『自由の哲学』を読む ~日々の暮らしから~

日々の「?」から始めて一歩ずつ
自分で見て考えて、行動していきたい。
私の自由が人の自由にもつながりますように。

■自由の哲学12章_13~14段落

2015年10月12日 | 『自由の哲学』

まったく新しい考えが出てくるのは、
まったく新しい種が古い種から出てくるのと同じだ。
ただし、その進化を説明するのに、一元論として、
自然界でも考えの世界でも、仮の想い設けは必要ない。

仮の想い設けとは、次のようなこと。

ある人の倫理の「する」がどうやって生まれたのか、
その原因を探るために、
神様の計画です、などと、仮の存在を設定する必要はない。
それは、自然科学の進化論を考える時、
生き物の進化に神の計画を持ち出さないのと同じだ。

神や形而上的なものを通しても、通さなくても、
人間の中で起こることが、倫理的なものになるのは、
自分自身の経験になった時だ。

一元論にとっては、倫理のことも、
世の、他のあらゆる存在と同じように
世が生み出したことだ。

人が倫理の担い手なので、
倫理の進化が起こる原因も、人に求めるのが筋だ。

このように、倫理の個人主義は、
ダーウィンやヘッケルが自然科学のために
打ち立てようとした建物のてっぺんに輝く冠だ。

つまり、自然科学だけじゃなくて、
精神科学にもまたがる進化論だ。


世の生み出したものの法則を探る自然科学者が
「神の意志だから」とか言わないのと同じように、
自分が生み出した倫理の原因を探るのには、
「遺伝子が」とか「神が」とか言わずに、
自分を探るのがマトモな考えだ。
というのが、一元論的なとらえ方。

進化論は、体(肉体)はもちろん、
心や精神の分野にも広げられる。

会社に色白で骨細で無口で、何を主張するでもなく、
一日中パソコンに向かっている人がいる。
入社数年目の若い人。

妻に言われて、まぁ、おもしろそうなら出かけるか、
くらいな感じで、社交的とは言いがたいし、
一般ウケする感じでは、決してない。

パソコンに向かって、分進秒歩のIT業界で、
新しい技術をどんどん吸収している。
それが、お客様のニーズがあるから、とか、
そこを学んで1級の資格を取れば給料に反映されるから、とか、
そういうことじゃなくて、単純に「好きだから」なのだ。

じっくり話をする機会があって、
その時に彼が言ってて印象的だったのは、
自分の好きなことを使って、世に役立ちたい、
というスタンス。

目の前に、何か問題があって、
それを自分の力で解決できるなら、したいじゃないですか、と。
「出張ついでに3時間余ったけど、
どこかでおもしろいイベントないかな~」と思ったとして、
それを自分の技術でなんとかできるから、
そういうアプリを作って配布する、とかね。

「機械ができることは機械がしたらいいんです。
人はそこから解放されて、
考えることをしたらいいんじゃないかな。
考えないと、永遠に同じことを繰り返さなきゃいけないし」
だって。

機械が出来ることの中にも楽しみがある、とか
丁寧にやってみることで喜びがある、とか、
そういう意見はあるとして、いったん彼の言葉に沿ってみる。
そしたら、機械に任せる範囲を広げることで、
機械に任せること、自分の手でやることを、
自分で選ぶことができるし、
そこで生まれた自由な時間を、何に使うか、
それを考えることもできる。

そこで生まれた自由な時間の退屈に耐えかねて、
娯楽に走るのもいいけど、
それをホントは自分で望んでいるかどうかは
ちょっと立ち止まってみてもいいかもしれない。

世と自分とを重ね合わせていくことで、
世と自分が共に進化していく。
世と自分が噛み合わなくて空回りしているなら、
自分は進化しているけど、世の進化には影響できない。

世の流れがあって、自分もそれに合わせるなら、
自分と世とが一緒に流れていく。
これが、何も考えない一番ラクな状態かもしれない。
でも、世も自分も進化はしないかな。

世と自分。
どのあたりのスタンスを望んでいるのかは、
自分で自由に決めたらいいことだ。

一人で立っていたい時は、頑張って立っていたらいい。
疲れた時は「誰か支えて~」ってSOSを出せばいい。
また元気になってきたら「立ってみるね」と立てばいい。

世は、どこかで進化しているんじゃなくて、
人が進化させている。

世が決まったスピードで動いていて、
それに合わせなきゃ落伍者だ、というんじゃなくて、
それぞれの人が、自分にあったスピードで動くことで、
世が動いていく。
そういう社会になればいいな~。
と、思うなら、社会に対して怒ってもいいけど、
それより、自分がそう動くことで輝いていればいいのであって。

早いもん勝ちでも、多いもん勝ちでもない。
幸せの種類は、自分だけが決められるよね。

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