012:噛（ほにゃらか

おまへには噛み砕きえぬ教へでもいつしか溶けてゆく胡桃の日

011:からっぽ（ほにゃらか）

からつぽでありたきわけを詰め込みて今朝もカラカラ鳴るランドセル

010:桜（ほにゃらか）

逢ひたくて逢へざる人を想ふとき夜の桜はかうも哀しく

009:椅子（ほにゃらか）

椅子ひとつ運び出されし教室にもどれぬ心が闇に座す昼

008:親（ほにゃらか）

子を抱く温みがときに恋しくて親の都合で抱きしめてをり

007:揺（ほにゃらか）

５円玉を揺らさばおまへは眠くなり夜泣きの理由（わけ）を語りたくなる

006:自転車（ほにゃらか）

母たちは自転車なりき支へあひ漕ぎつづけねば倒れてしまふ

005:並（ほにゃらか）

愛し子に並ぶものなどなきものを器に入れて比べてゐたり

004:キッチン（ほにゃらか）

くさくさとビール片手に灰汁をひく　ああキッチンがぐらりと煮立つ

003:手紙（ほにゃらか）

手紙には逢ひたしといふ常套句　逢ふつもりなどひとつもなくて

002:指（ほにゃらか）

「内緒ね」と指きりしたる約束をみづからほどく貴女（あなた）が嫌ひ

001:風（ほにゃらか）

しなやかに風のかたちをとらへては束のあひだをざざめける木々

題詠100首blogに参加します (ほにゃらか)

初めて参加させて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。


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