Doug Watkins (cello) Yusef Lateef (flute, oboe, ts) Hugh Lawson (p) Lex Humphries (ds) Herman Wright(b)
これは、ここ数日よく聴いたアルバム。というか、昔買っていたCDの聴き直し。
多分これ、ジャズを聴き始めの頃に、当時ベースやチェロといった低音楽器がけっこう好きだったのと、やはりその頃ちょこちょこ聴いていたユセフ・ラティーフの名前につられて買っていたんじゃないかと思うけど、詳しくはよく覚えていません。
でも、とにかく当時は全然耳に入ってこなくて、その後ずっと陽の目を見ないままCDの山に埋没、という結果に。それが、たぶん10年以上ぶりに出てきて聴いてみたら、あら不思議、今回は素晴らしく良い。う~ん、当時自分は何を聴いていたのか(と、こういう時に毎回思うけど)やっぱり、当時はこういう真っ当なジャズを聴く態勢が、まだ整っていなかったということなのかなあ。
で、これ。
リーダーはベースのダグ・ワトキンスで、当時「サキ・コロ」のベースを務めたりして急速に頭角を現しつつあった若手だったということだけど、その後27歳で交通事故で夭逝してしまい、第一線で活躍した時期はほんの数年だったとのことです。
その彼が、ここではベースをチェロに持ち替えて、ユセフ・ラティーフとフロントを組んでクインテットを率いているんだけど、このチェロの朴訥とした音色と、ユセフ・ラティーフのフルートの、サックスなどにくらべて重みがなく軽い音色が相まって、すごく温かでさわやかな雰囲気。
楽曲もすべてミディアム・テンポというか、速すぎず遅すぎずで、ユセフ・ラティーフはたまにオーボエなんて吹いているけど、適度なアクセントという程度で演奏については至極まっとうだし、そして当然ながらワトキンスのほかにもうひとりいるベースの音とチェロの音を、2つ頭の中で意識しながら聴いてみるのも面白い。
それと、ついでにいうと録音も60年頃の、まさにここでのチェロの音色に通じる程良いレトロさ加減というか。
全体的に、余計な意図とか変な欲とかを全く感じさせない、すごく気持ちよく聴ける盤という感じです。
One Guy - Doug Watkins