2008年2月29日(金)
2005年に、フィラデルフィアのモネル感覚研究センターという機関から、興味深い研究成果が発表されている。(ロイター)
『ネコは甘味を感じる機能がない』というもの。
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ネコはアイスクリームが好きかもしれないが、ネコが引きつけられているのは砂糖の味ではない。というのも、ネコは遺伝学的に甘味を味わうことが出来ないからだ。
英米共同研究によると、家ネコもその他の大型のネコ科の動物も、甘味に対する受容体(レセプター)の遺伝子が他の哺乳類とは若干、異なっているという。
ネコを飼っている人なら、ネコには一匹一匹に好みがあり、一般に甘いお菓子は鼻であしらうが、バターやゼラチンなどの食品成分には飛びつくのを知っている。
研究を主導したフィラデルフィアの非営利研究機関「モネル化学感覚センター」の分子遺伝子学者、シャー・リ氏は「この現象を説明する仮説は、ネコは砂糖や甘味料など甘い味がする化合物を感知できないということです」と説明した。
「従って、注目すべき点は、甘味受容体に関連する遺伝子暗号です」
哺乳類はこの受容体を通じて甘味を感知するが、受容体は、味蕾細胞におけるT1Rと呼ばれる分子による扉のようなものだ。T1Rには、T1R2、T1R3と呼ばれる二つのサブユニットがある。両方とも独立した遺伝子によってコーディングされている。「パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス・ジェネティクス」というオンライン・ジャーナルの記事で、リ氏の研究チームは家ネコ、トラ、チーターにおけるT1R2タンパク質の遺伝子コーディングに異なった点を発見した。
ジャーナルには「甘味に対する味盲をのぞけば、ネコの味覚は普通である」と書かれている。研究に参加したコーネル大学の生物物理学者、ジョセフ・ブランド氏は「非機能的な甘味受容体は、なぜネコが甘味に反応しないのかを分子レベルで説明しています」とコメント。
「このエレガントな説明をさらに深め、分子レベルでの変化が、ネコ科の動物の肉食行動の進化に与えた重要性を思索することも可能です」とブランド氏。
「今でも不明なのはどっちが先かということです。肉食行動が先か、T1R2タンパク質の喪失が先か?遺伝子に関して言えば、使えなければ捨てるという事例なのか?」
クマ、イヌ、アライグマなど肉食動物の多くが甘味を好む。
「冗談でよくこう言うんですよ。ネコが不機嫌でも仕方ないよな、エサを狩らなきゃならない上に、甘いデザートも味わえないんだからって」とブランド氏は笑った。
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というような、非常に興味深い記述。
甘味とは糖質であり、糖質は食物繊維とともに炭水化物と呼ばれている。ということは、これまでのブログで書いてきたように、『ネコはカロテンからビタミンAを作れない』とか、『ネコは体内でタウリンを合成できない』といったものとリンクするものなのだろうと思う。
それらは、ネコやトラやチーターたちが、厳格な肉食動物であることを証明しているものであった。炭水化物を主要エネルギー源とする、私たち人間は、炭水化物の甘味を舌で感じることによって、エネルギー源を摂取したことを確認する。炊飯した米、ふんわり焼いたパン、トウモロコシ、サツマイモなどなど。疲労時などには、チョコレートやキャンディーといった直接的な甘味を求めることもある。
ネコにはそれがない。
それを感じる受容体がない。
受容体を完成させるタンパク質がない。
タンパク質を作れと指令する、遺伝子中にその項目が欠けている。
「なぜ、欠けているのか!?」
必要ないから?
もともと欠けていたから?
なんらかの異常だから?
研究者たちも、『甘味を感じる必要がないから退化して欠損してしまったのか、もともと欠損していたから甘味を感じられないのかは知る由がない』としている。
大昔のネコのご先祖様のことは分からないが、少なくとも、私たちが知っている現代のネコたちは、炭水化物に依存してはいない。タンパク質と脂質に依存している。問題はイヌなのだ。イヌだって、元々は肉食専門の動物であったが、その後、雑食化したとされている。
ところが、犬には、甘味を感じる受容体があるという。
元来イヌにはあったのか?
それとも雑食化するととともに、受容体を形作るタンパク質を作成するための遺伝子コードのスイッチがONになったのか?(遺伝子コードのスイッチという言い方は変な言い方ですが、ここでは比喩的な表現としてお許しを)
ん?
確か、イヌもネコも共通の祖先を持っていたはずだ。
ミアキスとかプセウダイルルスとかいうご先祖様だ。
どちらでもいいから、その遺伝子コードを調べられないものだろうか?
何万年も経ってしまっては無理だろうか。。。
シベリアの永久凍土にどちらかが埋まっていれば、調べられるかなぁ。
彼らの遺伝子は甘味受容体を作るように指示しているだろうか?
ひょっとすると遺伝子というのは、必要に応じて、スイッチをONにしたりOFFにしたり出来るのではないかなぁ。。。
知りたいっ。
ああ、知りたい。
2005年に、フィラデルフィアのモネル感覚研究センターという機関から、興味深い研究成果が発表されている。(ロイター)
『ネコは甘味を感じる機能がない』というもの。
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ネコはアイスクリームが好きかもしれないが、ネコが引きつけられているのは砂糖の味ではない。というのも、ネコは遺伝学的に甘味を味わうことが出来ないからだ。
英米共同研究によると、家ネコもその他の大型のネコ科の動物も、甘味に対する受容体(レセプター)の遺伝子が他の哺乳類とは若干、異なっているという。
ネコを飼っている人なら、ネコには一匹一匹に好みがあり、一般に甘いお菓子は鼻であしらうが、バターやゼラチンなどの食品成分には飛びつくのを知っている。
研究を主導したフィラデルフィアの非営利研究機関「モネル化学感覚センター」の分子遺伝子学者、シャー・リ氏は「この現象を説明する仮説は、ネコは砂糖や甘味料など甘い味がする化合物を感知できないということです」と説明した。
「従って、注目すべき点は、甘味受容体に関連する遺伝子暗号です」
哺乳類はこの受容体を通じて甘味を感知するが、受容体は、味蕾細胞におけるT1Rと呼ばれる分子による扉のようなものだ。T1Rには、T1R2、T1R3と呼ばれる二つのサブユニットがある。両方とも独立した遺伝子によってコーディングされている。「パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス・ジェネティクス」というオンライン・ジャーナルの記事で、リ氏の研究チームは家ネコ、トラ、チーターにおけるT1R2タンパク質の遺伝子コーディングに異なった点を発見した。
ジャーナルには「甘味に対する味盲をのぞけば、ネコの味覚は普通である」と書かれている。研究に参加したコーネル大学の生物物理学者、ジョセフ・ブランド氏は「非機能的な甘味受容体は、なぜネコが甘味に反応しないのかを分子レベルで説明しています」とコメント。
「このエレガントな説明をさらに深め、分子レベルでの変化が、ネコ科の動物の肉食行動の進化に与えた重要性を思索することも可能です」とブランド氏。
「今でも不明なのはどっちが先かということです。肉食行動が先か、T1R2タンパク質の喪失が先か?遺伝子に関して言えば、使えなければ捨てるという事例なのか?」
クマ、イヌ、アライグマなど肉食動物の多くが甘味を好む。
「冗談でよくこう言うんですよ。ネコが不機嫌でも仕方ないよな、エサを狩らなきゃならない上に、甘いデザートも味わえないんだからって」とブランド氏は笑った。
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というような、非常に興味深い記述。
甘味とは糖質であり、糖質は食物繊維とともに炭水化物と呼ばれている。ということは、これまでのブログで書いてきたように、『ネコはカロテンからビタミンAを作れない』とか、『ネコは体内でタウリンを合成できない』といったものとリンクするものなのだろうと思う。
それらは、ネコやトラやチーターたちが、厳格な肉食動物であることを証明しているものであった。炭水化物を主要エネルギー源とする、私たち人間は、炭水化物の甘味を舌で感じることによって、エネルギー源を摂取したことを確認する。炊飯した米、ふんわり焼いたパン、トウモロコシ、サツマイモなどなど。疲労時などには、チョコレートやキャンディーといった直接的な甘味を求めることもある。
ネコにはそれがない。
それを感じる受容体がない。
受容体を完成させるタンパク質がない。
タンパク質を作れと指令する、遺伝子中にその項目が欠けている。
「なぜ、欠けているのか!?」
必要ないから?
もともと欠けていたから?
なんらかの異常だから?
研究者たちも、『甘味を感じる必要がないから退化して欠損してしまったのか、もともと欠損していたから甘味を感じられないのかは知る由がない』としている。
大昔のネコのご先祖様のことは分からないが、少なくとも、私たちが知っている現代のネコたちは、炭水化物に依存してはいない。タンパク質と脂質に依存している。問題はイヌなのだ。イヌだって、元々は肉食専門の動物であったが、その後、雑食化したとされている。
ところが、犬には、甘味を感じる受容体があるという。
元来イヌにはあったのか?
それとも雑食化するととともに、受容体を形作るタンパク質を作成するための遺伝子コードのスイッチがONになったのか?(遺伝子コードのスイッチという言い方は変な言い方ですが、ここでは比喩的な表現としてお許しを)
ん?
確か、イヌもネコも共通の祖先を持っていたはずだ。
ミアキスとかプセウダイルルスとかいうご先祖様だ。
どちらでもいいから、その遺伝子コードを調べられないものだろうか?
何万年も経ってしまっては無理だろうか。。。
シベリアの永久凍土にどちらかが埋まっていれば、調べられるかなぁ。
彼らの遺伝子は甘味受容体を作るように指示しているだろうか?
ひょっとすると遺伝子というのは、必要に応じて、スイッチをONにしたりOFFにしたり出来るのではないかなぁ。。。
知りたいっ。
ああ、知りたい。
大好きだったんですけど、あれは甘さに
魅かれてという事じゃなかったのですね^^;
てっちゃんさんの記事、いつも参考になります!
それはそうと今日のふくちゃんも超絶可愛い~
こんばんは。
面白いですねぇ。生クリームとあんこですか。。。
生クリームは牛乳やヨーグルトを喜んで食べることを考えると納得です。でも、あんこってのは不思議ですね(笑)豆を蒸かしてつぶしたものですものねぇ。
豆類の豊富なタンパク質にでも反応したのかもしれませんね。
ふくちゃんにも大豆の蒸かしたものをあげたことがありますが、2、3粒食べてやめてしまいました。
大豆って肉類並みにタンパク質量が多いので、もしかしてと思ったのですが。
今度、丁寧に作られた豆腐などを入手できたら、あげてみたいな、と思っています。
うちのマーブルさんの方はヨーグルトが好きなんですが、砂糖が入っていないヨーグルトはあまり好きではないようでした。
だから猫も甘い物が好きなのかなぁなんて思っていたのですが、実は違ったのですね。
猫はタンパク質に含まれるアミノ酸の甘みを強く感じる事ができるとある本に書かれてあったので甘み自体が好きではないとは言い切れないみたいですね。。
ふくちゃん、満足そうにお手入れ念入りにしてますね☆可愛い
こんばんは。
興味深いお話をありがとうございます。よそのうちのネコさんがどういうものを好むのかというお話は、大変興味があります。
ふくちゃんもヨーグルト好きなんですよ。
最初は、朝食のときに人間が食べていたのを見て、おねだりしてきたんです。
そのときは、いわゆる砂糖の入った、『バニラヨーグルト』でした。
その後、ネコに砂糖の入ったものをあげるのは、なんとなく抵抗を感じたので、プレーンヨーグルトをあげることにしたんです。それ以来、毎日のように食べています。今日は、注文していたカスピ海ヨーグルトの種菌が届いたので、今後はそれを試してみようと思います。
ところで、糖質甘味を感じることは出来なくても、おっしゃる通り、アミノ酸の甘味とかうま味というものは感じることができるようなのです。
ネコは肉食でタンパク質依存型だから、それらの摂取を感知できないわけがないんですよね。でも、糖質の甘味とは異なるようです。
ちなみに、アラニンとかグリシンというのが甘味を感じるアミノ酸だとのことです。
グルタミン酸やイノシン酸などは、うま味成分として味の素なんかにも入っているから、分かる気はするのですが。
アミノ酸の化学というのも面白いものですね。
なんだか長くなってしまいました。。。
ではでは