これは、中古屋の特価コーナーで見つけて、何気に気に入ってしまった盤。
沖縄’(とか奄美とか)の音楽については、ぼくなんてこれまで特に多くも聴いてきていないんだけど、でも民謡(島唄というべきか)っぽさが残る歌とかはちょっと好きで、一例を挙げるとネーネーズとか大工哲弘とか元ちとせとかビギンとかりんけんバンドとか、これまで聴いたことがあったかなあ。
で、この首里フジコさんも、すでに名字からして絶対沖縄だし、全然知らなかったのでちょっと聴いてみようかと思ってゲットしてみた。
すると、最初の2曲目は狙い通りのウチナーグチでの民謡調の曲でグッド。どうやら、これが彼女のデビュー盤だったようで(発売は2003年)、声もすごく良いし、これは拾い物かと思っていたら、でもそこからちょっと予想外に路線変更。3曲目から普通のゆるいジャズ・ヴォーカル調の曲になったり昭和歌謡を挟んだりして、後半はかなりブラジル(ボサノヴァ)調に。最初完全に沖縄気分だったこちらとしては、全体的にこの盤をどう聴いていったらいいのか、一瞬戸惑ってしまいました。
しかし、気づくとCDの帯の「ゆるい恍惚」、ゆったりとした沖縄の時間軸で歌うジャズやボサノヴァと書かれているように、必ずしも沖縄っぽさを前面に出した曲を歌っているのではなかったのだと判明。CDのタイトルの「Lua e Sol」も、調べてみると「月と太陽」という意味のポルトガル語だったし。
そう思って聴くと、たしかに曲は沖縄だけではないとしても、しかし全体にゆるい感触は濃厚で、特に「私はサカナ」や「フジサン」とかの自作曲では、歌詞もすっとぼけていて面白いし(特になぜかボサノヴァ調の「フジサン」の「フジフジ フジジジサン」のところとか)、それと自作曲ではないけれど、1曲だけ挿入されている昭和歌謡「私の好きなもの(永六輔作曲・いずみたく作詞)」の、「寂しそうな野良犬 雨上がりの匂い みんな好きだけど あなたが一番好き」みたいな歌詞と雰囲気的にもつながっていて、ここらへんの流れがかなり最高。
そして、後半は英語歌唱のしっかりしたジャズ・ヴォーカルの実力を感じさせる曲が何曲かあってから(たぶんここら辺はわりとシリアス路線なのか)、そしてちょっとユーモラスなタイトル曲(といっていいのか)「月と太陽の唄」に戻って、最後は夜汽車っぽい雰囲気の曲の、感傷的な余韻で終わるとい流れも、なかなかおしゃれ。
しかし、このCDは半分以上自分で作詞作曲ということはSSWといってもいいだろうし、民謡からジャズ、ボサノヴァ、ふつうのポップスまで幅広いジャンルを歌えて、ほかに絵も描くみたいだし、この人はホントに多才な人という感じ。さっきAmazonで見た限り、アルバムも多分3枚目までは出ているみたいです。
とりあえずの第一印象としては、この首里フジコさん、ぼくとしては「脱力系」の、ゆるくてとぼけた味の曲が一番好きかなあ。
↓(YouTubeで、このアルバム全体は見つからなかったけど、収録曲を1曲見つけたので、貼っておきます)
Moon of Yaima by Fujiko Shuri ツキヌカイシャ 月ぬ美しゃ
↓(こちらはたぶんセカンドアルバムの収録曲)
Stromy Weather
↓(最後に、曲自体も気に入ってしまった「私の好きなもの」。首里フジコさん歌唱が見つからなかったので、本家の相良直美さんで。でも、実はずっと歌謡曲音痴だった自分としては、相良直美さんはほとんど初聴き(スミマセン)。きづくと、意外に声に迫力あるんだなあ)。
私の好きなもの/佐良直美
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