ふくと考えるネコと生活

ネコの生活・食事・健康・病気などについて。

ネコと魚

2008年02月17日 13時06分58秒 | 食事と栄養
2008年2月17日(日)

♪お魚くわえたドラネコ~

というサザエさんのテーマが、『ネコと言えば、やっぱり魚でしょ』という既成概念を我々日本人の中に作ったのかどうかは定かではないが、ネコには魚が良く似合うような気がしてしまう。また、大好物なのだから、さぞかし体にも良いのではないかと思ってしまいがち。

ところが、案外、魚肉(身の部分)にはカルシウム、ナトリウム、鉄、銅、ヨウ素、ビタミンA、D、E、B1、B2が不足している。血合いや皮、骨なども一緒に食べる場合には、その限りではないが、一般には、魚を丸ごと与えているペットオーナーは少ないかと思う。

もうひとつ。
実は生の魚肉中には、『チアミナーゼ』という、ビタミンB1を分解してしまう酵素が含まれているものが存在するので、注意が必要なのである。
ちなみに、チアミナーゼを含んでいる魚には、マス、タラ、にしん、カマス、コイ、フナ、金魚などがある。
金魚鉢で泳いでいる、金魚を毎日ネコが食べ続けたとしたら、B1欠乏症になってしまうことになる。
前述の『魚肉(身の部分)にはビタミンB1が不足している』という事実と『チアミナーゼの負の効果』によるダブルパンチで、生魚肉ばかりを長期にわたって、連続給餌されたネコは簡単に欠乏症に陥ってしまうと考えられる。

ネコのほうがイヌよりもビタミンB1の要求量が高いので、欠乏症も起こりやすい。生のコイとにしんを毎日、ネコに与える実験では、33日~40日でビタミンB1欠乏症が発症したそうである。

ただし、全ての生魚肉にチアミナーゼが含まれているわけではない。スズキ、ウナギ、ドジョウ、ナマズには含まれていない。そして、チアミナーゼは、煮たり焼いたりすることで破壊されてしまうので、調理をすれば大丈夫。

なお、魚を生で与えるときには、人間用の『生食OK』のものを購入するようにしたい。特に青魚や鮭などは、皮膚下に寄生虫を持っていることがあるので、裂けた方が良いと思われる。人間だって、鮭を生に近い形で食べるときには、るいべ(凍らせて寄生虫を殺してしまう)にしたり、カツオを食べるときには、身のまわりを火であぶって寄生虫対策を施したりしている。
ネコは多少の寄生虫が入っても大丈夫、なんてことはない。

とはいえ、たまにお刺身を一切れ、二切れあげる分には、あまり神経質になる必要はないと思われる。注意すべきは、同じものを長期間にわたって、連続的に与える場合である。

(参考文献:動物看護のための小動物栄養学/阿部又信著/ファームプレス)

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人・イヌ・ネコの必須アミノ酸

2008年02月17日 01時13分09秒 | 食事と栄養
2008年2月17日(日)

ヒト、イヌ、ネコの必須アミノ酸は、表の通り。成人は8種類、イヌは10種類、ネコはタウリンを入れて11種類とされている。

タンパク質は、胃で消化され、小腸から吸収されて、血管に入り、肝臓に行く頃には99%がアミノ酸という単位まで小さくされている。逆に言うと、血中で遊離しているアミン酸を材料にして、タンパク質が合成される。
どのようなタンパク質をいつどのくらい作るかは、設計図であるDNAに全て書かれている。設計図中の4種類の塩基による遺伝暗号で指定されているアミノ酸の数は20種類。

その20種類のうち、体内で合成可能なものは、『非必須アミノ酸』または『可欠アミノ酸』などと呼ばれる。残りのものは、体内で合成可能でもその量が少なすぎるものや、全く合成できないものであり、これを『必須アミノ酸』という。

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ネコはカロテンをビタミンAに転換できない

2008年02月17日 00時25分11秒 | 食事と栄養
2008年2月17日(日)

ネコはカロテンをビタミンA(レチノール)に転換できない。

肉食動物であるがゆえに、植物成分のカロテンを切断してビタミンA(レチノール)に変える酵素を持っていないのだそうだ。だから、人参やカボチャにはカロテン含量が多いことは多くの人が知っていることであるが、それをネコに与えても、その優位性はあまり役に立たないということ。(もちろん、それでも人参やカボチャは、カロテン含量の多さだけではなく、他の面でも素晴らしい点があるので、人参やカボチャを食べさせることに反対しているわけではない)

しかし、上記のようなことからもネコが長い間、肉食動物であったことが裏づけされている。

ビタミンAが不足すると、光感受性が低下して、夜盲症になったり、粘膜や皮膚にも影響が出て、尿石症や皮膚の炎症なども引き起こすとのこと。

従って、『ある程度』ビタミンAが含まれた食物を摂取しなければならないだろう。『ある程度』というのは、ビタミンA(レチノール)は脂溶性ビタミンの中で過剰摂取による中毒症状が最も生じやすいということでも有名だからである。「たっぷり摂取しましょうね」といことではなく『適度に』摂取させなければならない。

要求量の10~数十倍で変形頚椎分離、脊椎及び関節の硬直、軟骨形成不全、骨粗しょう症、コラーゲン合成阻害などを招く。

ビタミンAが多すぎて、長期的に給餌すると危険な食材としては、レバー(レチノールが100gあたり、牛レバー(生)で1000ug、鶏と豚レバー(生)では10000ugを遥かに超える)である。

(参考文献:『小動物栄養学』阿部又信著/ファームプレス)

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