私たち姉妹は子どものころ仲がよくありませんでした。姉は優秀だけど意地悪でたくさん泣かされました。だけど大人になってから姉がいじわるだった理由も理解できるようになり、同じカルト集団にかつて所属していた被害者意識のようなものを共有するようになりました。姉もかつては私を心のそこから憎く思っていたことでしょうけど、特に私が成人してからは仲良く話すし、旅行に行ったこともあります。私は姉が嫌いではなくなるだけでなく、逆に昔のことを思い出して気の毒にすらなることすらあります。彼女もまた母によく人格そのものを否定されていたからです。
ある日、風邪を引いて熱があった姉は水銀の入った体温計を割ってしまいました。水銀の入った体温計は使う前に振って水銀を圧縮します。ガラスで出来ているので落としたりぶつけたりしたら割れ、人体に有毒な水銀が飛び出てしまうため結構危険です。水銀は空気中で気化してガスの状態でも人体に有害ですから母はすぐそれを片付けなければなりません。一日目は怒られただけで済みましたけど、なんと彼女、翌日にも新しい体温計を同じように割ってしまったのです。
なんで割ってしまったかと言うと、母にギリギリと締め上げられ、泣くまいと堪えながらやけになって体温計をぶんぶん振り回したからです。そんなイライラした状態でしたから割れてあたりまえなんですが、別にわざとやったわけじゃない。それを母がものすごい形相で「うち中の人を水銀中毒で殺す気????」と真剣に、何度も繰り返し聞くんです。んなわきゃねー・・・。
そういえば兄も同じようにやられてました。遠足で虫取りに行って蝶を捕まえてきました。翌日には放してやるように母は言いましたけど、蝶は翌日までももたずに死んでしまいました。兄に蝶を埋めるように指示し、泣きながら穴を掘っているその背中に母は「あなたが殺したのよ」と低い声で言いました。おいおい・・・もう悪いと思って泣いてるやん・・・。今ならそう思えるけど、当時の大銀杏はまだ幼稚園。その母の恐ろしさだけが心に残り、蝶は未だに苦手です。っていうか恐怖症のレベルです。気失いそうになるもん。
ま、それは本題ではなくて、その姉に未だに聞けないことがあるんです。実は大銀杏中学校の卒業文集に将来なりたい職業として「通訳」と書いたんです。人と人のコミュニケーションを橋渡しする「糸電話の糸」になりたいと書いたのです。大銀杏は今通訳ではありませんが、姉は通訳です。姉ちゃん、君が通訳になったのは、私が通訳になりたがっていたからじゃないの?それが聞けん。聞けませんよ、だって「あたりー」とか言われても嫌だし「は?何それ?」って言われても信じられないんですもの。しかもね、大銀杏自分もちょっとそういうことをしてしまう人間なんですよ。人よりちょっと要領がいいところがあるので、いけ好かない人が誰かのことを好きだと言えばちょっかいだして彼氏にしてしまったり(昔の話です)、人が何か習い事をやろうとしてたら「あー、面白そう」とか言って自分のほうが上手になって見せたり。要するに自分で本当にこれが好きということがないから、ヒマ。ヒマだから人でもからかって見るかっていう心理があるんです。
姉ちゃん、たとえそうでも別に恨まないよ。同じ親から生まれた子ども同士、ろくなもんじゃないね。
ある日、風邪を引いて熱があった姉は水銀の入った体温計を割ってしまいました。水銀の入った体温計は使う前に振って水銀を圧縮します。ガラスで出来ているので落としたりぶつけたりしたら割れ、人体に有毒な水銀が飛び出てしまうため結構危険です。水銀は空気中で気化してガスの状態でも人体に有害ですから母はすぐそれを片付けなければなりません。一日目は怒られただけで済みましたけど、なんと彼女、翌日にも新しい体温計を同じように割ってしまったのです。
なんで割ってしまったかと言うと、母にギリギリと締め上げられ、泣くまいと堪えながらやけになって体温計をぶんぶん振り回したからです。そんなイライラした状態でしたから割れてあたりまえなんですが、別にわざとやったわけじゃない。それを母がものすごい形相で「うち中の人を水銀中毒で殺す気????」と真剣に、何度も繰り返し聞くんです。んなわきゃねー・・・。
そういえば兄も同じようにやられてました。遠足で虫取りに行って蝶を捕まえてきました。翌日には放してやるように母は言いましたけど、蝶は翌日までももたずに死んでしまいました。兄に蝶を埋めるように指示し、泣きながら穴を掘っているその背中に母は「あなたが殺したのよ」と低い声で言いました。おいおい・・・もう悪いと思って泣いてるやん・・・。今ならそう思えるけど、当時の大銀杏はまだ幼稚園。その母の恐ろしさだけが心に残り、蝶は未だに苦手です。っていうか恐怖症のレベルです。気失いそうになるもん。
ま、それは本題ではなくて、その姉に未だに聞けないことがあるんです。実は大銀杏中学校の卒業文集に将来なりたい職業として「通訳」と書いたんです。人と人のコミュニケーションを橋渡しする「糸電話の糸」になりたいと書いたのです。大銀杏は今通訳ではありませんが、姉は通訳です。姉ちゃん、君が通訳になったのは、私が通訳になりたがっていたからじゃないの?それが聞けん。聞けませんよ、だって「あたりー」とか言われても嫌だし「は?何それ?」って言われても信じられないんですもの。しかもね、大銀杏自分もちょっとそういうことをしてしまう人間なんですよ。人よりちょっと要領がいいところがあるので、いけ好かない人が誰かのことを好きだと言えばちょっかいだして彼氏にしてしまったり(昔の話です)、人が何か習い事をやろうとしてたら「あー、面白そう」とか言って自分のほうが上手になって見せたり。要するに自分で本当にこれが好きということがないから、ヒマ。ヒマだから人でもからかって見るかっていう心理があるんです。
姉ちゃん、たとえそうでも別に恨まないよ。同じ親から生まれた子ども同士、ろくなもんじゃないね。