。
このため、18歳未満を助成対象としているところである。

 医工連携について
医工連携を進めていく上での課題についてお尋ねがございました。
〇中小企業が医療分野に参入していく上では、医療現場ニーズの把握、製品開発に向けた薬事規制への対応、医療分野における販売ノウハウの習得、こういった課題があると考えております。
〇このため、県では、平成26年度に設立いたしました、企業、病院、大学、行政機関が参画いたします「ふくおか医療福祉機器開発・実証ネットワーク」のもとで、関係機関相互の情報交換を行いますとともに、
①飯塚市内の3病院と連携し、病院内に企業が長期滞在しながら現場ニーズを把握いたします「飯塚メディコラボ」を通じた支援、
②薬事規制に対する専門家の助言や、医療機器の審査を行います、医薬品医療機器総合機構の担当者による相談会の開催、
③医療業界に販路を有する大手医療機器メーカーや医療機関とのマッチング会、
こういったものを行いまして、中小企業の医療分野への参入を支援しております。

〇この医工連携の成功事例についてでございますが、「ふくおか医療福祉機器開発・実証ネットワーク」のメンバーでございます鞍手町の半導体部品メーカー「藤井精工株式会社」は、県の支援による大型展示会への出展をきっかけに、世界的な眼科の治療器具メーカーとの取引に成功いたしました。誤差0.001ミリ以内と、高度な微細加工技術が求められます緑内障手術用器具でメインサプライヤーとなっております。
一昨年7月には、医療部品の新工場を開設いたしまして、新規雇用も90名を超えるなど急成長を遂げているところでございます。
〇県の製品開発支援により、筑紫野市の産業機械メーカー「株式会社三松(さんまつ)」は、精密加工や機械制御技術を生かし、九州大学病院と連携して、手術用ロボットのアタッチメントを開発し販売拡大しております。現在は、脳血管疾患による手指(しゅし)麻痺の患者を対象としたリハビリ訓練ロボットの開発にも取り組んでいる。
また、北九州市小倉北区のロボットベンチャー「株式会社リーフ」は、福岡市内の病院と連携し、歩行リハビリ支援ロボットを開発いたしました。現在、全国販売網を持つ大手医療・介護用ベッド企業との連携によりまして、量産化し販売拡大しております。
〇医工連携で培った技術やノウハウを活かし、人工衛星部品や水素関連機器の開発に挑戦する企業も出てきております。
今後とも、「飯塚研究開発センター」や「ふくおかアイスト」などとも連携し、医療機器はもちろん、これから成長が見込まれます先端分野についても、県内企業の参入を支援してまいる考えでございます。

(大塚議員)ご答弁ありがとうございました。2点要望です。
軟骨伝導補聴器についてです。相談があったご家族は、県内で身体障害者手帳を持たない初めての補助対象となりました。
相談者によると、県内には複数の同じ疾患で苦しむご家族がいるとのこと、一昨年度からこれまで市町村でわずかの助成でしたが、知事から答弁があった通り、市町村に、また耳鼻咽喉科の医師にも周知いただき、希望される子どもたちの利用が進むことを望みます。

次に医工連携についてです。県内の多くのものづくり企業は本県の産業振興策に注目しています。先ほど私が紹介した企業は、本県が、「先端半導体の拠点化」に力を入れていると聞くと、半導体分野において自社の技術で何ができるのか、チャレンジングな気質と高い技術力で積極的に取引先を開拓されています。こうした中小企業が本県経済を支えていることを実感しました。
ご紹介いただいた医工連携の成功事例、また本県の医工連携の専門的かつ伴走支援体制を多くのものづくり企業に、紹介、知っていただくことが中小企業の励み、成長につながると思います。




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