ラジオ。

ワタシはテレビをほとんど見ません。

思い返してみれば、中３あたりからあまりテレビを見なくなり
高校の頃はほとんど見ていなかったと思います。
…たぶん。
見てたかなあ。
あんまし見てなかったと思うんだよなあ。
大学進学を機に一人暮らしを始めた時にはテレビを買ってもらったのですが、
１年くらいで壊れてしまいました。
修理してもらえとば良かったのですが、一人暮らしの自宅に
知らない人（いや、電気屋さんなんですけど）を入れるのに抵抗があり
そのまま処分してしまいました。
卒業後、東京に引っ越す際に再びテレビを購入したものの、
ビデオやDVDを見るばかりでした。
今もそのテレビが部屋に鎮座ましましているのですが、
専らDVD再生専用機と化しています。

その代わり、ラジオは好きでした。
父親の知人でFM局のアナウンサーをしている人がいて、
知っている人の声がラジオから流れてくるのが不思議でした。
もちろん高校の頃、受験勉強のお供はオールナイトニッポンでした。

大学卒業前に…というか、
卒業出来るか出来ないか微妙な時期に
我慢し切れずに憧れていた世界に飛び込み、
卒業するまでは学校の無い日曜日限定で
見習いというか修行というかカバン持ちというか、
とにかくごちゃごちゃと下働きをすることになりました。

ある土曜日の夜、事務所の方から電話が来ました。
「明日は13時からLFで収録があるので、
12時半にロビーで待っていてくださいとのことです」
え…えるえふですか？
「ニッポン放送です。お台場のフジテレビとくっついていますから
　受付で事務所の名前を出して入講証を貰っておいてください」
ニッポン放送!!
高校の頃、深夜に聴き続けていたオールナイトニッポンをやってる所だ!!
一番好きだったのは松村邦洋のオールナイトニッポンだったのですが、
木村卓球屋で笑い転げて全く勉強に手がつかなかったという
しょーもない思い出を胸に、
翌日、お台場にそびえる謎の球体を備えた建造物に足を運びました。
もうね、警備員さんに止められることすら嬉しいというか。
受付で名前を書こうとしたら、すぐ上に
聞き覚えのある芸能事務所の名前が書かれているのを見て
うひょ～!!となってしまったり。
舞い上がるって、ああいうことを言うんだろうなあ。

結局ニッポン放送にはその後しばらく、週１のペースで通うことになり
名前と顔写真の入った入講証を作ってもらいました。
別に自分の声が電波に乗るわけではないのですが、
生放送をしている現場のすみっこに自分がいることが
ものすごく嬉しくて仕方がありませんでした。

更にそれからしばらくの後。
仕事帰りに、事務所の方から電話をいただきました。
「NHKラジオ第１の１時間番組のオファーが来てるけど、どうしますか？」
当時住んでいた自宅の最寄り駅である京王新線の初台駅から
東京オペラシティーに上がるエスカレーターに乗っているところでした。
驚きで足を踏み外して５段くらい落ちました。
好きだったラジオに出られる!!
NHKはたいして聴いていなかったけど（超失礼）
自分の声が電波に乗って誰かに聴いてもらえる!!
何度か立ち会ったテレビの現場は華やかで楽しいけど、
でもやっぱラジオのほうがなんとなく自分に合っているのよね～と
（勝手に）思っていたワタシにとっては
これ以上無いくらい幸せな仕事の話でした。

誰でも知っている映画監督と
誰でも知っている落語家の大師匠の名前に並んで
ゲストとして自分の名前の書かれた台本を手にした時がワタシ史上絶頂期でした。

生放送の本番は、困ったことに、興奮しすぎていたのか
しゃべったことは何ひとつ覚えていません。
唯一覚えているのは、番組後半はまったくしゃべれなくなってしまって
ひたすら笑ってごまかし続けたことだけです。
申し訳ないのと、力不足な自分に対する憤りとで
番組終了後の打ち上げもタクシーチケットも断り
渋谷のNHK前からバスに乗り、
ただただボーっとして真っ暗な外を眺めていました。
ま、渋谷から初台って、バスで15分くらいなんですけど。
なんつーか…しゃべるのって難しい。

結局、前の仕事から逃げ出してきてしまったので
リベンジの機会を逸してしまったわけですが。
でもやっぱ今でも、ラジオを聴くのは大好きだったりします。

今日も、おぎやはぎの木曜JUNKを録音しつつ
radikoでナイナイのオールナイトニッポンを聴くわけであります。


ここまで書いといてなんですけど。
深夜ラジオ限定でも、ラジオ好きって名乗って良いんですかね？