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On a bench ブログ

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聴いたCD シューマン:交響的練習曲、アラベスク(ポリーニ)

2020年02月03日 | クラシック

 

 これは、ここ数日繰り返し聴きながら、素晴らしくて感激しっぱなしのCD。

 ・・・なんだけど、ちょっとガックリきたCDでもあります。なんというか、感激が大きかった分、落胆も大きいというか。

 これ、実は100円で買ったのです。こういう、昭和の終わりから平成の初め頃のCDって、今ではどんな名盤でも特価品みたいな安値になっていることがあって、それで今回、たまたま目についたという訳。

 正直いって、シューマン及びポリーニという組み合わせは、以前なら特に苦手な作曲家&演奏家だったから、そうでもなかったら拾わなかったかもしれない。

 で、聴き始めもそんなに気が乗っていたわけでもなく、シューマンはこのところやっと興味が湧いてきたから勉強のつもりで聴いてみるかという感じだったのだが、それが何と、曲もすごいし演奏も尋常じゃなくすごい。ホントに、この真冬に汗をかいてしまいました。

 いやあ、しかしこの『交響的練習曲』。はるか昔に1,2枚聴いた程度だったと思うけど、こんなに聴き応えのあるいい曲でしたっけ。解説を読むと、この曲は最初に書かれてからずいぶん改訂など曲折があったらしく、現在ですら「遺作」となっている変奏曲を演奏するかしないかで(曲のどこに挿入するかも含めて)演奏者によって違いが出るような曲らしいけど、しかしこれ、シューマン20代の頃の曲で、まだ後半生の躁鬱っぽい感じがあまり出ていないようにも感じるし、シューマンの中でもすごく魅力が高い曲なんじゃないかしらん(と、好きになったとたんに偉そうなことを言ってしまうんだけど)。

 それに、ポリーニ。この人は昔から多分、好きな人とそうでない人で好悪がすごくはっきり分かれていた人という印象があるのだが、ぼくの場合、以前自分の周りにいたごく少数のピアノ通やたまたま読んだレコード等の解説が否定派だったのに引きずられた面もあって(技術偏重うんぬんの前に、往年のピアニストたちのまとっていたオーラみたいなものを、この世代のピアニストくらいから急速に失っていったその象徴みたいな面もあったと思う)、ロクに聴かないままいつもスルーしてしまっていた感じだった。

 けれど・・・、世の中にはそんな先入観なく、また若い頃からシューマンをちゃんと聴けるような体勢が整っていた人(耳が良い人といえばいいのか)がたくさんいたはずで、そういう人は、この演奏を発売当初からしっかりと味わえていたと思うのです。最初、「ガックリきた」と書いたのは、そういう人と、そうでなかった自分との間にすごい落差を感じてしまい、それで落ち込んでしまったというわけ。

 いやあ、シューマンのこのピアニズム。リストやショパンなんかと違って、やっぱり誰が聴いても分かりやすいというものではなくて、二十歳前後の自分には無理だった(のはしょうがない)とは、どうしても思ってしまう。でも、きっと二十歳前後では無理な人が多くても、その後少しずつ耳が成長して聴けるようになっていく時期が来るはずで、そこの遅早という問題もあって、その点でいっても、ぼくの場合、やはりすごく遅かったんじゃないかと、これもやはり、思ってしまわざるを得ない。

 だってこれ、「℗1984」ってジャケットに書いてあるってことは、発売されてからほぼ35年経っているということですからね。

 で、その1984年頃には、ちょうどリストやショパンを聴き始めていた自分としては、一体こんなに目立つ、分かりやすいところにいつもあった名演奏にたどり着くまでに、どれだけ時間がかかったんだよ、って気持ちにもなってしまった。そして、自分が低空飛行を繰り返している間に、最初からシューマンが分かったような耳がいい人たちは、その後どんな高みにまで登ってしまっているんだろう、なんて。

 ・・・まあ、今こうして「ガックリ」の話を書いてしまったせいで、気分もやや「ガックリ・モード」になってしまったんだけど、でもこれ、きっとホントにすごい名演奏で、その前にその演奏を聴いて大きな感激があったので、本当は喜んでいいはずだったんですよね。

 未聴の方は、ぜひ一度聴いてみてはいかがでしょうか。

Pollini plays Schumann Symphonic Etudes, Op.13 (1/4)

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