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議会質問 障がい者のグループホームについて

2018-06-19 15:23:51 | 議会通信
昨日、福岡県議会一般質問で、ご相談をもとに、障がい者のグループホームについて質問しました。
国や県は障がい者の生活の場を施設からグループホームなどの地域へ移行を進める一方、障がいのある子をもつ親の高齢化によって在宅介護が限界となった時、障がい者の住まいをどうするのか、グループホームへの重度障がい者の受け入れ体制、及びグループホーム整備促進へ向けた協議会の設置、あわせて精神障がいのある方の地域移行に向けた支援の取り組みについて質問しました。

一般質問 障がい者のグループホームについて

先日、重い障がいを持つ子どものご家族との懇談会がありました。医療の進歩により障がいのある子どもたちが30代、40代と育つ中、自宅で介護する家族も必然的に60代、70代と高齢化し、「親なき後」について多くの家族が不安を抱えています。
障がいのある人が地域で家庭的な共同生活を行う暮らしの場としてグループホームがあります。障がい者の通所施設は数の上では選べる時代となり、施設の中には利用者の生活の質を高めたいとニーズの高いショートステイに取り組む施設もようやく出てきましたが、最大の課題は親亡き後の住まいの問題です。本県ではこれまで重症心身障害児者のショートステイの拡充に取り組んできましたが、重症心身障害児者が入居できるグループホームはほとんど進んでいません。理由としては、報酬単価が介護量に見合わないため、人手が確保できないなど運営に着手する法人がいないこと。現在の報酬単価では、夜間支援員の複数配置が必須である重度障害者の支援ができないこと。グループホームは、バリアフリー、エレベーターの設置、防災設備工事などを考えれば新築にならざるを得ないこと。夜勤や当直が多い勤務に人材を確保することが難しいこと、など課題があります。
特定相談支援事業所にも話を伺いました。障がい支援区分5以上の重度障がい者の入居相談を受けてもグループホーム、入所施設の空きがなく、入居できるのはごくわずかで待機者も多く、特に重度障がい者や強度行動障害のご家族は将来の生活に不安を抱えている。短期入所のニーズに対しても社会資源が整っておらず、レスパイトや緊急時の対応ができるところが不足し利用に結び付いていないのが現状のようです。
障害があっても住み慣れた地域で暮らしの場を見つけたい、とご家族は願っています。

1.まず、国や自治体は障がい者の生活の場として施設入所からグループホームなど地域へ移行を進める一方、親の高齢化により在宅から地域へのニーズも高まっていますが、特に重度障がい者の受け入れ体制が追い付いていないのが現状ではないでしょうか。知事はどのように認識されていますか。グループホームのニーズについて県の見解を求めます。

2.本県の障害支援区分6、肢体不自由と知的障害の重複の障がい者のグループホームでの受け入れ状況についてお聞きします。また受け入れが進まない理由は何か。

3.平成30年度の報酬改定により障害者の「重度対応型」のグループホームの類型が新設されましたが、どのような制度と認識されているのか。障がい者は昼夜夜間を問わず24時間の支援を必要としています。今回の報酬改定では夜間にも十分な人員配置が可能となる報酬体系となったのか、重度障がい者の受け入れが進むのか今後の見込みについてお伺いします。

4.精神に障害のある方について先進諸国では精神科の在院日数は平均20日程度と言われていますが、日本では入院してそのまま退院できず、長期入院されている状況があります。長期入院にならないよう、地域での生活が継続できるよう支えることが大きな課題となっています。
そこで質問です。現在、精神障がい者の地域移行が国、県で進められていますが、精神障害者の地域移行の推進について知事の所見を伺います。また生活の場であるグループホーム等を確保するとともに、自立生活を支える為に相談支援や訪問支援に取り組むなど地域の受け入れ体制が必要となりますが、本県の地域移行に向けた支援の取り組み状況をお聞きします。

5.障害のある人が地域で安心して生活するためには、住まいの場としてのグループホームの開設がかかせません。愛知県では新築または既存の戸建て住宅を有効に活用し、障害者のグループホームの設置を促進するため、県と学識経験者及び事業者等で構成する連絡会議を立ち上げ、「グループホーム整備促進支援制度」を創設し先進的な取り組みを行っています。支援コーディネーターが中心となって、開設から運営まで一貫して支援し、説明会や見学会、勉強会も開催し、寄せられた質問をまとめたQ&Aには手続き、補助金、運営の体験談等が掲載され開設を希望する方にとって貴重なマニュアルとなっています。
愛知県の取り組みを2点紹介します。
グループホームを運営している法人の多くは、賃貸物件を活用しています。しかしながら、既存の戸建て住宅を活用してグループホームを設置する場合、一般的には建築基準法上「寄宿舎」の規定が適用されるため、防火間仕切り壁の設置などが必要となり、大規模改修工事を行わなければならない場合があるなど、活用がしづらい状況となっています。
愛知県では既存の戸建て住宅を活用し、十分な防火・避難対策を講ずる場合は、建築基準法上、「寄宿舎」の規定は適用せず、防火間仕切り壁の設置等は不要とし、また用途変更の手続きを必要としないこととする「取扱要綱」等を定めています。補助金については、新設のグループホームの建設費に対する補助事業、またグループホームへの新規参入の促進と小規模事業所の経営安定を目的として、運営に必要な経費、休日等に配置するヘルパーの人件費等の補助事業を行っています。
そこで以下3点質問です。
6.まず、建築基準法上、「寄宿舎」の規定の規制緩和について、本県でも空き家の活用や既存の戸建て住宅の活用が進むように、検討されてはどうか。

7.2点目に、障がい者家族のニーズが高まる中、重度障がい者のグループホームは、重要な社会資源であります。開設される法人に対して補助金を活用することについて県の方針を求めます。
本県では国の社会福祉施設等施設整備費補助金を平成29年度46件、465百万内示を受けています。全国では、内示のあった施設中約6割近くがグループホームの補助金となっています。重度障がい者に対応するグループホームを建設する場合、国の社会福祉施設等施設整備費補助金を積極的に活用すべきと思いますが知事のお考えを伺います。

8.3点目に、空き家を活用した障害者のグループホームの設置について、また昨今、民間住宅会社では土地オーナーによるグループホームの建て貸し方式を進めており、民間アパートより高い入居率となっています。本県において新築、または既存の戸建て住宅、特に空き家を有効に活用した障害者のグループホームの設置を促進するため、行政機関、学識経験者及び事業者等で構成する研究会を立ち上げグループホームの整備促進について検討されてはいかがでしょうか。


小川知事からは、大要以下のように答弁がありました。正式には、9月議会開会前に福岡県議会ホームページから議事録の検索ができます。

問1 重度障がい者のグループホームのニーズについて
 県では、障がいのある人たちがそれぞれのニーズに応じ地域において自立した社会生活を営んでいただくことを目指し、福祉施設入所から地域生活への移行を進めている。
 一方で、重度の障がいのある方は、御自身の高齢化や、介護者の高齢化による将来の地域での自立した生活について、切実な不安をお持ちだと伺っている。
 このため、重度の障がいのある方の住まいとしてのグループホームに対するニーズについては、今後増えていくものと認識している。


問2 重度障がい者のグループホームでの受け入れ状況について
 グループホームにおける肢体不自由と知的障がいの重複障がいのある方の受け入れ数については、把握できていないが、障がい支援区分が6の方は、今年3月で408人、全体の約10%となっている。
 従来、グループホームは日中に就労し、又は就労継続支援等のサービスを利用している障がいのある方を対象とし、主として夜間において必要な日常生活上の援助を行う施設とされていた。このため、夜間だけでなく日中においてもきめ細かな援助が必要な重度の障がいのある方に対する受け入れ体制が十分ではなかった面があるものと考える。


問3 重度対応型のグループホームについて
 重度の障がいのある方に対応できるグループホームの新たな類型として、今年度の報酬改定において、常時介護を要する方に対して必要な支援体制を確保する「日中サービス支援型」グループホームが創設された。
 「日中サービス支援型」グループホームの報酬については、一日を通して1人以上の職員を配置する必要があることから、基本報酬は従来のグループホームより高く設定されている。また、夜間職員を基準より多く配置している場合は、更に一定の報酬が加算される。
 これにより、充実した人員配置ができるようになり「日中サービス支援型」グループホームは、重度の障がいのある方の施設から地域への移行の促進や、自宅で生活していた障がいのある方が地域で生活を継続するための受け皿となりうるものと考える。
今後、このグループホームの整備が進むためには、地域住民の理解も必要であるため、障がいのある方が地域で生活することについての県民への啓発を進めてまいる。


問4 精神障がい者の地域移行に向けた支援の取組みについて
 精神障がいのある方は、入院が長期化するほど社会復帰が困難となる傾向があることから、退院可能な方が、できるだけ早く地域の一員として自分らしい暮らしをすることができるよう、地域での生活に移行する取組みは重要なことだと考えている。
 精神障がいのある方の地域移行に向けた支援の取組みとしては、地域での受け入れ促進を図るため、グループホーム事業者等を対象に、精神障がいに対する正しい理解を深める講演会を開催している。
また、地域で生活する精神障がい者を支援するため、保健福祉環境事務所の保健師等による電話相談や訪問支援、医療機関に委託して行っている夜間・休 日の電話相談などの取組みを実施している。
こうした中、今年度から地域移行に係る新たなサービスとして、先ほど申し上げた「日中サービス支援型」グループホームに加え、一人暮らしへの移行を 
 希望する方に対し、定期的な巡回訪問や随時の対応を行う「自立生活援助」が創設された。また、グループホームが1年以上精神科病院等に入院していた精神障がいのある方を受け入れ、一定の資格をもった職員が相談援助を実施する場合には報酬が加算される仕組みが設けられた。
 このような精神障がいのある方の地域移行を推進する新たな仕組みについて、事業者への周知を図ってまいる。


問5 グループホームの建築基準法上の取扱いについて
 グループホームは建築基準法上、寄宿舎の規定が適用され、防火上主要な間仕切壁の設置が求められるが、平成26年に施行令が改正され、住宅用防災報知設備を設け、直接、屋外へ避難できる場合などは、その設置が免除されている。
 このため、県では、建築士を対象に毎年開催される講習会を通じ、この改正内容について周知している。
なお、現行法では床面積が100平方メートルを超える戸建て住宅を、グループホームに用途変更する場合、確認申請が必要となるが、今国会に提出されている建築基準法の一部を改正する法律案において、200平方メートル以下までは申請を不要とする内容が盛り込まれている。
 これからも、グループホームの建築基準法上の取扱いについて、講習会等の機会を捉え、広く周知してまいる。


問6 重度障がい者に対応するグループホーム建設への国の補助金活用について
 県では、障がいのある人たちの福祉施設入所から、グループホームや一般住宅への生活の場の移行を進めている。昨年度の社会福祉施設等施設整備費補助金に占めるグループホームの割合は、本県においても、件数で65.2%と高くなっている。
 今後とも、グループホームの整備に当たり、必要性の高い施設であって、確実に利用者が見込めるものについては、当該補助金の交付が受けられるよう、国に対し、働きかけを行ってまいる。


問7 グループホーム整備促進に係る検討について
 障がいのある方の地域生活移行は、本県の障がい福祉政策の重要な課題の一つである。
 この課題解決のためには、障がいのある人の地域生活への移行に向けた住まいの確保が必要であり、その受け皿として、グループホーム整備は有効な施策であると認識している。
 県としては、県内各地域に設置された障がい者の自立を支援するための協議会の意見を踏まえ、グループホームの整備促進のあり方について、研究してまいる。

要望(要旨)2点要望します。
重度障がい者のグループホームにニーズについて、切実な不安をお持ちだと伺っていると答弁されました。

先ほども述べましたが、福岡市内では、実際に在宅の重度障害者がGHを希望しても入居できず待機されている方が多いと聞いている。他の地域ではどうなのか、地域ごとに受け入れに偏りがあるのか、まずは協議会の中で現状を把握していただきたい。

グループホームの設置について、寄宿舎扱いが規制緩和されたこと、国の補助金の活用、市街化調整区域に要件を満たせばGH設置が可能であることなど、法人に知られていないのが現状のようです。
在宅で生活していた重度の障がい者の受け皿となりうる「日中サービス支援型」が創設されたことも含め、グループホームの設置を検討している法人にしっかり情報が届くよう、徹底をお願いしたい。