野叟解嘲(やそうかいとう)ー町医者の言い訳ー

老医師が、自ら患者となった体験から様々な症状を記録。その他、日頃、感じていることや考えていることを語ります。

リハビリは続く ー 怪我の功名? ー

2023年07月01日 | 日記

3月に硝子体手術を受けたことをお知らせしました。その術後にうつ伏せ寝を強制されたことも紹介しましたが、この際、予想外のこと(後述する説明を読めば、予想できないことではないことが分かるのですが)が起きました。

手術後、暇があればベッド上で俯せになっていたのですが、うつ伏せから起き上がると、両足のしびれが消失と言っていい程に軽くなっていたのです。その際に使用した器具が次の写真です。市販のクッションに手を加えたものだとのことですが、なんとアマゾンを探すと似たようなものが製品として紹介されていました。硝子体手術後のうつ伏せ寝のためにと。

 左の写真が実際に使用したクッションです。

 こちらはアマゾンのカタログからの写真です。手術後、上の器具を使って、ひたするら俯せでいました。

さて、何が起きていたのでしょうか?

脊柱管狭窄症は少しだけ背中を前屈させると症状が軽減するということを習ったことがあるでしょう。その姿勢が僅かに脊柱管の前後経を拡大するのですね。だから、おばあさんたちがシニアカーを押して歩くと長く歩けるのですね。その様子が図3です。俯せになると、図4のように、これを90度右へ回転させた形になります。(図3を90度回転させたものです)図3

 

   図4

さらに、うつ伏せ寝は単に背中を軽く前屈させているだけではなく、弱いながらも牽引する力も加わっていると考えられます。

図5のように、シニアカーを押しているとき、脊椎には重力により上下に圧迫する力が加わっています。

 図5

これに対して、うつ伏せでは図6のように上下方向に軽い牽引力が働きます。このためにうつぶせ寝の後、足のしびれが劇的に軽減したものと想像します。

図6

理学療法に「体位牽引」というものがあります。教科書の図を一部改変して、1例を示します。腰椎病変の急性期、症状軽減の手段の一つとして紹介されています。

意識せずに、この牽引療法を行っていた訳です。もちろん立ち上がって動き出すと、その効果は10分もすれば消えますが。

牽引療法に対して賛否の意見があることは知っていますが、個人の感想ですが、「効果はある」と思います。ただし、以前にも書いたように、治すものではなく、癒す効果があるという意味です。

この個人的経験を患者さんたちに紹介し、日常生活の中で、それぞれの方法で体位牽引療法を行うことを勧めています。



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