ふくと考えるネコと生活

ネコの生活・食事・健康・病気などについて。

ネコと甘味

2008年02月29日 02時00分06秒 | 食事と栄養
2008年2月29日(金)

2005年に、フィラデルフィアのモネル感覚研究センターという機関から、興味深い研究成果が発表されている。(ロイター)

『ネコは甘味を感じる機能がない』というもの。

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 ネコはアイスクリームが好きかもしれないが、ネコが引きつけられているのは砂糖の味ではない。というのも、ネコは遺伝学的に甘味を味わうことが出来ないからだ。
 英米共同研究によると、家ネコもその他の大型のネコ科の動物も、甘味に対する受容体(レセプター)の遺伝子が他の哺乳類とは若干、異なっているという。

ネコを飼っている人なら、ネコには一匹一匹に好みがあり、一般に甘いお菓子は鼻であしらうが、バターやゼラチンなどの食品成分には飛びつくのを知っている。
研究を主導したフィラデルフィアの非営利研究機関「モネル化学感覚センター」の分子遺伝子学者、シャー・リ氏は「この現象を説明する仮説は、ネコは砂糖や甘味料など甘い味がする化合物を感知できないということです」と説明した。
「従って、注目すべき点は、甘味受容体に関連する遺伝子暗号です」

 哺乳類はこの受容体を通じて甘味を感知するが、受容体は、味蕾細胞におけるT1Rと呼ばれる分子による扉のようなものだ。T1Rには、T1R2、T1R3と呼ばれる二つのサブユニットがある。両方とも独立した遺伝子によってコーディングされている。「パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス・ジェネティクス」というオンライン・ジャーナルの記事で、リ氏の研究チームは家ネコ、トラ、チーターにおけるT1R2タンパク質の遺伝子コーディングに異なった点を発見した。

 ジャーナルには「甘味に対する味盲をのぞけば、ネコの味覚は普通である」と書かれている。研究に参加したコーネル大学の生物物理学者、ジョセフ・ブランド氏は「非機能的な甘味受容体は、なぜネコが甘味に反応しないのかを分子レベルで説明しています」とコメント。

「このエレガントな説明をさらに深め、分子レベルでの変化が、ネコ科の動物の肉食行動の進化に与えた重要性を思索することも可能です」とブランド氏。
「今でも不明なのはどっちが先かということです。肉食行動が先か、T1R2タンパク質の喪失が先か?遺伝子に関して言えば、使えなければ捨てるという事例なのか?」

クマ、イヌ、アライグマなど肉食動物の多くが甘味を好む。
「冗談でよくこう言うんですよ。ネコが不機嫌でも仕方ないよな、エサを狩らなきゃならない上に、甘いデザートも味わえないんだからって」とブランド氏は笑った。
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というような、非常に興味深い記述。

 甘味とは糖質であり、糖質は食物繊維とともに炭水化物と呼ばれている。ということは、これまでのブログで書いてきたように、『ネコはカロテンからビタミンAを作れない』とか、『ネコは体内でタウリンを合成できない』といったものとリンクするものなのだろうと思う。

 それらは、ネコやトラやチーターたちが、厳格な肉食動物であることを証明しているものであった。炭水化物を主要エネルギー源とする、私たち人間は、炭水化物の甘味を舌で感じることによって、エネルギー源を摂取したことを確認する。炊飯した米、ふんわり焼いたパン、トウモロコシ、サツマイモなどなど。疲労時などには、チョコレートやキャンディーといった直接的な甘味を求めることもある。

ネコにはそれがない。
それを感じる受容体がない。
受容体を完成させるタンパク質がない。
タンパク質を作れと指令する、遺伝子中にその項目が欠けている。

「なぜ、欠けているのか!?」

必要ないから?
もともと欠けていたから?
なんらかの異常だから?

研究者たちも、『甘味を感じる必要がないから退化して欠損してしまったのか、もともと欠損していたから甘味を感じられないのかは知る由がない』としている。

大昔のネコのご先祖様のことは分からないが、少なくとも、私たちが知っている現代のネコたちは、炭水化物に依存してはいない。タンパク質と脂質に依存している。問題はイヌなのだ。イヌだって、元々は肉食専門の動物であったが、その後、雑食化したとされている。
ところが、犬には、甘味を感じる受容体があるという。

元来イヌにはあったのか?
それとも雑食化するととともに、受容体を形作るタンパク質を作成するための遺伝子コードのスイッチがONになったのか?(遺伝子コードのスイッチという言い方は変な言い方ですが、ここでは比喩的な表現としてお許しを)

ん?

確か、イヌもネコも共通の祖先を持っていたはずだ。
ミアキスとかプセウダイルルスとかいうご先祖様だ。

どちらでもいいから、その遺伝子コードを調べられないものだろうか?
何万年も経ってしまっては無理だろうか。。。
シベリアの永久凍土にどちらかが埋まっていれば、調べられるかなぁ。

彼らの遺伝子は甘味受容体を作るように指示しているだろうか?
ひょっとすると遺伝子というのは、必要に応じて、スイッチをONにしたりOFFにしたり出来るのではないかなぁ。。。

知りたいっ。
ああ、知りたい。

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ウォルサム軍団

2008年02月27日 01時24分24秒 | 食事と栄養
2008年2月27日(水)

今日、会社から帰宅すると、ウォルサム軍団が届いていた。正直、あまりお目にかかりたくないと思っていた。
しかし、先日の検診でBUNが高めだったので、早いうちに少しずつ、腎臓を気遣った食事にしていこうと決断。
全てをいきなり、処方食にしようなどとは思っていない。これまで通り、ササミの茹でたものやお魚などもあげていきたいと思っている。どんな処方食を食べてくれるのかを早めに知っておきたいというのはある。

なぜ、ウォルサムなのかというと、パッケージがカッコイイから。。。(あながち冗談でもない。)
ま、先代ネコが頑張って食べていたものだからという理由が一番だろう。でも、どのようなものを好むかは、まったくもってふく子次第。

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食品成分表

2008年02月24日 17時42分49秒 | 食事と栄養
2008年2月24日(日)

いつもお世話になっている食品成分表2冊のご紹介。
『オールガイド 五訂増補食品成分表』(実教出版)と『五訂日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編』(第一出版)。

『オールガイド 五訂増補食品成分表』は、表が色分けされたり、写真やコラムを豊富に掲載するなど、カラフルで楽しい構成になっている。
いつも、リビングのソファーかPC前に置いていて、「なんだろう?」と気になったときには、すかざす調べるようにしている。「あとで調べればいいじゃん」なんて言っていると、絶対に調べないものである。

『五訂日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編』は、通常の食品成分表では、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の大雑把にしか分かれていないものを詳細に掲載している。例えば、ネコの必須脂肪酸であるリノレン酸やアラキドン酸などがどのような食品に多く含まれているかが分かる。

このガイドブックを見てみるまでは、アラキドン酸というのは植物油の中にもたっぷりと含まれていると勘違いしていた。植物油には、リノール酸やリノレン酸は多く含まれていても、アラキドン酸は全く含まれていないのである。手づくりご飯に植物油を小さじ1杯かけたって、アラキドン酸は摂取できないのだ。

他には、有名どころでは、ドコサヘキサエン酸。「ほー、おぬしも脂肪酸の仲間であったか。」という感じ。

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さつまいも

2008年02月24日 17時15分15秒 | 食事と栄養
2008年2月24日(日)

ふくは、さつまいもを食べる。
しかも、どうやら喜んで食べている。

昨日、M動物病院で、このことを話してみた。
M院長は「変わったネコだなぁ」と笑っていた。
え、それだけ?な、なにかご意見・ご感想は?
「まあ、あんまり食べさせると軟便になったり下痢したりするから、ほどほどにね」とのこと。

なるほど。。。

少なくとも、ふく子が自分から食べたいと言ってきたものだし、まあ、いっか。
奥さんは、今、舞台の裏方さんをやっている。そこで、毎日、主役さんが舞台上で食べるさつまいもを蒸かしている。演出上の小道具というやつで。
役者さんは、毎日、さつまいもを全て食べきるわけではない。舞台上では、少しだけ食べて、あとは片付けてしまう。
その片付けられたものや、余ったものが我が家の食卓に並ぶことがある。

ある日、奥さんが仕事から帰ってきて、例のさつまいもを食べていると、ふくが寄ってきて、匂いを嗅ぎ始めた。ふくは、人が何かを食べているととりあえず寄ってきて匂いを嗅ぐ。そして、食べられそうだと判断(判断基準を知りたいのだが)すると手をかけて、「くれ」とせがんでくる。
さつまいももパンもヨーグルトもそうだった。反対に、リンゴやみかんは匂いを嗅いでみたが、ダメらしい。

ふくが1日に食べる量は、写真の量ほど。食物繊維が豊富なさつまいもなので、胃腸の負担になるほど多くあげることはしない。

うーん、ネコは肉食動物のはずなんだがなぁ。。。

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『ネコの食事ガイド』を読んで

2008年02月24日 01時29分49秒 | 食事と栄養
2008年2月23日(土)

リチャード・ピトケアン著『ネコの食事ガイド』(中央アート出版社)を読んだ。

大雑把に内容を言うと、序章は、ピトケアン氏もかつては西洋医学に傾倒していた時代があり、やがてホリスティックなアプローチを求めていく姿が描かれている。ちょうど須崎氏の著書『ネコに手作りごはん』(ブロンズ新社)と類似した点でもある。(別にそれが悪いといっているわけではない)

 その後、前半は現在流通しているペットフードを安直なインスタント食品やジャンクフードに見立て、それがいかに危険なものであるかを語り、中盤は手作りフードの材料について検討し、後半はひたすらレシピ集が並んでいる。
もちろん、大いに勉強になる点もあった。初めて、この類の本を読む人にとっては衝撃的であるかもしれない。

で、個人的な感想はというと、
「興味深い記述もあったが、疑問点も多くあった。」

 日本では2000年の出版となっているが、米国での出版は1995年。少々内容的に古い。まあ、出版当時の状況下では、最新のものであったのだろうということを踏まえながら読むしかないだろう。

例えば、着色料の話が出てくるが、今時、気の利いたペットフードに着色料なんて使われていないと思うのだが。

ペットフードによく使われている添加物としても、プロピレングリコール、ソルビン酸カリウム、グリシリジン・アンモニエート、エトキシキン、ブチルヒドロキシトルエン、亜硝酸ナトリウムなどを挙げているが、少なくとも、近年になってからこれらが含まれているフードを見たことがない。

次に、気に入らない点としては、肝心なエビデンスの提示があるかと思いきや、大事な所で「一般には危険視されているが、筆者の経験ではそんなことはなかった」」とか「経験上そのようなことはないことが分かっている」
といった具合になんとなくぼやかされてしまうのである。

「わたしには経験があるんだから、それを信じてわたしの言う通りにしてみなさいよ。」
と言われても、説得力にかける。

具体的に言おう。
例えば、
「生の食品は生命エネルギーに溢れているので素晴らしい。調理済み食品だけでは、ペットの健康を最高の状態に保てないと私は確信しています。新鮮な生野菜や果物や乳製品を中心にした食事で、丈夫に育っている多くの人間や動物たちがその生き証人です。さらに過去20年にわたる私の臨床経験からも、このことが確信できます。」

→この点に関して、どういうわけか、そのエビデンスとして、新鮮なもやしや人参、パンなどを与えて育てられたラットの話を引き合いに出している。

→もう一点はネコ。

・完全に生の食品だけで構成される食事を食べさせたネコは健康で、獣医にみてもらう必要がまったくなかった。
・食品を調理すればするほど、それを食べるネコは健康ではなくなった。
・調子した食事を食べさせた実験用のネコに見られた健康上の問題は、口内炎や歯茎の疾患、甲状腺の障害、膀胱の炎症など、今日のネコ一般に見られるものときわめてよく似ていた。
・調理した食品を食べさせたネコは、3世代にわたって劣化し続け、とうとう繁殖できなくなった。
・ネコを生の食品で構成される食事に戻しても、調理した食事が肉体に及ぼす影響から完全に回復したのは4世代たってからだった。

そんな事実を知ったピトケアン夫妻は、野生の食事中のタウリンに匹敵する量のタウリンが含まれるレシピを考案したそうなのである。
しかしながら、後半に出てくるレシピ集のほとんどには、サプリメントとしてのタウリンを入れるように指示している。
「野生レベルのタウリンが含有されているなら、タウリンなんか添加しなくてもいいんじゃない!?」って感じ。

「ほとんどの獣医師は、サルモネラ菌や大腸菌などによる病気を懸念して生肉を食べさせることに反対しています。」

→これに対しては

「しかし、私は、このやり方を17年間推奨してきた経験から、これらの病気に感染するという問題がまったく起こっていないことを証言できます。」と答えている。
続けて、
「ネコは生来肉食獣で、生肉は彼らにとって自然な食品だからでしょう。自分のペットに生肉を食べさせることにこだわりがあるなら、もちろん自由に調理してもらっても構わない。ただ、その場合は生肉に含まれる栄養価が適用されないことを覚えておきましょう」と結ぶ。

生肉が肉食動物にとって自然な食品であるという見解には賛同する。しかし、スーパーで売っている精肉が、ネコにとって自然な食品であるとは限らないと思う。
人の手によって汚されていない大自然を駆け回っている健康なネズミを捕らえて、その場で超新鮮なうちに食する生肉(血や骨・内臓を含め)とスーパーの肉との違いは大きいだろう。スーパーでは、生食OKとして、生肉を販売することはほとんどない。少なくとも我が家の近所のダイエーと西友には置いていない。理由は、いうまでもなく食中毒が怖いからに他ならない。

その肉をネコに生で与えることに賛成でしょうか?

「ある研究は生卵の白身はビオチン欠乏症を引き起こすと結論を出しています。」

→これに対して

「しかし、この病気はラットに卵を相当過度に食べさせる実験で表面化したものなのです。私個人としては、生卵によってビオチン欠乏症にかかったネコを一度も見たことがありません。野生の食肉動物が食事の一環として生卵に依存していることを考えて欲しいと思います。(中略)サルモネラ菌中毒の脅威も、生卵についてよく言われることなので、気がかりかもしれません。しかし、私は長年獣医の仕事をしていますが、生卵を食べたことによってこの菌に侵されたネコは見たことはありません」としている。

野生のネコが生卵を食するときには、黄身も一緒に食するだろう。白身にはビオチンを分解する酵素が含まれていても、黄身にはそれに負けないくらいのビオチンが含まれている。
 また、サルモネラの話は、ちょっとひどすぎる。私だって、これまで生きてきた人生の中で、サルモネラ菌に侵された友達も知人も見たことがない。大抵の人がそうではないだろうか?でも、だからと言って、大丈夫だと言うことにはならないのではないか?

次は先生お勧めの酵母の件。

「酵母はアレルギーを引き起こす可能性があるので、動物の食用に使ってはならないという人がいます。これについては、私は、私の経験では正反対だと言う事しかできません。酵母はそのような副作用を一切引き起こさない優れた食品であると経験から分かっています。酵母アレルギーの動物が時折いると仮定しても、それは非常にまれな現象でしょう。それどころか、私の経験では、ペットは牛肉や鶏肉やとうもろこしや大豆などの食品に対してアレルギーを発現することのほうが多いようです。」

経験という単語のオンパレード。ここまでくると「経験万歳」です。。。

まだ疑問は続く。

ペットフードの材料となる肉には、道路で轢かれて絶命した動物の死肉や、病気で死んだ動物の肉が使われている可能性があるとか。
(本当?とても信じられません。)

生肉をメインとした手作り食を推奨する割には、結局はビタミン剤やタウリンやカルシウム、骨粉などを随分と添加する。各栄養素の所要量に関してはAAFCOのものを参考にして、同程度かそれを上回るように設定してあるという。
しかし、肉骨粉の安全性が日本でも取沙汰されたのは、ついこの間のことではないか。あれこそ何が入っているか分かったものではない。

と、ここまでは批判めいた書評になってしまったが、様々な人の意見をなるべく多く知りたい自分にとっては、非常に有意義な読み物であったことは確かである。大変参考になったのも事実。
そして、ホリスティックケアというものに興味を引かれるきっかけになる本でもあった。このような本が少ない中で、本職の獣医師という立場で、まじめに書いて下さったことには敬意と感謝の意を素直に表したい。

ただし、全てを鵜呑みにするには、ちょっと引っかかる部分も多かったということだろう。

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初めての血液検査

2008年02月23日 14時21分00秒 | 健康と病気
2008年2月23日(土)

予想外のBUN38.5にという数値にふく子もびっくり顔。

今日は、土曜日なので通院日。M動物病院は、今日も朝から混み合っている。
久しぶりに、M院長に診ていただいた。

まずは、ずっと続けている耳ダニの件。
もう、だいぶいなくなっているようで、念のため最後に注射を打っておこうということになった。これでほぼ大丈夫だろうと。
おかげで、今日はベトベトドロドロ薬を耳から注入されずにすんだ。
とりあえずは良かった、良かった。

次に血液検査(腎肝中心に)をお願いした。
結果は下記の通り。

BUN 38.5mg/dl(参考正常値 13.1~29.5)
TP 7.0g/dl(参考正常値 5.4~7.8)
GPT 46U/l (参考正常値 11~50)
ALP 144U/l (参考正常値 ~67)
PCV 42% (参考正常値 30~43)
WBC 7.8 (参考正常値 5.5~19.5)

私自身、先代ネコからのトラウマなのでしょう、まずBUNに目がいってしまう。
38.5とのこと・・・
なんで、もうこんなに高いのさ!?
ALP144。肝臓系になにか問題があるのかもしれない。先代ネコもこの値が高かった。他は、とりあえずOKだったが、BUNなんて20ないくらいかと思っていたのに、予想外に高い数値に驚いてしまった。
 PCVはさすがに高い。20%を下回って、苦しんでいた先代を思い出さずにはいられない。

今日、初めてふく子が採血される様子を見ていたが、まずまずの抵抗を見せた。不思議なことに、威嚇したり、声を荒げたりはしないのだけれど、体一杯に抵抗した。前足から採ろうとして2回失敗。その後、後ろ足から再挑戦。2回目でOK。採血中は、観念して大人しく固まっていた。針を抜き、止血していると、もう逃げ出したくてバタバタと暴れる。咬んだり、引っ掻いたりはしないが、小さなネコの抵抗にしては、なかなか力強い。AHTさんと一緒になって押さえつけていたので、腹部を強く押さえられた瞬間に、うんちをおもらし・・・コロンっと転がった。

その後、待合室で待っている最中も、ふく子の心臓はバクバク、手足の肉球は冷や汗でびしょびしょに濡れている。おとなしいだけで、やっぱり恐ろしいことをさせてしまったのだなぁ。でも、健康なときから、少し病院というところを知っておいて欲しいと思っている。慣れておいて欲しいと思っている。飼い主としても、どのような反応を示すのか、知っておきたい。保定に苦労するのか、そうでないのか。採血させてくれるのか、くれないのか。診察に協力的なのか、そうでないのか。

結果としては、まあ、病院には順応してくれそうではある。もちろん、緊張が高まり、ストレスになることは否めない。こうして、ブログを更新している今も、屋根裏に隠れてしまって出てこない。帰宅後も、まだ、完全に落ち着いているわけではないのだろう。

それにしても、BUN38.5というのは、腎不全予備軍なのかもしれない。CREは今日は計測しなかったけれど、ちょっと数値は高めなのかもしれない。
今度は、3ヶ月後くらいに血液検査をしましょうということになった。
それまでに、飼い主ができることは、食事管理以外にはない。先代ネコから今まで続けてきた勉強は、こういうふうにしてつながるものなのか?
なにやら、そんな予感はしていた。血液検査をしたら、なにか出てきそうな予感はあったのだ。

ふく子とは、最低10年は安心して、一緒に暮らしたいと思ったが、そうもいかなくなってきそうだ。早めに、処方食にも慣れさせておいたほうが良いだろう。手作り食も、少しずつ腎臓機能サポート仕様に変えていくことも考えねばなるまい。

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ネコとタウリン

2008年02月18日 00時09分23秒 | 食事と栄養
2008年2月17日(日)

ネコがタウリンを体内で生合成できない(または合成能力が低い)ことは、結構有名になっている。キャットフードのパッケージ中やインターネット上でも、そのような記述は多い。

牛(タウロス)の胆汁中から発見されたので、タウリンという名前がついたそうだ。そういえば、ケンタウロスという上半身が人間で下半身が馬というギリシャ神話の怪物がいたなぁ。。。

ネコにおいては、必須アミノ酸のひとつとして紹介される場合が多いが、正しくはアミノ酸(カルボキシル基を含んでいない)ではなく、ビタミンの一種として分類される。遺伝子暗号が指定する20種類のアミノ酸の中にも当然含まれていない。つまりタンパク質を構成する材料ではない。

ところで、なぜタウリンが必要なのでしょう?
まずは4つほど。

・目の網膜細胞が正常に機能するために必要。
・心筋細胞が正常に機能するために必要。
・正常な体の成長と繁殖のために必要。
・正常な胆汁生成のために必要。

胆汁生成に関して、次のような記述を見つけた。

『胆汁酸はアミノ酸のグリシンまたはタウリンと抱合(結合)したグリココール酸またはタウロコール酸の形で、胆汁中に分泌される。肉食動物は、タウロコール酸、草食動物はグリココール酸、雑食動物は両方の混合物である。抱合胆汁酸は強い界面活性作用があり、膵リパーゼの作用を助ける』
【動物看護のための小動物栄養学/阿部又信著/ファームプレスより抜粋】

 さて、このように端的に書かれても素人の私にはなんのことやら分からないので、読み解かなければならない。こういう記述がスラスラ分かるようになりたいものであるが、仕方ないので、キーワードをひとつひとつ検索。

・リパーゼは、消化酵素のひとつで、脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解する。(アミラーゼがでんぷんを分解する酵素であるのと同じことね。)
・胆汁は、肝臓の肝細胞で生成される黄褐色の液体。総肝管を通って、胆のうに一時貯蔵・濃縮される。食事時に、胆のうが収縮され、総胆管から十二指腸に排出されて働く。(そういえば、ネコは胆管のトラブルが多いことで知られている。先代ネコもそうだった。タウリンが不足していたのかなぁ?)
・胆汁酸は、界面活性剤として食物中の脂肪を乳化して細かい粒にし、消化酵素リパーゼと反応しやすくすることで消化を助ける。さらに、脂肪の分解産物に作用して、小腸から吸収されやすく変化させる。
・腸内に分泌された、胆汁酸のほとんどは、小腸で再吸収を受け、肝臓に戻され再利用される。(実に上手くできているものですね)
・界面活性剤とは、水と油が分離しない状況を作り出すものである。(ああ、だから食器を洗う洗剤や髪の毛を洗うシャンプーには界面活性剤が入っているのね。皮脂汚れなどを乳化して、からめとって洗い流すってことだ。)
・水と油が分離しない状況を乳化という。

 胆汁とタウリンの関係するキーワードを調べてみて、やっとなんとなく分かったような気がする。タウリンが不足すると、タウロコール酸が作れない。タウロコール酸が上手く作れないと機能的な胆汁がつくれない。胆汁が正しく分泌されないと、脂肪分解の手助け役が不在となり、消化が上手くいかなくなる。
 また、胆汁は壊れた赤血球などの排泄活動も担っているため、この方面にもなにかの影響が出るかもしれない。

ところで、胆汁は古くなった赤血球の排泄作業を受け持っているので、壊れた赤血球から出てきた色素のせいで、黄褐色をしているそうである。つまりは汚れた色。
先ほども、途中で触れたが、胆汁は腸内に分泌され、また吸収されて肝臓に戻る。しかし、全てが戻るわけではない。汚れたものはそのまま大腸に流れ、排便される。大便の色が、黄色がかっているのは、この胆汁の色素が影響しているという。

次っ。

では、タウリンが不足すると何が起こるのかな?

1975年には、ネコのタウリン欠乏が、網膜を侵し、中心性網膜変性となり、やがては失明することが発表された。

また、ドッグフードをネコに与えてはいけないという記述にもよく遭遇する。これは、イヌにとってタウリンは必須栄養素ではないので、ドッグフードにはタウリンが含まれていないか、または特別強化もされていないので、これを与え続けることは、ネコのタウリン欠乏症を誘発するという意味。ちなみに、タウリンが強化されていないドッグフードを長期にわたってネコに与えると、72週間以上でタウリン欠乏症になるとのこと。

さらに、タウリン欠乏によって、生殖能力の低下(奇形、死産、仔猫の低体重、低生存率、成長速度低下など)、拡張型心筋症、腎萎縮、骨形成不全などが認められている。

しかしながら、タウリンは動物性タンパク質に多く含まれているので、肉や魚を通常通り摂取していれば特に問題にはならない栄養素といわれている。
つまり、野生で生きる肉食動物にとっては、タウリンは生合成するまでもなく、常食の中に多くあるので、その合成能力が退化してしまったか、あるいは元々備わっていなかったのかも知れない。ところで、タウリンは、調理過程で最高80%が失われるという話もある。

タウリン不足が心配されるのは、人間と一緒に暮らすようになったネコたちの現代病とも言える。私たちがどこかから連れてきて、何かのご縁で一緒に暮らすことになったネコたちの健康を守るのは、やはり飼い主側の責任であることが再認識させられる事実である。

ところで、ビタミンAのときと同じく、タウリン合成ができないという事実もまた、ネコが肉食動物であることの証である。

【参考文献:ネコに手作りごはん/須崎恭彦著/ブロンズ新社】

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ネコと魚

2008年02月17日 13時06分58秒 | 食事と栄養
2008年2月17日(日)

♪お魚くわえたドラネコ~

というサザエさんのテーマが、『ネコと言えば、やっぱり魚でしょ』という既成概念を我々日本人の中に作ったのかどうかは定かではないが、ネコには魚が良く似合うような気がしてしまう。また、大好物なのだから、さぞかし体にも良いのではないかと思ってしまいがち。

ところが、案外、魚肉(身の部分)にはカルシウム、ナトリウム、鉄、銅、ヨウ素、ビタミンA、D、E、B1、B2が不足している。血合いや皮、骨なども一緒に食べる場合には、その限りではないが、一般には、魚を丸ごと与えているペットオーナーは少ないかと思う。

もうひとつ。
実は生の魚肉中には、『チアミナーゼ』という、ビタミンB1を分解してしまう酵素が含まれているものが存在するので、注意が必要なのである。
ちなみに、チアミナーゼを含んでいる魚には、マス、タラ、にしん、カマス、コイ、フナ、金魚などがある。
金魚鉢で泳いでいる、金魚を毎日ネコが食べ続けたとしたら、B1欠乏症になってしまうことになる。
前述の『魚肉(身の部分)にはビタミンB1が不足している』という事実と『チアミナーゼの負の効果』によるダブルパンチで、生魚肉ばかりを長期にわたって、連続給餌されたネコは簡単に欠乏症に陥ってしまうと考えられる。

ネコのほうがイヌよりもビタミンB1の要求量が高いので、欠乏症も起こりやすい。生のコイとにしんを毎日、ネコに与える実験では、33日~40日でビタミンB1欠乏症が発症したそうである。

ただし、全ての生魚肉にチアミナーゼが含まれているわけではない。スズキ、ウナギ、ドジョウ、ナマズには含まれていない。そして、チアミナーゼは、煮たり焼いたりすることで破壊されてしまうので、調理をすれば大丈夫。

なお、魚を生で与えるときには、人間用の『生食OK』のものを購入するようにしたい。特に青魚や鮭などは、皮膚下に寄生虫を持っていることがあるので、裂けた方が良いと思われる。人間だって、鮭を生に近い形で食べるときには、るいべ(凍らせて寄生虫を殺してしまう)にしたり、カツオを食べるときには、身のまわりを火であぶって寄生虫対策を施したりしている。
ネコは多少の寄生虫が入っても大丈夫、なんてことはない。

とはいえ、たまにお刺身を一切れ、二切れあげる分には、あまり神経質になる必要はないと思われる。注意すべきは、同じものを長期間にわたって、連続的に与える場合である。

(参考文献:動物看護のための小動物栄養学/阿部又信著/ファームプレス)

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人・イヌ・ネコの必須アミノ酸

2008年02月17日 01時13分09秒 | 食事と栄養
2008年2月17日(日)

ヒト、イヌ、ネコの必須アミノ酸は、表の通り。成人は8種類、イヌは10種類、ネコはタウリンを入れて11種類とされている。

タンパク質は、胃で消化され、小腸から吸収されて、血管に入り、肝臓に行く頃には99%がアミノ酸という単位まで小さくされている。逆に言うと、血中で遊離しているアミン酸を材料にして、タンパク質が合成される。
どのようなタンパク質をいつどのくらい作るかは、設計図であるDNAに全て書かれている。設計図中の4種類の塩基による遺伝暗号で指定されているアミノ酸の数は20種類。

その20種類のうち、体内で合成可能なものは、『非必須アミノ酸』または『可欠アミノ酸』などと呼ばれる。残りのものは、体内で合成可能でもその量が少なすぎるものや、全く合成できないものであり、これを『必須アミノ酸』という。

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ネコはカロテンをビタミンAに転換できない

2008年02月17日 00時25分11秒 | 食事と栄養
2008年2月17日(日)

ネコはカロテンをビタミンA(レチノール)に転換できない。

肉食動物であるがゆえに、植物成分のカロテンを切断してビタミンA(レチノール)に変える酵素を持っていないのだそうだ。だから、人参やカボチャにはカロテン含量が多いことは多くの人が知っていることであるが、それをネコに与えても、その優位性はあまり役に立たないということ。(もちろん、それでも人参やカボチャは、カロテン含量の多さだけではなく、他の面でも素晴らしい点があるので、人参やカボチャを食べさせることに反対しているわけではない)

しかし、上記のようなことからもネコが長い間、肉食動物であったことが裏づけされている。

ビタミンAが不足すると、光感受性が低下して、夜盲症になったり、粘膜や皮膚にも影響が出て、尿石症や皮膚の炎症なども引き起こすとのこと。

従って、『ある程度』ビタミンAが含まれた食物を摂取しなければならないだろう。『ある程度』というのは、ビタミンA(レチノール)は脂溶性ビタミンの中で過剰摂取による中毒症状が最も生じやすいということでも有名だからである。「たっぷり摂取しましょうね」といことではなく『適度に』摂取させなければならない。

要求量の10~数十倍で変形頚椎分離、脊椎及び関節の硬直、軟骨形成不全、骨粗しょう症、コラーゲン合成阻害などを招く。

ビタミンAが多すぎて、長期的に給餌すると危険な食材としては、レバー(レチノールが100gあたり、牛レバー(生)で1000ug、鶏と豚レバー(生)では10000ugを遥かに超える)である。

(参考文献:『小動物栄養学』阿部又信著/ファームプレス)

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