小説 ONE-COIN

たった一度、過去へ電話をかけることが出来たなら、あなたは、誰にかけますか?

FILMの楽しみ方

2005年01月04日 | FILMの楽しみ方
ここでは、FILMの楽しみ方を紹介させて頂きます。

女二十四歳三人組の一瞬の日常の物語。
恋?愛?そんなものはありません、あるのは、ほんのちょっとの友情と、わがままな日常。
あらすじ代わりに、プロローグからどうぞ。



カテゴリが、目次の役割をしています。
読みやすい幅にして、楽しんでください。



物語のページは、コメントが出来ませんのでご了承くださいませ。
ご感想は、メール又は、感想専用コメント欄に、書いて頂けるとうれしいです。



この物語は、フィクションです。実在する人物、団体等とは一切関わりありません。
この物語は、ONE-COINとは、一切関係がありません。

コンテンツ投票

各月の終わりに、設置しております。なかなか良かったぞ、と思って頂いた方は、クリックお願い致します。



プロローグ

「こら、そこの女子三人、もっと緊張感を持て」

 廊下で、騒ぐ私たちを見て、教師がそう言った。
 高校の卒業式の日。三人とも涙を流す事はなかった。別に強がっていたわけでもなくこれといって悲しくなかったからだ。これから先、三人はバラバラになることもわかっていた。周りは悲しげな雰囲気を作り出している中、私たちと言えばにっこりと写真に納まり、昨夜、テレビでみた心霊現象特集の話でいつもと変わらず盛り上がっていた。キックはあの霊媒師は偽者だとなんの根拠も無く豪語し、優希は霊が映った映像こそが怪しいとにらみどうすれば、あのような映像が出来るのだろうと頭を捻り、私といえば霊媒師が泣き叫び飛び散り、伸びる鼻水の行方が気になってしまったと二人に伝えたけれど、のりは見るところが違うと二人に取り入ってもらえずにいた。

 結局、夜の撮影は映像が乱れているし、怖さが増幅されて本当のことかどうか区別がしにくいということになり、昼間の撮影がいちばんいいのではという他愛もないありきたりな結論で幕を閉じた。
 校門を出るとき、私は自転車で二人とはまったく方向が違いキックと優希は電車であり、けれど帰宅仲間は違っていた。したがってこれまた日常的に二人を個々に抜かしありきたりのバイバイを告げた。それから、私はしばらくして大学の寮に入る。

 別れなんてこんなものだろうと勝手に解釈していた。その時は、まだまだこいつらと付き合う事になろうとは微塵も思っていなかったし、大学に行きまた新たな友達ができて何年に一度くらいの同窓会で会って親しく話す。友達とは、出会いと別れの繰り返しで、そのようなものだと見越していた。

 だって そうでしょう。

 友達なんてのは会わなくなれば、ぱったりと音沙汰がなくなり、偶然、街で出会えば、妙によそよそしく笑顔で笑い掛けて、今度電話するよ、飲み行こうよ、なんて平気で嘘をつく。
もちろん、楽しい事も多々あるだろうけれど、裏切られるし、嘘もつく、長くいれば疲れる、振り回されて、悩まされて、傷つけて、傷つけられる。避けることが出来ずに、こんなことが付き纏う。

 それが、友達でしょ。

 なぁ~んて、自転車を漕ぎながら、心の中でバカな解釈をしていたんだ。

最新の画像もっと見る